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平成二十年四月七日提出
質問第二七二号

介護予防継続的評価分析支援事業に関する質問主意書

提出者  山井和則




介護予防継続的評価分析支援事業に関する質問主意書


 介護保険法等の一部を改正する法律附則第二条第二項には、「政府は、法律の施行後三年を目途として、予防給付及び地域支援事業について、その実施状況を勘案し、費用に対するその効果の程度等の観点から検討を行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」とある。
 介護保険法の見直しでは、できる限り要支援・要介護状態になることを予防できるよう、「介護予防」を重視した制度改正が行われ、予防給付の見直し(新予防給付の導入)とともに、要支援・要介護状態になる前から介護予防を推進するため、要支援・要介護になるおそれの高い特定高齢者等を対象にした地域支援事業が導入された。
 平成二〇年三月三一日に開催された第三回介護予防継続的評価分析等検討会では、継続的評価分析支援事業の実施状況、介護予防サービスの効果分析について(暫定仮集計)、介護予防サービスの回数の変化(仮集計)等が示されている。
 データ分析は設計に対して統計的に正しい結果が出るものであるという常識に照らした場合、「介護予防」の評価分析の設計が妥当なものであるかどうかの検証は、広く国民の理解を得るためにも極めて重要な作業と考える。
 第三回介護予防継続的評価分析等検討会における予防給付及び地域支援事業の具体的な効果についての報告について、以下の質問を行う。

