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平成二十年一月二十五日提出
質問第二八号

近年の冤罪事件を受けて警察庁が公表した「警察捜査における取調べ適正化指針」に関する質問主意書

提出者  鈴木宗男




近年の冤罪事件を受けて警察庁が公表した「警察捜査における取調べ適正化指針」に関する質問主意書


 冤罪という言葉について、「政府答弁書一」(内閣衆質一六八第一一一号)では「お尋ねの『冤罪』については、法令上の用語ではなく、様々な意味で用いられることがあるものと承知しており、お尋ねについて一概に答弁することは困難である。」との答弁がなされ、確たる定義はないとの政府の見解が示されているが、当質問主意書においては、富山県氷見市の柳原浩氏が強姦などの容疑で富山県警に誤認逮捕され、二年あまり服役した後に無罪が確定した事件(以下、「富山事件」という。)や、二〇〇三年の鹿児島県議選において中山信一氏と志布志市の運動員ら十五人を公職選挙法違反容疑で逮捕し、強圧的な捜査等により自白を強要し、後に全員の無罪が確定した事件(以下、「志布志事件」という。)の様に、無実の人間に罪を着せることを冤罪と定義する。右と「政府答弁書二」(内閣衆質一六八第一三八号)及び「政府答弁書三」(内閣衆質一六八第一七三号)を踏まえ、以下質問する。

一 警察庁は二〇〇八年一月二十四日、「富山事件」や「志布志事件」等近年の冤罪事件により低下した警察庁の信頼を取り戻し、右の冤罪事件の再発防止のため、来年四月以降に全国の警察署にある約一万千カ所の取り調べ室を新たに設置される監督担当者がマジックミラーを通して監督する等の仕組みの導入等を謳い、取り調べ中に行うことを禁止する、監督対象行為となる七つの行為(以下、「行為」という。)を定めた「警察捜査における取調べ適正化指針」(以下、「指針」という。)を発表したと各紙新聞は報道(以下、「報道」という。)しているが、「指針」の内容を改めて詳細に説明されたい。
二 「報道」によると、「指針」では全国の警察本部に容疑者の取り調べを監督する監督担当課を新たに設置し、捜査部門以外の警察官を監督担当者(以下、「監督担当者」という。)として取り調べ中に「行為」が行われていないかチェックさせる方針であるとのことであるが、「監督担当者」は取り調べを監督しながら、取り調べがどの様に行われているか、取り調べの中で「行為」が行われていないか等、詳細な記録を作成することは義務付けられるか。
三 「監督担当者」に、警察官以外の者を含める考えはあるか。
四 三で、「監督担当者」に警察官以外の者を含める考えがなく、「監督担当者」が警察官のみで構成されるのならば、警察官である「監督担当者」が、同じく警察官が取り調べにおいて「指針」に反して「行為」を行ったとしても、適正な判断を下し、然るべき対処をすることができないケースもあり得ると考えるが、政府の見解如何。
五 録画・録音等の方法による取り調べの可視化(以下、「可視化」という。)について、「政府答弁書二」と「政府答弁書三」では、それぞれ「現在の刑事訴訟の実務上、適正な取調べによって得られた被疑者の供述が事案の真相を解明する上で極めて重要な役割を果たしていることにかんがみると、取調べの全過程について録音・録画を義務付けることについては、被疑者と取調官との信頼関係を築くことが困難になるとともに、被疑者に供述をためらわせる要因となり、その結果、真相を十分解明し得なくなるおそれがあるほか、取調べ中における組織犯罪に関する情報収集や関係者の名誉・プライバシーの保護に支障を生ずるおそれがあるなどの問題があるので、慎重な検討が必要であると考えている。」、「取調べの全過程について録音・録画を義務付けることについては、第二回答弁書七及び八についてで述べたとおり種々の問題があるので、慎重な検討が必要であると考えている。」と、「可視化」の実施について慎重であるべきとの答弁がなされている。「報道」によると、取り調べに関して容疑者から苦情があった場合には、「監督担当者」が事実関係を調査する方針であるとのことであるが、二で、「監督担当者」が取り調べの監督記録を作成することが義務付けられないのならば、果たして容疑者からの苦情に対して適正な調査を行えるのか。
六 二で、「監督担当者」が取り調べの監督記録を作成することを義務付けられるにしても、警察官のみが「監督担当者」の任に就くのならば、四で述べた様に、自身と同じ警察官である取り調べをした側に寄った判断を下すこともあると考えるが、政府の見解如何。
七 五と六のケース両方を鑑みても、真に公正で公平な取り調べを行い、冤罪をなくす上でも「可視化」の実施は必要であると考えるが、政府の見解如何。
八 七で、それでも政府が「可視化」の実施に対して慎重であるべきと考えるのなら、具体的にどの様なケースが五の政府答弁にある様に「被疑者と取調官との信頼関係を築くことが困難になるとともに、被疑者に供述をためらわせる要因」となり得ると政府が考えるのか、その具体的根拠を示されたい。

 右質問する。



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