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平成二十年六月六日提出
質問第四八四号

淀川水系の治水対策および淀川水系流域委員会に関する質問主意書

提出者  前原誠司




淀川水系の治水対策および淀川水系流域委員会に関する質問主意書


 淀川水系の治水対策および淀川水系流域委員会に関して、以下質問する。

一 平成十七年七月一日に国土交通省近畿地方整備局が発表した「淀川水系五ダムについての方針」において、大戸川ダム事業について当面実施せずとした理由は、「宇治川・淀川に対する洪水調節効果は小さく、治水単独目的の事業となることで治水分の事業費が増加し経済的にも不利になる。」というものであった。
 @ 昨年八月に発表された淀川水系河川整備計画原案(以下「原案」という。)で大戸川ダム建設を実施するとしているが、ダムの洪水調節容量が増大していないにもかかわらず、宇治川・淀川に対する洪水調節効果が大きくなった理由は何か。政府の見解を問う。
 A 大戸川ダムは治水単独事業であることに変わりはなく、また昨年十二月にはさらに三百四十億円の事業費増加が明らかにされているにもかかわらず、「淀川水系五ダムについての方針」発表時と比べて、大戸川ダム事業が経済的に不利でなくなった理由は何か。政府の見解を問う。
二 近畿地方整備局は、「淀川水系五ダムについての方針」で大戸川ダム事業を当面実施せずとした方針を「原案」において覆した理由として、淀川本川の堤防強化は概ね五年間程度で完了できることが分かったとし、大戸川ダム事業を当面実施しないとした理由が、あたかも淀川本川の堤防強化に相当程度の時間と費用を要することであるかのような説明をしている。
 「淀川水系五ダムについての方針」において、大戸川ダム事業を当面実施しない理由が、淀川本川の堤防強化に相当程度の時間と費用を要することであるということを示した近畿地方整備局の作成した文書があれば概要について説明されたい。
三 近畿地方整備局が示しているシミュレーションによると、淀川において、桂川の掘削等、「原案」に示された対策が実施された場合、近畿地方整備局が検証に用いた三十三パターンの計画規模洪水の中で、大戸川ダムがない場合に計画高水位を超過するのは二パターンであり、計画高水位を超過する区間は三.六キロメートル、超過高は最大十七センチメートルである。
 そして近畿地方整備局は、大戸川ダムがないと計画高水位を最大十七センチメートル超過することにより、淀川の堤防が破堤し、被害額が十九兆四千八百億円になり、大戸川ダムがあると洪水位は計画高水位以下二センチメートルとなり、淀川は破堤せず被害はゼロとなるとの説明をしている。
 @ 前記の超過区間三.六キロメートルにおいて、計画高水位より十七センチメートル高い所まで、計画高水位以下と同様の安全性を有する浸透、洗掘対策を行った場合の事業費を示されたい。
 A 淀川水系流域委員会が、前記事業費を示すよう求めているにもかかわらず、近畿地方整備局が未だ示さない理由は何か。政府の見解を問う。
四 近畿地方整備局が行ったシミュレーションで、昭和二十八年十三号台風と同程度の雨が降った場合、大戸川ダムおよび天ヶ瀬ダム再開発事業が完成した後の方が、宇治川の洪水位が現状より高くなり、危険になる理由は何か。政府の見解を問う。
五 近畿地方整備局は、「計画高水位(安全基準)はわずかだからといって侵して良いものではない」とし、建築物の耐震の安全基準、船舶の喫水、飛行機の搭乗者数、残留農薬基準と同じであるとの説明を行っている。
 河川管理施設等構造令には、「堤防は、護岸、水制その他これらに類する施設と一体として、計画高水位以下の流水の通常の作用に対して安全な構造とする」と定めてはいるが、洪水時の水位が計画高水位を越えることを禁じた条文はない。
 @ 洪水時において水位が、わずかでも計画高水位を越えてはいけないという基準は、どのような法令で定められているのか。条文を示されたい。
