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平成十九年六月十一日提出
質問第三七五号

緑資源機構による官製談合と天下りに関する再質問主意書

提出者  松本大輔




緑資源機構による官製談合と天下りに関する再質問主意書


 前回提出した質問主意書(平成十九年五月二十四日提出第百六十六回国会質問第二百三十九号)に対する答弁(平成十九年六月一日内閣衆質百六十六第二百三十九号。以下「前回答弁書」という。)は不十分であり、以下再質問する。

一 前回答弁書「一及び五について」によれば、「現在関係当局により調査・捜査中であるところ、お尋ねの点については、お答えは差し控えたい」とのことであるが、農林水産省(外局を含む。以下同じ。)に対し関係当局による調査・捜査は行われていないものと承知している。緑資源機構(以下「機構」という。)は農林水産省から独立した法人であり、機構に対し調査・捜査が行われていることをもって、農林水産省に関する答弁を差し控える理由とはならない。以上を踏まえ、再度質問する。
 松岡前農林水産大臣は、機構(独立行政法人移行前の組織を含む。以下同じ。)の発注する工事や調査の受注先企業及び団体から多額の政治献金を受け取っていたことが明らかになっているが、当該工事や調査に関し、大臣就任以前を含め松岡氏(秘書等の事務所関係者を含む。以下同じ。)から農林水産省に対していわゆる「口利き」はあったのか。また、機構に対する「口利き」について、農林水産省として把握しているか。判断根拠となる具体的事実とともにお示し願いたい。なお、「口利き」とは、不当要求になるおそれがある要求として、機構又は農林水産省(以下「機構等」という。)の職員にその職務上の行為をさせるように、又はさせないように、要望、相談、苦情等を面談、電話等により当該職員に伝えることをいうものとする。
二 前回答弁書「三について」は、告発された四法人以外について答弁がなく、さらに農林水産省の再就職者については平成十六年から平成十八年の三年間に限って答弁するとともに、前回答弁書「四について」では、別の談合の疑いが指摘されている林道建設業務を受注した企業及び団体に再就職しているOBの数について「作業が膨大となることから、お答えすることは困難である」としており、官製談合の温床とされる天下りの実態解明に消極的な政府の姿勢は誠に遺憾である。以下につき再度質問する。
 独立行政法人の組織等に関する予備的調査(武正公一君外五十四名提出、平成十八年衆予調第三号。以下「予備的調査」という。)についての報告書によれば、機構の支出の相手方のうち機構又は所管省庁からの再就職者が在籍する法人(以下「天下り先受注法人」という。)に対する平成十七年度の支出件数及び支出金額は、総件数六百九十五件に対し、機構からの再就職先が百三十五件十七億四千九百四万二千円、所管省庁からの再就職先が九十七件七億五千四百九十五万七千円、計二百三十二件二十五億三百九十九万九千円とされており、その法人ごとの内訳と機構からの再就職者数は次のとおりである。
 機構からの再就職者が在籍する法人 九法人、二十五名
 財団法人森公弘済会 七十六件 四億八千百三十二万三千円 十七名
 株木建設株式会社 一件 三億四千二十万円 一名
 日本道路株式会社 二件 二億五千二百二十九万千円 一名
 株式会社かばら建設 一件 一億八千九百三十一万五千円 一名
 株式会社フォレステック 二十件 一億七千六百六十二万八千円 一名
 ライト工業株式会社 六件 一億三百四十四万三千円 一名
 株式会社片平エンジニアリング 十五件 九千八百六十三万六千円 一名
 有限会社農幸 十二件 八千八百八十三万千円 一名
 財団法人水利科学研究所 二件 千八百三十七万五千円 一名
 所管省庁からの再就職者が在籍する法人 十四法人
 財団法人林業土木コンサルタンツ 二十件 二億百六十四万千円
 財団法人林野弘済会 二十八件 一億四千九百七十八万三千円
 日特建設株式会社 二件 一億二千百五十一万六千円
 社団法人日本森林技術協会 十八件 一億千百九十一万円
 株式会社日立情報システムズ 十五件 五千二百八十六万七千円
 株式会社リンキコウ 三件 四千九百八万三千円
 社団法人農村環境整備センター 二件 二千十七万円
 社団法人農業農村整備情報総合センター 一件 千三百六十二万九千円
 応用地質株式会社 一件 千百八十万二千円
 財団法人日本水土総合研究所 一件 七百九十二万九千円
 財団法人経済調査会 二件 六百六十九万八千円
 富士通エフ・アイ・ピー株式会社 二件 三百六十二万四千円
 財団法人建設物価調査会 一件 二百五十二万円
 富士ゼロックス株式会社 一件 百七十八万五千円
 1 株式会社モリ技建は、平成十七年度に機構から七件一億二千九百二十一万八千円が支出されるとともに、所管省庁出身者が在籍していた法人であると承知しているが、予備的調査に対する政府回答では天下り先受注法人として明記されていないのはなぜか。なお、予備的調査の調査票記載要領では、再就職者の在籍状況について、平成十八年四月一日までの十年間において、支出の相手方に再就職した者を対象としているので、念のため申し添える。
 2 財団法人森公弘済会は、平成十七年度に機構から七十六件四億八千百三十二万三千円が支出されるとともに、所管省庁出身者が在籍する法人であると承知しているが、予備的調査に対する政府回答では所管省庁からの天下り先受注法人として明記されていないのはなぜか。
 3 みらい・東鉄・北星特定建設工事共同企業体は、平成十七年度に機構から一件十七億五千七十八万円が支出されるとともに、機構出身者が在籍する法人により構成されていると承知しているが、予備的調査に対する政府回答では天下り先受注法人として明記されていないのはなぜか。他の共同企業体について同様なケースはないのか。
