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平成二十年六月十一日提出
質問第五二一号

財団法人日本美術刀剣保存協会に対する文化庁の実地検査ならびに「平成十三年問題」についての協会の「釈明」に関する質問主意書

提出者  佐々木憲昭




財団法人日本美術刀剣保存協会に対する文化庁の実地検査ならびに「平成十三年問題」についての協会の「釈明」に関する質問主意書


 今年二月二十八日の衆議院予算委員会(第四分科会)において、私は、財団法人日本美術刀剣保存協会執行部による刀剣審査の規程違反・手続き等の不正に関し、数々の具体的事例を挙げて、政府・文化庁の見解をただした。答弁に立った渡海紀三朗文部科学大臣は、「御指摘をいただきました点も含めて調査をいたしておるようでございますから、その結果を踏まえて適切に対応していきたい」と強調した。同協会に対する実地検査は二月二十七日から行われたが、その検査内容、結果については明らかにされていない。
 一方、同協会執行部は、協会機関誌『刀剣美術』(平成二十年五月号)において、いわゆる「平成十三年問題」は、「理事会に諮り議論されたものではなく、正式の手続きを踏まえたもの」でもなく、“当時の事務局長(故人)の個人的判断であった”旨を主張している。これは、文化庁による「平成十三年当時の改善措置」の指導に真っ向から反するものである。この間の経過とその後の協会執行部の対応等をふまえ、改めて以下、質問する。

