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平成十八年十月二十四日提出
質問第一一五号

防衛庁設置法等の一部を改正する法律案に関する質問主意書

提出者  笹木竜三




防衛庁設置法等の一部を改正する法律案に関する質問主意書


 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案について、以下質問する。

一 機構に関し、
 1 「庁」のままでは業務等へどのような支障をきたすのか、防衛庁を省に移行することで、どのように改善するのか、具体的な内容を明らかにされたい。また、省に移行することの具体的な必要性、意義及び効果についても併せて明らかにされたい。
 2 諸外国は「戦力」である「軍隊」を管理する組織を「省」としているが、我が国では憲法上の「戦力」とは位置付けられていない自衛隊を管理するため、あえて「庁」としていたものと考えるが、現在まで「庁」とされていた理由は何か。
 3 「省」に移行した場合、組織も諸外国と同様の扱いになるものと考えるが、「省」にすることに憲法上の問題はないか。
 4 防衛庁が内閣府の外局から外れることによる内部統制上の変更はあるのか。
 5 内閣府は、内閣の補助部局として総合調整権限を有しているが、省移行により、位置付けの変更はあるのか。
 6 「内閣の首長」としての内閣総理大臣と「内閣府の長」としての内閣総理大臣は切り分けるものとされているが、それぞれの立場は、どのような考えに基づいて用いられてきたのか、事例に則して明らかにされたい。
 7 自衛隊法第八条の内閣総理大臣の防衛庁長官に対する指揮監督が削除されているが、これによってシビリアン・コントロールに実質的な変更があるのか。
 8 省移行により、国の防衛は当然だが、安全保障全体や危機管理問題の主任大臣はどこが担うことになるのか。
 9 自衛隊法第八〇条の海上保安庁の統制について、防衛大臣の統制下に入れることができることとした理由を明らかにされたい。各省並びの省の大臣が、他省の組織を統制下に置くことについて、問題はないのか。
 10 北朝鮮の核実験宣言という、我が国の安全保障に大きく影響を及ぼす状況変化があったにもかかわらず、防衛庁長官が不在で危機管理上の問題が指摘されたが、省移行によって、この態勢は改善されるのか。
 11 省移行及び防衛施設庁の統廃合などにより、定員、装備、予算はどのように変わるのか。
 12 省移行により、防衛参事官の設置趣旨に変更は生じるのか。
 13 省移行により、シビリアン・コントロールに資する政治任用職を増やすことは考えないのか。
 14 弾道ミサイル着弾に際しての国民保護について、省移行により、手続き上の改善は図られるのか。
 15 これまで自衛隊が海外に展開する際、テロ特措法、イラク特措法など、シビリアン・コントロールを徹底していく立場からは問題のある法律の制定を次々と強行する一方、防衛庁は説明責任を果たしてきていない。省移行により、国会に対する説明責任は改善されるのか。
 16 日米物品役務相互提供協定(ACSA)の「付表2」により、自衛隊の物品・役務の提供は国内法上の根拠がある場合に限り行われるが、協定第一二条三項ただし書により、「この協定の付表2は、両当事国政府の合意により、この協定を改正することなく修正することができる。」とされているため、あたかも「交換公文で法律を追加すれば世界中で自衛隊は米軍の後方支援ができる」ように読める。新法のあり様によっては、国会のシビリアン・コントロールを侵すのではないかとの懸念もある。省移行後、ACSAとの関係で、どのような新法を想定しているのか。
二 防衛庁・自衛隊による不祥事に関し、
 1 自衛隊に関する不祥事が後を絶たない。防衛施設庁の入札談合事件、海上自衛隊を中心とする薬物事案、インターネットを通じた情報流出事案、海外への無断渡航、陸上自衛隊第四戦車大隊における小銃等紛失事案、海上自衛隊大湊地方隊におけるミサイル艇からの機関砲誤射事案など様々な不祥事が発生し、自衛隊員の倫理感が著しく低下している。これらの不祥事に対する関係者の処分及び対応、防止策に関する考え方を事案に即して明らかにされたい。
 2 組織として、隊員の綱紀粛正に万全を期することが先だと考えるが、あえてこの時期に本法律案を提出した理由は何か。防衛施設庁の入札談合不祥事にけじめが付かない中での省移行は、焼け太りになるのではないか。
 3 省移行に際し、同様の事案を繰り返さないため、防衛施設庁についても組織、業務の抜本的な変革が必要であると考えるが、本法律案では、附則第九条で二〇〇七年度の廃止、防衛省本省への統合及び体制を整備する旨の規定に留まっている。省移行と防衛施設庁解体の法律案を別々に提出する理由は何か。
三 自衛隊の運用に関し、
 1 省移行により自衛隊の運用管理に変更はあるのか、また変更がある場合の詳細についても明らかにされたい。
 2 自衛隊員の採用時の服務宣言について、これまで自衛隊の主たる任務は「我が国の防衛」や「公共の秩序の維持」であったが、国際平和協力活動などの任務が加わった場合、隊員の服務宣言の内容に変更はあるのか。
 3 テロ特措法に基づく自衛隊派遣のように、一人の隊員が複数回派遣されるケースがあるが、国際平和協力活動の本来任務化に伴い、現場で任務にあたっている隊員の負担に変更はあるのか。
 4 省移行により、若年定年退職者給付金制度や現役自衛官の勤労の強度・困難性によって支給される手当の見直しを想定しているのか。
四 本来任務化に関し、
 1 自衛隊の「付随的任務」は「任務遂行に支障を生じない限度」において行うとされるが、PKO活動、国際緊急援助等において、関係省庁やNGOやNPOなどとの協力のあり方はどのようになるのか。
 2 在外邦人等の輸送や、法制定時よりあった機雷除去等をも本来任務化し、公共の秩序の維持として位置づけるのはなぜか。
 3 周辺事態における後方地域支援等や国際平和協力活動が本来任務とされているが、法改正による任務の性格の変更はあるのか。
 4 本来任務化により、国際平和協力活動における装備はどうなるのか。
 5 我が国の防衛上、本来重要な任務であるはずの「警戒監視活動」が、本法律案でも「調査研究」の位置付けのままになっているが、変更はないのか。
 6 北朝鮮による地下核実験問題や弾道ミサイル発射問題など、地域の平和と安全が脅かされている状況にもかかわらず、テロ特措法に基づいて、給油のため、インド洋等へ自衛隊の艦船を派遣している。省移行に伴い、海外における活動と自国の安全保障の判断の切り分けはどうなるのか。
 7 テロ特措法やイラク特措法による自衛隊派遣は、国連決議に基づかない活動に我が国が協力するものであると考えるが、省移行により、テロ特措法やイラク特措法に基づく活動に対する基本的な考えは変わるのか。
 8 我が国の平和と安全を守るために、「領域警備」を法制化することをどう考えるか。
 9 国際平和協力について、自衛隊とは別の組織を設けることの是非をどう考えるか。
 10 国連決議に基づいて行われる国連平和維持活動等の活動は、「国権の発動」に当たると考えるのか。
 11 国連決議に基づく活動に、武力の行使が含まれる場合、当該活動は、憲法第九条が禁ずる「国権の発動」に該当するのか。
 12 海外における活動は、現在、軍事とNGOとのシームレス活動の必要性が増しており、そこに焦点を置くとすれば、我が国の安全に支障が出ない範囲内で、しかも、しっかりとした原理原則を定めるべきだと考えるが、今後、どのような方針で臨むのか。

 右質問する。



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