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平成二十年五月二十六日提出
質問第四二二号

株式会社アール・ディエンジニアリング産業廃棄物処分場問題及び産廃特措法に関する質問主意書

提出者  三日月大造




株式会社アール・ディエンジニアリング産業廃棄物処分場問題及び産廃特措法に関する質問主意書


 株式会社アール・ディエンジニアリング(滋賀県栗東市上砥山二百九十二番地の一)の産業廃棄物最終処分場(以下「アール・ディ処分場」という。)は、昭和五十四年に、滋賀県栗東市小野に安定型処分場として滋賀県より許可を受けて設立され、産業廃棄物の埋立て事業を開始した。平成三年頃から許可区域外の掘削・埋立てや、ばい煙・ばい塵に対する苦情が頻発したほか、平成十年に許可区域を越える産業廃棄物の処分が発覚し、平成十一年には高濃度の硫化水素ガスが検出され、地下水調査においても鉛やダイオキシン類が基準を超えて検出されるなど、周辺環境への汚染問題も明らかになった。さらに、平成十七年及び十九年には同処分場西側等の掘削調査により、大量のドラム缶、一斗缶及び木くずが見つかるなど同処分場の不適正処理が発覚した。
 このため、滋賀県は、株式会社アール・ディエンジニアリングに対し二度にわたる廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)による改善命令を行い、是正工事を行わせるなどの措置を講じ、平成十八年には、ドラム缶、一斗缶及び木くずの撤去を内容とする同法による措置命令を発動したが、同社は平成十八年六月に自己破産した。
 滋賀県は、この問題について、一連の県の対応及び再発防止策について検証を重ね報告書をまとめたほか、生活環境保全上の支障除去について、平成十八年十二月に「RD最終処分場問題対策委員会」を設置して対策について検討し、本年四月に「特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法(以下「産廃特措法」という。)」及び廃棄物処理法の定める支援を受けることが対策工の計画的で円滑な実施につながる旨を明記した基本方針を含む報告書を提出した。今後、同県は、この報告書に基づき対策工事を進める予定である。
 一方で、産廃特措法は、平成二十五年三月三十一日までの時限立法であり、アール・ディ処分場問題について、同県が同法による財政的支援期限までに、アール・ディ処分場からの支障の除去等の対策工事(以下「対策工事」という。)を完了させることは困難な状況にある。
 そもそも、産廃特措法は平成十年六月以前に不適正処分された産業廃棄物による支障の除去費用等の支援制度を創設するために制定されたものであるが、その立法目的を現在まで十分に果たしてきたのか、また、その役割を平成二十五年三月三十一日をもって終えさせることが妥当なのか甚だ疑問である。
 今後、本件以外の事案においても、平成十年六月以前に不適正処分された産業廃棄物による支障の除去が必要となり、産廃特措法による財政的支援が求められる事案が発生する可能性が十分考えられることからも、同法の施行状況及び問題点について、この際十分に検討しておく必要がある。
 アール・ディ処分場問題については、許可容量を超えて埋め立てられた産業廃棄物が今なお同処分場周辺住民の生活環境に支障を及ぼすおそれが指摘されており、このため周辺住民は、それらの及ぼす健康被害のおそれに強い不安を抱きながら日々生活することを強いられ続けている。
 今後施工される予定の対策工事についても、産廃特措法の期限切れに一切左右されることなく、一刻も早く支障の適正な除去が行われることを周辺住民すべてが願っているところである。
 そこで、アール・ディ処分場問題について、周辺住民の健康問題、産業廃棄物処分場の適正な管理と安全確保の観点から、政府は、その実態の把握と地元自治体等への支援に全力で当たるとともに、産廃特措法の施行状況を検証し、その問題点を十分に把握して、期限延長を含めた同法の見直しをしていく必要があると考える。
 以下質問する。

一 アール・ディ処分場問題について
 1 アール・ディ処分場問題は発生から八年が経過したにもかかわらず今なお環境汚染のおそれが認められる。その間の滋賀県のとった対応については認識の甘さや体制不備を指摘する声もあるが、本件について県に対し指導及び助言等をする立場にある政府はどのような認識を持っているか。またこの間の政府による対応内容はどのようなものであったのか。
 2 対策工事は、言うまでもなく安全かつ効果的に行われなければならず、また、「安定型最終処分場廃止基準を満足する状態」及び「将来においても支障を生じないことが確認できる状態」のレベルで完成させなければならない。もちろん、対策工事による周辺地域への悪臭被害や有害物質の飛散等、住民への二次的被害の発生が決してあってはならない。そこで、政府として、対策工事の適正な実施の確保のため、同県に対して周辺住民への二次的被害発生の防止に努めるための指導及び助言等を行う必要があると考えるがいかがか。
 3 対策工事について、その円滑な実施のためにも、産廃特措法に基づく特定支障除去等事業における実施計画書に対し環境大臣の迅速な同意が必要であると考えるがいかがか。
 4 同県の「RD最終処分場問題対策委員会」報告書の内容について、政府としてどのような認識及び所見を持っているか具体的に明らかにされたい。
 5 同県の「RD最終処分場問題対策委員会」報告書には、支障の除去等の基本方針に基づく対策工事について計画的かつ円滑な実施のために産廃特措法及び廃棄物処理法に基づく財政的支援を受けることが明記されているが、これについての政府の見解及び対応方針を明らかにされたい。
 6 アール・ディ処分場問題は、周辺住民の合意と納得を得たうえで解決しなければならないと考えるが、政府はこの問題が産廃特措法の適用期限内に解決できるものと認識しているのか。また、もしその期限内に解決できるものとは認識していない場合には、この問題に対し、政府として今後どのように対応していく方針なのか、具体的に答えられたい。
 7 産廃特措法の適用期限が措置命令及び代執行の内容の選択肢を狭めてしまうことは、憲法第二十五条に規定されている生存権及び廃棄物処理関係法令の趣旨にも反すると考えるが、政府の見解はいかがか。
 8 アール・ディ処分場問題の現在の状況にかんがみ、また、これから産廃特措法に基づき解決を図ろうとする場合、平成二十五年三月三十一日の産廃特措法の期限の到来を前に、支障の除去に係る選択肢が限定されてしまう可能性について、政府としての認識と見解を明らかにされたい。
二 産廃特措法について
 1 同法の施行状況について、実施件数、除去量、総事業額について、年度ごとに明らかにされたい。
 2 総事業額のうち、実際に自治体が負担した額、国の負担額、その他の者が負担した額並びにそれぞれの負担割合を案件ごとに明らかにされたい。
 3 同法の適用対象を平成十年六月以前に限定した理由を明らかにされたい。
 4 平成十年六月以前とそれ以後で国や産業界の支援に格差が生ずるが、産廃問題は年月に関係なく発生しており、適用対象を特定の時期で区切ることは適切でないと考えるが政府の見解を明らかにされたい。
 5 同法を十年間の時限立法とした理由を明らかにされたい。
 6 同法に基づく対策により、政府は平成十年六月以前の事案について、法制定時において、どの程度の件数を処理するものと想定していたのか。
 7 同法の失効後も、平成十年六月以前の事案に係る処理について、政府は支援を行う意思はあるのか。もしその意思があるとすれば、どのような支援を行う予定であるか、その具体的な支援内容を明らかにされたい。
 8 同法の十年間の期限を延長する必要があると思うが、これに対する政府の見解を明らかにされたい。

 右質問する。



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