一 平成二十年二月二十七日から行われた同協会に対する実地検査について、その概要を明らかにされたい。
二 その際、検査の目的、期間、対象、検査方法(聴取を行った対象は役員のみか、あるいは検査対象に関わる職員にも聴取を行ったか等も含む)はもちろん、次に関する件について詳細を示されたい。
 (一) 二月二十八日の予算委員会(第四分科会)ならびに同月十三日提出の私の質問主意書で指摘した同協会の現職の常務理事、課長が関わった規程違反等について
  @ 前述の質問主意書で次のように指摘した。
  (A) 平成十九年(〇七年)六月度の受付期間は、六月四日から六日までである(『刀剣美術』同年五月号「掲示板」参照)。しかし、例えば「bU30」の申請物件は、申請日付が六月十二日であり、受付期間外である。ここには「小林常務理事より依頼され六月十三日に打刻」と明記されている。また「bU32」の申請物件は、申請者高橋正法氏、扱者「真玄堂」である。「bT95」以降の申請物件は、申請期限を過ぎてからの受付分であることから、この「真玄堂扱い」の申請物件も明らかに規程違反である。
  「真玄堂」とは、「架空の名前を使って申請した」とする疑惑を、私が国会質疑で指摘した刀剣商である。
  (B) 同年七月度の受付期間は、七月二日から四日までである(『刀剣美術』同年六月号「掲示板」参照)。しかし、前月同様、受付期間外の申請が行われている。「bP182」の場合、「二〇〇七年七月十三日PM三:四五受付 1182から1189の八本は、岩田課長の指示のもと…本日受付」とのメモ書きも添付されている。
  主務官庁である文化庁は、これらの不正事例を把握しているか。この申請期限外の受付は一例に過ぎないが、同年六〜七月は、国会で審査の透明性、不正な手続き等の問題が指摘され、文化庁としても実地検査に入った直後である。しかも、具体的な規程違反に関わったものとして現職の「常務理事」や「課長」の名前が挙げられている。これ自体、由々しき問題である。さらに、国会で疑惑を指摘された業者が、繰り返し受付期限外の申請に関わっている。
  これに対する政府の回答は、「御指摘の件については、近日中に実施する予定の臨時的な実地検査において確認する」というものであった(同月二十二日付答弁書)。同月二十八日の予算委員会での質問に対する答弁も、「実地検査において確認する」(高塩文化庁次長)とのことである。これらの答弁をふまえ、右に掲げた点について、明らかにされたい。また、右の事例以外にも不正な「審査受付」等が判明したものがあれば、具体的に示されたい。
  A 「小泉忠雄」名の会員番号の存在について
  「申請者氏名、住所、これは一致しますか」と私はただした。この件についても「今確認中でございます」(同・予算委員会、高塩文化庁次長)との答弁だった。実地検査の結果は如何。
  B 非会員からの申請についても「今回行う実地検査におきまして私どもとして確認をしたい」と答えている(同・予算委員会)。結果を明らかにされたい。
 (二) これら@〜Bに係る実地検査の結果をふまえ、政府・文化庁としていかなる対応・指導等を行ったか。
 (三) 同協会・田野辺道宏常務理事による申請書ならびに発表用ゲラ改ざん疑惑に関して
  @ 二月二十八日の予算委員会(第四分科会)において、私は、重要刀剣等審査申請書(tェ四三)に関わる問題として、田野辺常務理事による申請書ならびに発表用ゲラ改ざん疑惑を指摘した。印刷所に入稿して最後の校正段階の際に、「(同常務理事の)指示により変更」されたという書き込みの事実を示しながら、この問題の解明についてただした。
  高塩文化庁次長は、この件に関しても「検査の中でしっかり調べたい」と明確に述べた。その後の実地検査で、いかなる調査を行ったか。当該申請書(tェ四三)や発表用ゲラと『刀剣美術』誌上に発表された内容の相違がなぜ、どのようにして生じたか。改ざんの経緯等について、説明をされたい。
  A 同常務理事は、書き換えの経緯について、“校正上ギリギリ間に合うので協会内の審査員の合意を得たうえで、「審査委員長である林専務理事」に決裁を仰いだ”との弁明を行っていると聞く。審査の内容上(学問的に)様々な見解が生まれることは、それぞれの分野で考えられることである。しかし、いったん審査会で確定されたことが、その後一人の常務理事の発意によって「ひっくり返る」ことは常識的に考えても不可思議である。仮に、審査のあとで「正しい(と思われる)内容」が判明しても、後日、臨時の審査会を設けるなどして機関決定に諮るのが真っ当なやり方ではないか。
  また、林専務理事を審査委員長と称しているようだが、協会の規程では「審査委員長」という役職は存在しないのではないか。政府の見解を求める。
三 『刀剣美術』誌上における「平成十三年問題」の「釈明」について
 協会執行部は、『刀剣美術』(平成二十年五月号)において、「刀剣美術の愛読者の皆様へ」と題し、いわゆる「平成十三年問題」についての釈明を行っている。
 そのなかで、「今後は当財団の役員・職員・審査員ならびにその家族は(刀剣等の審査に)申請できないようにする」とした平成十三年の文化庁との確認は、「理事会に諮り議論されたものではなく、正式の手続きを踏まえたもの」でもなく、“当時の事務局長(故人)の個人的判断であった”“理事会に諮り議論されたものではなく…申請した理事などにとっては、「違反」の指摘は「寝耳に水」の出来事である”等々のことを列挙し、今後「理事等が受審すること」について「文化庁とさらに話し合いを進めてまいる所存」であると公言している。
 「平成十三年問題」とは、インサイダー取引などの疑惑を持たれないために、それまで協会内で行われていた刀剣等の審査に、協会役員や職員、親族等からの申請を行わないよう文化庁による「改善措置」の指導が行われたことである。協会側も、「改善措置を講じた」との報告を文化庁に行っている。ここには、田野辺・現常務理事の印鑑も押されているものである。
 (一) 今回の、協会執行部による「愛読者の皆様へ」と題する「釈明文」は、この間の政府・文化庁による指導に対して真っ向から反するものと考える。政府はどのような見解をもっているか。
 (二) 「平成十三年問題」は、“理事会に諮り議論されたものではなく…申請した理事などにとっては、「違反」の指摘は「寝耳に水」の出来事である”とまで述べている。政府は、この協会執行部の見解を容認するか。
 (三) 今後「理事等が受審すること」について、「文化庁とさらに話し合いを進めてまいる所存」であると強調している。「刀剣審査の公正性を担保し、審査に対して疑義を挟まれることのないよう、同財団の役員、職員、その他の親族等が申請できないよう、自主規制による改善を指導した」(高塩文化庁次長、平成十九年三月一日、衆議院予算委員会(第四分科会))のが、一連の問題の原点でなかったか。「理事等が受審する」ことについて、文化庁はいかなる対応をとるつもりか。見解を明らかにされたい。

 右質問する。



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