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平成十九年二月八日提出
質問第五〇号

住民基本台帳ネットワークシステムによる「データマッチング」に関する質問主意書

提出者  河村たかし




住民基本台帳ネットワークシステムによる「データマッチング」に関する質問主意書


 平成一八年一一月三〇日に、大阪高等裁判所は、大阪府下の住民四名が「自己の住民票コードを抹消せよ」などと求めた訴訟において、箕面市、吹田市、守口市の三市に対して、「住民基本台帳から住民票コードを抹消せよ」と命じる判決を下した。
 同判決は、「住基ネットの運用について、データマッチングや名寄せを含む目的外利用を中立的立場から監視する第三者機関は置かれていない」など、「住基ネット制度には個人情報保護対策の点で無視できない欠陥があるといわざるを得ず、行政機関において、住民個々人の個人情報が住民票コードを付されて集積され、それがデータマッチングや名寄せされ、住民個々人の多くのプライバシー情報が、本人の予期しない時に予期しない範囲で行政機関に保有され、利用される危険が相当あるものと認められる。そして、その危険を生じさせている原因は、主として住基ネット制度自体の欠陥にあるものということができ、そうである以上、上記の危険は、抽象的な域を超えて具体的な域に達しているものと評価することができ、住民がそのような事態が生ずる具体的な危険があるとの懸念を抱くことも無理もない状況が生じているというべきである」と、厳しく住基ネット制度を批判している。
 平成一七年五月三〇日の金沢地方裁判所の判決に続いて、今回、大阪高等裁判所においても、住基ネットにおける「データマッチングの危険性」が指摘され、「明示的に住基ネットの運用を拒否している控訴人らについて住基ネットを運用すること…は、控訴人らに保障されているプライバシー権(自己情報コントロール権)を侵害するものであり、憲法一三条に違反するものといわざるを得ない」と判断されている事実は重大であると考える。
 よって、以下の点につき質問する。

1 (政府行政機関が保有する個人情報ファイルの数について)
 (1) 平成一八年一〇月二五日開催の「第二〇次国民生活審議会個人情報保護部会」で配布された「総務省資料(平成一七年度行政機関個人情報保護法等の施行状況(概要))」によれば、平成一八年三月三一日現在、行政機関個人情報保護法の対象である国の全ての行政機関が保有する個人情報ファイル(特定の保有個人情報を検索できるように体系的に構成したもの)の数は、八〇六二四とされているが、間違いないか。
 間違っている場合は、訂正されたい。
 (2)@ 右(1)の個人情報ファイルには、行政機関個人情報保護法一〇条二項、同法一一条二項のファイルは含まれているのか。
  A 含まれている場合は、@のファイルを除いた数を明らかにされたい。
  B 含まれていない場合は、@のファイル数を明らかにされたい。
 (3)@ 右(1)の個人情報ファイルの内、「住民票コード」が記録されているファイルの数および名称を明らかにされたい。
  A 右行政機関個人情報保護法一〇条二項、同法一一条二項のファイルの内、「住民票コード」が記録されているファイルが存するか否かを明らかにされたい。
2 (行政機関個人情報保護法三条、八条の監視機関について)
 (1) 行政機関個人情報保護法は、「相当の関連性」があれば、個人情報の利用目的の変更が認められ(第三条三項)、「相当の理由」があれば目的外の利用と提供も認められている(第八条二項)ところ、本人確認情報の提供を受ける国の機関等において、提供の「目的」の変更や目的外利用することを監視する機関は設置されているか。
 (2) 設置されているならば、その名称、構成、所属、権限等について明らかにすると共に、同機関の権限等について定めた規定の名称、制定年月日等について明らかにされたい。(少なくとも、法務省、厚生労働省(社会保険庁を含む)、財務省、金融庁、総務省について、明らかにされたい。)
3 (地方公務員共済組合等における監視機関について)
 同じく、本人確認情報の提供を受ける、地方公務員共済組合、地方公務員共済組合連合会、国家公務員共済組合連合会、日本私立学校振興・共済事業団について、提供の「目的」の変更や目的外利用することを監視する機関は設置されているのか否か、設置されている場合は、その名称、構成、所属、権限等について明らかにすると共に、同機関の権限等について定めた規定の名称、制定年月日等について明らかにされたい。
4 (本人確認情報の保護に関する審議会の開催状況について)
 北海道、福島県、栃木県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、長野県、石川県、京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県、福岡県、熊本県における本人確認情報の保護に関する審議会の開催状況(平成一四年度から現在まで)について、把握しているか。
 している場合は、その開催回数、日時、議題の概要を明らかにされたい。
5 (都道府県知事による勧告について)
 (1) 住基法上、民間において住民票コードの告知を求めることや、「業として、住民票コードの記録されたデータベースであつて、当該住民票コードの記録されたデータベースに記録された情報が他に提供されることが予定されているものを構成してはならない」などとされ、都道府県知事は、これらの行為が行われた場合において、「当該行為をした者が更に反復してこれらの規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、当該行為をした者に対し、当該行為を中止することを勧告し、又は当該行為が中止されることを確保するために必要な措置を講ずることを勧告すること」や、「勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、都道府県の審議会の意見を聴いて、その者に対し、期限を定めて、当該勧告に従うべきことを命ずることができる」(三〇条の四三)とされているが、現在に至るまでに、このような都道府県知事の「勧告」等が行われたという報告例が存するか。
 (2) 存する場合は、その概要を明らかにされたい。
6 (EU指令の要件について)
 (1) 一九九五年の「EU指令(個人データ処理に係る個人の保護及び当該データの自由な移動に関する欧州議会及び理事会の指令)」(95/46/EC)二五条一項は、個人データの第三国への移動は、当該第三国が適切なレベルの保護を提供している場合に限られるとし、その一環として、「独立の監視機関」の設置を義務づけているが、日本の「個人情報保護法」は、この要件を満たしていると認定されているか、明らかにされたい。
 (2) この点に関するEUとの交渉や審査等の経過および結果の概要を明らかにされたい。
7 (住民の開示請求権について)
 (1) 住民は、各自治体の情報公開条例に基づき、自己に係る本人確認情報の提供状況に関する開示を受けうるとされているが、この制度は全都道府県で実施されているか。
 (2) 前項の開示請求の対象には、行政機関個人情報保護法八条一項の「法令に基づく」提供の場合(たとえば、警察からの捜査照会に対する回答など)も含まれるのか、明らかにされたい。
 (3) 前二項の開示状況の実績について、情報を保有しているなら、その概要を明らかにされたい。
8 (自治体からの調査要求等について)
 (1) 「電気通信回線を通じた送信又は磁気ディスクの送付の方法並びに磁気ディスクへの記録及びその保存の方法に関する技術的基準(平成一五年九月二九日総務省告示第六〇一号)」により、平成一五年一〇月一日から、提供を行った市民の本人確認情報の管理状況等について、報告を求めること、また、要請を行うことが可能となった、とされているが、第6、8、(1)、エでは、「市町村長は、必要に応じ、…報告を求め、…要請を行うこと」と規定され、市町村長の義務のように規定されているが、同規定は市町村長の権利であり、報告を求められた側は報告「義務」が存すると理解してよいのか、明らかにされたい。
 (2) 現在までに、前項の報告要求や要請が存したか否かについて、明らかにされたい。
 (3) 存する場合は、@その件数、Aその時期、B内容の概要、C当該要求、要請に対する対応の概要について、それぞれ明らかにされたい。

 右質問する。



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