質問本文情報
平成十九年八月八日提出質問第二一号
都市計画税に関する質問主意書
提出者 平野博文
都市計画税に関する質問主意書
都市計画税は、都市計画事業又は土地区画整理事業(以下、都市計画事業等という)の費用に充てるため、目的税として課されている地方税である。しかし納税者の立場からは、その使途や受益と負担の関係が必ずしも明らかではなく、固定資産税との違いも見えにくいのが現状であると考える。
従って、次の事項について質問する。
1 二〇〇〇年以降の各年度における、以下の数字を具体的に示されたい。
@ 都市計画税の使途目的とされる都市計画事業等の事業費総額
A @のうち、都市計画税を導入している自治体における事業費の総額
B Aのうち、国や都道府県の補助金等を除く、都市計画税課税団体の自己負担にかかる費用の総額
C 都市計画税徴収額の総額
D Bに占めるCの割合
2 都市計画税は目的税である以上、その使途目的に従い正しく充当されなければならない。そこでうかがうが、都市計画税が都市計画事業等以外の費用に流用されているケースはないか。もしあるならば、その市町村数および総額を明らかにされたい。
3 都市計画事業に充てるという徴税目的や、流用を防ぐ観点に照らし、原則として、都市計画税の税収が当該団体の都市計画事業等の事業量を超えて余剰を生じることは適当ではない。この点、余剰を生じているケースはないか、仮にあるならばそれはどれだけの市町村数・金額に上るのか、示されたい。
4 国は、2、3に挙げた違法充当や余剰の有無について、いつごろから課題として認識しているか。また、これを把握・解消するためにどのような措置を講じてきたか。
5 都市計画税は、その使途目的である都市計画事業等の範囲が広いこと、過去の事業の償還財源としても充当でき、単年度の事業量と税収は必ずしも比例しないことなどといった事情もあり、その充当状況を外部から知ることは、一般に容易ではない。従って、都市計画税課税団体自らとしても、その使途を明確にするための措置を講ずる必要があると考えるが、どうか。
6 都市計画税の使途を明らかにするのみならず、他の事業への流用を防止するためには、都市計画税についての特別会計を設けて、一般財源とは分別管理することがもっとも確実である。この点、このような特別会計を設けている自治体はどれだけあるか(下水道事業特別会計等の個別事業の特別会計は除く)。あわせて、このような特別会計を設けることについての国の見解をうかがいたい。
7 6のほか、予算・決算上、都市計画税の充当状況を明確にしている自治体がどれだけあり、それぞれどのような措置が講じられているか、示されたい。
8 国は、市町村による都市計画税の使途の明確化を促進するため、どのような措置を講じてきたか。
二 都市計画税は、そもそも、都市基盤整備が喫緊の課題であった時代において、都市計画事業等の実施による利益を受ける者に負担を求めるという、受益者負担の趣旨を徹底する観点から導入されたものである。
しかし今日においては、都市基盤の大規模新規創出や、災害復旧等の必要がある場合は別としても、一定の都市基盤整備が進んだ地域においては、通常の都市基盤の維持改良に伴う不動産の一般的な価値の向上という「受益」は、課税標準となる価格の上昇という形で、固定資産税の中で評価が尽くされているというべきである。とすれば、一般に、固定資産税と別に、都市計画税という税目を別途維持するだけの相当性は失われているとも思われる。以下、こうした観点からうかがいたい。
1 土地・家屋所有者を都市計画事業等の受益者とみなして、事業費を負担いただくという都市計画税の性質について、国は、国民にどの程度理解されていると考えているか。また、各市町村においては、住民への周知のため、どのような措置がとられているか、具体的措置の種類及びそれぞれの市町村数についてお答えいただきたい。
2 都市計画税の納税に関し、例えば納税通知書などは「固定資産税・都市計画税納税通知書」という形で一枚で送付されることが通常である。その他の課税明細・証明・説明等の書類においても、両者の区分は、表記上金額等を別に計上する程度にとどまることが多い。
しかし両者は、課税標準や課税方法の点で実質的に重なる点が多いとはいえ、建前上課税趣旨は異なり、一方は普通税、一方は目的税とその性質も異にしているはずである。
にもかかわらず、課税の便宜のみを優先し両者を一括して通知・課税するような扱いは、納税者にとってはもちろん、課税する市町村側においても、都市計画税を固定資産税の上乗せ税程度にしか認識していない結果ではないか。国は、この状況をどのように認識しているか、なぜ市町村におけるこのような取り扱いを放置しているのか、うかがいたい。
3 都市計画税徴収団体のうち、制限税率の上限税率を適用している自治体はどれだけあるか。
4 地方分権の観点からは、地方税の自由度、課税自主権は拡大されていくことが望ましいが、都市計画税は、受益者負担の考え方に立つものであって、都市計画事業等の事業量に応じて定められるべきものであって、事業量と全く関係なく税率を設定することは、その制度趣旨に反すると理解するが、どうか。
5 現実には、多くの都市計画税徴収市町村において、半ば漫然と上限税率が適用され、適切な税率の見直しが行われていない状況が見られると考えるが、この点、政府の認識をうかがいたい。
6 関連して、現在及び過去を問わず、都市計画税の賦課を軽減することで、地方債の起債、地方交付税交付金の配分等において、事実上、自治体が不利益を蒙るという事態がありうるか否か、うかがいたい。
7 都市計画税が改めて導入されてから半世紀以上経過しながら、その趣旨目的が国民にも自治体にも十分理解されていないこと、目的に応じた柔軟な課税がなされているといいがたいこと等の現状に鑑みれば、都市計画税は基本的にその役割を見直すべき時期に来ていると考えるべきではないか。固定資産税と一本化し、市町村に説明責任を尽くさせる中で現在の都市計画税分も含めた妥当な課税水準・税率を決めさせる方が、地方の自由度も増し、土地・家屋に対する課税への国民の理解も得られるのではないか。政府の見解をうかがいたい。
右質問する。