 A また、近畿地方整備局が行ったシミュレーションは、「原案」で盛り込まれた対策が完成した後においても、宇治川、木津川、桂川において計画規模洪水はもちろんのこと、戦後最大洪水(昭和二十八年十三号台風)においても、計画高水位を越える区間があることを示している。
  「計画高水位(安全基準)はわずかだからといって侵して良いものではない」にもかかわらず、「原案」完成後においても洪水位が計画高水位を越えている理由は何か。政府の見解を問う。
六 平成十二年六月に河川局治水課が策定した「河川堤防設計指針」では、「越水に対しても一定の安全性を有するような堤防(難破堤堤防)を整備する必要がある。」として、設計方針および手順、形状や構造の設定、並びに安全性の詳細等を定めた「越水に対する難破堤堤防の設計」が示されていたにもかかわらず、平成十四年に「河川堤防設計指針」から越水に関する記述がすべて削除された理由は何か。政府の見解を問う。
七 平成十年度国土交通省重点施策では、たとえ越水しても急激に破堤しないよう、堤防の強化対策を進めると示されている。
 平成十二年度河川局重点施策では、災害復旧助成事業の実施内容に、氾濫・越水しても破堤しない対策(耐越水堤防)が追加されている。
 @ 淀川水系流域委員会が堤防の越水対策の実施を求めていることに対して、近畿地方整備局は「効果が不明であり、あてにすることはできない」と説明しているが、効果が不明であり、あてにできない施策を国土交通省の重点施策とした理由は何か。政府の見解を問う。
 A 三重県雲出川で整備された耐越水堤防の延長および事業費を示されたい。
 B 「効果が不明であり、あてにすることができない」難破堤堤防が雲出川で整備された理由は何か。政府の見解を問う。
八 淀川水系流域委員会が、近畿地方整備局に対して求めている、「堤防の計画高水位以上の強化および耐越水堤防への強化対策と流域対応等他の施策との組み合わせについて、事業費を明示した上で優先度の検討を行い、破堤による壊滅的被害の回避・軽減を流域全体で最優先に取り組むための具体的な計画」は、いつまでに示されるのか。
九 堤防の破堤は、浸水被害と比べて格段に、多くの人命を失う可能性が大きい。
 近畿地方整備局が示しているシミュレーションは、どのような規模の洪水が発生したときに、どの区間で洪水位が計画高水位を越え、また堤防から越水するかを示すことにより、破堤の危険性について明らかにしている。
 堤防の計画高水位以上の強化および耐越水堤防への強化の方針は、国土交通省の重点施策等で示され、設計指針が定められ、実施された実績もある。
 淀川水系流域委員会が求めている堤防の計画高水位以上の強化および耐越水堤防への強化について、近畿地方整備局が優先的に実施しないとしている理由は何か。政府の見解を問う。
十 淀川水系流域委員会が四月二十五日に近畿地方整備局に提出した意見では、「原案」の見直し・再提示を求めているにもかかわらず、近畿地方整備局は「原案」は見直し・再提示する性格ではないという旨の説明を行っているが、「原案」は見直し・再提示する性格ではないということは、どこで、何によって定められているのか示されたい。
十一 「原案」に対して学識経験者から意見を聴き、住民の意見を反映して、整備計画案を作成し、その上で関係自治体から意見を聴くということが河川法に基づく整備計画策定の過程であると認識している。
 淀川水系流域委員会は、最終意見を出す以前に整備計画案を作成して関係自治体に提示することは、「見切り発車」であり、そのようなことがないようにと近畿地方整備局に強く求めている。
 淀川水系流域委員会の最終意見提出以前に整備計画案を策定して関係自治体に提示すること、いわゆる「見切り発車」は行わないことを明言すべきと考えるが如何か。政府の見解を問う。

 右質問する。



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