〔対象市町村の選定について〕
一 第三回介護予防継続的評価分析等検討会では、継続的評価分析支援事業の実施市町村は八三市町村と報告されているが、実施市町村の抽出方法を示されたい。
二 継続的評価分析支援事業のために抽出した八三市町村は、一六七九保険者(二〇〇七年現在)中五%の比率になる。この五%を対象とする評価分析の結果が、残る九五%の市町村の高齢者に対しても普遍的な「介護予防」の評価分析結果と位置づけることができる根拠について示されたい。
〔評価分析の対象者の抽出について〕
三 第三回介護予防継続的評価分析等検討会の資料2「介護予防サービスの効果分析について(暫定仮集計)」では、特定高齢者施策の対象者、予防給付の対象者について、導入前後の比較分析が行われている。しかし、「介護予防」(特定高齢者施策、予防給付)の効果をデータではかるには、「介護予防」以外の様々な要因が「維持」あるいは「改善」に寄与している可能性がある。評価分析の精度を高めるには、「介護予防」の対象者のみの評価分析では不十分と考えるが、これについて政府の見解を示されたい。
〔評価分析の手法について〕
四 第三回介護予防継続的評価分析等検討会の資料2「3.2.分析」の「A 人・月単位での集計について」には、「以下(2)で述べるとおり、特定高齢者施策導入後の調査対象群については、継続的評価分析支援事業への調査登録時期や調査終了時期が異なるため、各々の追跡期間が異なる。したがって、調査対象群の状態の変化を把握するためには、(人・月)単位での集計を行う必要がある」とあるが、追跡期間が異なることを理由に、「(人・月)単位での集計を行う必要がある」と結論づけた具体的理由を示されたい。
五 第三回介護予防継続的評価分析等検討会の資料2「5.仮集計に関する結論」では、「新たな介護予防施策を導入したことによって、当該施策導入前に比べ、維持・改善する(人・月)の割合は増加し、悪化する(人・月)の割合は減少することが明らかになった」と結論づけたあとに、「こうした(人・月)法に基づく割合の変化を、ただちに介護予防効果の大きさとみなすことについては、様々な議論がある」とある。「様々な議論」の具体的内容について示されたい。
〔効果分析結果の分類方法について〕
六 第三回介護予防継続的評価分析等検討会の資料2の「3.特定高齢者施策導入の効果分析について」では、結果が「維持・改善群」と「悪化群」に二分されている。しかし、特定高齢者施策の効果をはかる場合、「維持・改善群」という合算ではなく、「維持」群なのか、「改善」群なのかを分けて評価分析することが重要と考える。前記検討会の資料において、なぜ「維持・改善群」というまとめ方をしているのか理由を示されたい。また、「維持群」と「改善群」を分けた調査結果の概要を示されたい。
七 第三回介護予防継続的評価分析等検討会の参考資料3「平成一八年度介護予防事業報告」の「U 報告結果」の表では、介護予防特定高齢者施策の年間終了者数三一二三一人について、「改善数」、「悪化数」、「死亡数」、「その他」、「不明」という分類がなされているが、「維持数」の項目が存在しない。
 @ 「維持数」の項目がない理由を示されたい。
 A 「改善数」の「改善」の内容について示されたい。
八 第三回介護予防継続的評価分析等検討会の資料2の表1「平成一七年調査時に特定高齢者候補該当者であった者の平成一八年度調査の結果」には、「平成一八年調査の結果(人)」、「(A)性、年齢、チェックリスト調整後(人)」、「(B)(人・月)」の三項目がある。同じく表2「対象者の状態の変化(平成一九年一月〜一一月)」には「状態の変化(人・月)」の一項目がある。同じく表3「一〇〇〇人の特定高齢者(施策導入前は特定高齢者候補該当者)を一年間追跡した結果(状態の変化)」として、「導入前」と「導入後」が(人・月)単位で示されている。表3に基づき、「導入前」の悪化群三.五%が「導入後」一.九%になったとの結論を導いているが、結論の妥当性を示すためには、表2においても「平成一八年調査の結果(人)」、「(A)性、年齢、チェックリスト調整後(人)」のデータを公表する必要があると考えるが如何か。「対象者の状態の変化(平成一九年一月〜一一月)」について、「平成一八年調査の結果(人)」、「(A)性、年齢、チェックリスト調整後(人)」はどのような状況となっているのか数値を示して説明されたい。
〔仮集計の結論について〕
九 第三回介護予防継続的評価分析等検討会の資料2「3.3.結果」において、「一〇〇〇人の特定高齢者(施策導入前は特定高齢者候補該当者)を一年間追跡した場合、悪化群の占める割合は、一二〇〇〇(人・月)中、導入前の三.五%から導入後の一.九%(その差は一.六%)に減少することが確認された」とある。
 @ 一〇〇〇人から一二〇〇〇(人・月)に加工されたデータの三.五%と一.九%の差がある意味を示されたい。
 A この比較における誤差の範囲について、そして、統計的に有意である理由について、具体的に説明されたい。
一〇 第三回介護予防継続的評価分析等検討会の資料2「5.仮集計に関する結論」では、「新たな介護予防施策を導入したことによって、当該施策導入前に比べ、維持・改善する(人・月)の割合は増加し、悪化する(人・月)の割合は減少することが明らかになった」という報告は、「新たな介護予防施策を導入したことによって、当該施策導入前に比べ、維持・改善する人の割合は増加し、悪化する人の割合は減少する」という結論と違いがあると考えられるが、その違いについて示されたい。
一一 改正介護保険法の施行により新たに導入された予防給付では、介護予防訪問介護、介護予防通所介護、介護予防通所リハビリテーションの介護報酬が月単位の定額制となり、受給者のサービス利用回数が実質的に制限されている。
 第三回介護予防継続的評価分析等検討会の資料3「介護予防サービスの利用回数の変化について(仮集計)」では、改正前と改正後の利用回数が示されているが、介護報酬改定による利用制限の効果≠「介護予防の効果」とみなすことが危惧される。
 @ 「介護予防の効果」とは何か、具体的に示されたい。
 A 予防給付のサービス利用回数の比較により、「介護予防の効果」を検証できると考える根拠を具体的に示されたい。
〔今後の検討の方向性について〕
一二 第三回介護予防継続的評価分析等検討会の資料2「6.今後の検討の方向性について」の「6.1.新たな介護予防施策導入の効果分析について」では、「A 状態の変化に関する調査結果(単位:人・月)から、毎月同じ人数が悪化すると仮定として悪化発生率を推計する方法」が候補として挙げられているが、「毎月同じ人数が悪化すると仮定」する理由について、示されたい。
一三 第三回介護予防継続的評価分析等検討会の資料2「6.今後の検討の方向性について」の「6.2.新たな介護予防施策導入の費用対効果分析について」では、「新たな介護予防施策導入の費用対効果を分析するに当たっては、介護予防施策導入前及び導入後の集団を一定期間(例えば一年間)追跡する期間中に、それぞれにかかった費用及び得られた効果を算出した上で、その比較を行うことが適当である」として、「・費用については、介護予防を目的として投入される費用と、調査対象者の追跡期間中に生じた介護給付費の変化を、どのように算入することが適当なのか」、「・それぞれの費用算出に用いる単価については、どのデータを用いることが適当なのか」と課題が提示されている。
 費用の算出については、検討課題が提示されているが、効果の算出も検討する必要があると考える。しかし、仮集計の結果についての検討をしないまま、効果の算出はできない。また、どの分野においても広義の効果を算出するには困難が伴うと思われる。「5.仮集計に関する結論」では、「ただし、こうした(人・月)法に基づく割合の変化を、ただちに介護予防効果の大きさとみなすことについては、様々な議論がある」と報告されている。暫定的な結果に基づき、次の分析作業に進むことの妥当性に疑問があるが、政府の見解を示されたい。

 右質問する。



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