質問本文情報
平成二十年六月二日提出質問第四六〇号
後期高齢者医療制度への移行に伴う「保険料額の変化に関する調査」に関する質問主意書
提出者 山井和則
後期高齢者医療制度への移行に伴う「保険料額の変化に関する調査」に関する質問主意書
政府は、国民健康保険から後期高齢者医療制度への移行に伴う「保険料額の変化に関する調査」(以下「本件調査」という。)を実施しているところである。この調査について、次のとおり質問する。
二 本件調査では、単身者、共に七十五歳以上の夫婦、一方が七十五歳以上の夫婦、子供夫婦と同居する一人親の四つの世帯類型で調査が行われるとのことである。調査結果の集計に当たっては、世帯類型の分布頻度の違いを勘案した重み付けを行うかどうかを教えていただきたい。また、世帯類型の分布頻度の違いを勘案した重み付けを行う場合には、世帯類型の分布頻度をどの資料に基づき、どのようにとらえて、集計に反映するか教えていただきたい。
三 本件調査では、当該世帯で最も多い年金を受給する方の年金収入に着目して、七十九万円、二百一万円、四百万円の三類型に、世帯を分けて、調査が行われるとのことである。調査結果の集計に当たっては、年金収入の分布頻度の違いを勘案した重み付けを行うかどうかを教えていただきたい。また、年金収入の分布頻度の違いを勘案した重み付けを行う場合には、年金収入の分布頻度をどの資料に基づき、どのようにとらえて、集計に反映するか教えていただきたい。
四 自治体の人口等及び世帯の類型・年金収入の分布頻度を勘案した重み付けを行わず、負担減となるサンプル世帯数を単純に合計し、全サンプル世帯数に対する割合を算出する集計が行われた場合、その結果が、全国における負担減世帯の割合をあらわすものであると政府が考えるかどうかを、明らかにしていただきたい。
五 本件調査では、資産割額が賦課される方式の市町村については、基礎年金のみで生活する高齢者のみの低所得世帯においても、資産割額を一世帯あたり一万八千九百七十三円として計算することとなっているとのことである。また、この一世帯あたり一万八千九百七十三円という金額は、平成十八年度国民健康保険実態調査の速報値に基づく、資産割額が賦課される方式の市町村における、低所得世帯も高所得世帯もすべて含む全世帯を対象とした、一世帯あたりの資産割額の平均であると理解するが、以上の理解に間違いはないか。
六 一般には、低所得者の保有する固定資産の方が、高所得者の保有する固定資産より少ないと考えられるが、政府が、低所得者と高所得者が同一の資産割額を負担すると仮定して、本件調査を行った根拠を教えていただきたい。
七 公開されている平成十七年度国民健康保険実態調査を見ると、第一表世帯票の第二表の一に、基礎年金のみで生活する世帯もその中に含まれるところの、所得なしの世帯において算定された資産割額の総額は、二百十二億七千九十八万一千円とある。また、同表に市町村国民健康保険の被保険世帯は、全体で二千五百十七万六千七百五十世帯であり、このうち所得なしの世帯は、六百三十二万四千六百五十世帯とある。この数値から、国民健康保険全体で見ると、所得なしの世帯は全世帯の二十五・一二%となる。また、第二表市町村票の第三表の一を見ると、資産割額を賦課する四方式の自治体における全被保険世帯数は、一千百七十六万七百八世帯とある。そこで、もし、四方式自治体における所得なしの世帯の割合が、国民健康保険の全体と等しいと仮定すれば、四方式自治体における所得なしの世帯の数は、二百九十五万四千四百七世帯となる。この世帯数で、所得なしの世帯において算定された二百十二億七千九十八万一千円を除すると、七千二百円となる。このことから、所得なしの低所得世帯における平均的資産割額は七千二百円程度であり、後期高齢者の世帯においても、これはほぼ同じと考えられるのではないかと思うが、政府の見解はいかがか。また、高齢者を含む所得なしの世帯を対象とした、より正確な資産割額の試算方法があれば、その方法と結果を教えていただきたい。
八 もし七に述べた所得なしの低所得世帯における資産割額が七千二百円程度との推計が、おおむね正しければ、基礎年金のみで生活する低所得世帯で一世帯あたり資産割額一万八千九百七十三円との本件調査で採用された前提は、実態に即さないものとなる。そして、本件調査は、低所得者における従来の国民健康保険料を、実態より高く推計するものとなり、後期高齢者医療制度への移行を実態よりも有利に見せかけるものとなると考えるが、政府の見解はいかがか。
右質問する。