 4 平成十四年度、平成十五年度、平成十六年度、平成十七年度及び平成十八年度の五年間における機構の支出(除外するものについては予備的調査の例による。以下同じ。)について、天下り先受注法人に対する支出件数及び支出金額を、年度ごとに、法人別に明らかにされたい。なお、作業が膨大との理由により答弁を拒否する場合、同様の作業は予備的調査で既に行っており、政府の対応が予備的調査と質問主意書で分かれることとなるが、その理由を明らかにされたい。
 5 農林水産省ホームページには平成十四年から平成十八年までの「再就職状況の公表について」が掲載されているにもかかわらず、前回答弁書「三について」では、平成十六年から平成十八年までの三年間に限って答弁しているのはなぜか。また、平成十五年以前の再就職状況について政府は承知しているのか。
 6 平成十九年五月二十四日付の農林水産大臣談話「緑資源機構の談合問題について」によれば、「農林水産省所管の独立行政法人緑資源機構の理事及び課長並びに受注法人の関係者四名、計六名が逮捕されました。この中には林野庁職員OB一名が含まれております」としている。この林野庁職員OBとは、財団法人林業土木コンサルタンツの元環境部長、橋岡伸守容疑者であると承知しているが、平成十六年から平成十八年までの「再就職状況の公表」に同容疑者は記載されていない。容疑者に林野庁職員OBが含まれると政府が判断した根拠を明らかにされたい。
 7 平成十四年度、平成十五年度、平成十六年度、平成十七年度及び平成十八年度の五年間における機構の支出の相手方のうち天下り先受注法人に再就職している機構又は所管省庁出身者の氏名、退職時年齢、退職時の役職、再就職日、再就職先での役職を明らかにされたい。この場合、いわゆる往復の出向者は含まず、再就職までの期間等は問わないものとし、平成十八年四月一日までの十年間において、支出の相手方に再就職した者を対象とする。
 8 本年五月三十一日に開催された緑資源機構談合等の再発防止のための第三者委員会の第二回委員会において、委員より「林野庁及び緑資源機構から、公益法人等に対し、どのぐらいの発注量があり、再就職の状況はどうなっているのかを総合的に分析し、再就職の仕組みを考えることが必要ではないか」との意見が出されていると承知しているが、同委員会から林道建設業務に係る再就職状況の照会がなされた場合でも、前回答弁書「四について」と同様、作業が膨大との理由で回答を拒否するのか。なお、同委員会への回答と質問主意書に対する答弁で政府の対応が分かれる場合、その理由を明らかにされたい。
三 前回答弁書「一及び五について」によれば、林道建設業務における官製談合の有無について、「現在関係当局により調査・捜査中であるところ、お尋ねの点については、お答えは差し控えたい」とのことだが、法面工事を受注していた株式会社モリ技建(前身である株式会社特森技建を含む。以下同じ。)については談合の疑いが指摘されている。同社及び同社と関係の深い特定森林地域協議会(以下「特森協」という。)について以下質問する。
 1 同社の歴代役員のうち機構又は所管省庁出身者の氏名、退職時年齢、退職時の役職、再就職日、再就職先での役職を明らかにされたい。
 2 同社が設立された昭和六十二年以降の同社に対する機構の支出について、支出年月、支出目的、契約形態等(随意契約、指名競争入札、一般競争入札などの別)、金額及び落札率(入札の場合)を明らかにされたい。
 3 平成十四年度、平成十五年度、平成十六年度、平成十七年度及び平成十八年度の五年間における機構の支出のうち土木工事について、特森協の会員法人に対する支出の金額及び全体に占める割合を法人別に明らかにされたい。
四 前回答弁書「六について」によれば、入札談合により生じた損害の回復について、「現在、公正取引委員会により告発されるとともに、検察当局による捜査が行われているところであり、お答えは差し控えたい」とのことであるが、衆議院議員笹木竜三君提出防衛施設庁入札談合事案に関する質問に対する答弁書(平成十八年十月二十七日内閣衆質百六十五第百一号)では「入札談合により生じた損害については、請負者との間で締結した工事請負契約に基づく違約金の請求又は私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)若しくは民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定に基づく損害賠償請求等を行い、回復する考えである」としているところ、同じ質問について政府の対応が分かれている理由を明らかにされたい。
五 前回答弁書「七について」によれば、「本年四月二十六日以降、受注法人への林野庁及び機構からの再就職については自粛しているところである」とのことだが、
 1 自粛策の具体的内容とその周知方法を明らかにされたい。
 2 この自粛は無期限であると理解しているが、将来にわたり撤回しないことを政府として約束するか。
六 赤城徳彦農林水産大臣は本年六月一日の就任記者会見において、機構について「廃止の方向で細部を詰め、検討を急ぐようにと、こういうことで指示しております」と述べたと承知している。
 1 本年五月二十四日の機構幹部の逮捕以降も、緑資源幹線林道大朝・鹿野線戸河内・吉和区間(二軒小屋・吉和西工事区間)においては土木工事が継続されていると承知しているが、幹線林道事業で現在も工事を継続している全ての工事区間を明らかにするとともに、同工事に係る契約について、契約の名称、契約相手方(機構又は所管省庁出身者が在籍する法人の場合はその旨を明記すること)、契約日、契約方式、予定価格、契約価格及び落札率を示されたい。
 2 この検討の結論が出るまでは、林道事業を含む機構の全業務を凍結すべきでないか。

 右質問する。



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