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平成二十年六月十八日提出
質問第五五六号

航空を取り巻く諸課題に関する質問主意書

提出者  前原誠司




航空を取り巻く諸課題に関する質問主意書


一 オープンスカイ政策について
 米国−EU間やASEAN域内を始め、世界ではオープンスカイ(航空自由化)が進展しており、競争が激化すると同時に利用者利便性が高まっている。
 日本も現在五ヶ国・地域(韓国・タイ・マカオ・香港・ベトナム)とオープンスカイ協定を締結しているが、いずれも「首都圏空港を除く」という制限がかかっている。首都圏空港を除いたオープンスカイ政策は世界で他に例を見ない。
 「首都圏空港を除く」理由として国土交通省は、「空港容量に制約があり、新たな発着枠がないためオープンスカイにしても他国の理解が得られない」と言うが、成田・羽田と同様に混雑空港であるヒースロー空港(ロンドン)、ジョン・F・ケネディー空港(ニューヨーク)では、オープンスカイにより路線の改編や航空会社間の発着枠の融通により利便性の向上が見られる。
 近年、航空機性能の向上やアジアのハブ空港の台頭により、日本を経由しない「米国−アジア」直行便が増加している。二〇〇七年五月の米中合意では、「二〇一二年までに米中直行便を倍増する」としており、ジャパン・パッシングは益々進行する。
 首都圏空港を含めて更なるオープンスカイ政策を推進すべきであると考えるが、政府の見解を問う。
二 首都圏の発着枠の拡大について
 日本の首都圏の発着枠は成田・羽田を足して年間約五十万回、二〇一〇年の拡張後も約六十二万回程度である。一方、ニューヨークの発着枠は三空港で約百万回、ロンドンは五空港で約百三十万回である。
 アジアに目を転じると、上海四十一.〇万回、北京三十七.七万回、ソウル二十七.七万回であるが、今後の拡張計画がすでにあり、成田・羽田の発着枠を追い抜くことは確実である。
 発着枠拡大のために、都心上空の飛行を含めた飛行ルートの拡大、成田空港の能力制限となっている百里空域の削減、或いは自衛隊との共同運用、横田空域の更なる米軍からの返還、管制の工夫などをさらに進めるべきだと考えるが、政府の見解を問う。
 ちなみに、ロンドンやニューヨークでは都市上空を航空機が飛行している。日本でも大阪や福岡では都市上空を飛行している。このような工夫により、世界の主要都市並に首都圏全体で百万回を実現すべきだと考えるが、政府の見解を問う。
三 成田空港の発着枠の、本邦航空会社の半数確保について
 世界の主要空港では、自国の航空会社が国際線発着枠の半分を確保している。
 一方、成田空港では、本邦航空会社の発着枠は約四十%である。これは戦後、日本の国際線発着枠は米国航空会社に有利に配分(約二十七%)されてきたためである。
 激化する世界との航空競争を対等に戦うためには、他の主要国と同レベルの発着枠を本邦航空会社に配分すべきだと考えるが、政府の見解を問う。
四 成田空港の滑走路能力の活用について
 成田空港は、騒音問題のため発着回数に制約が多く、その能力が十分に活用されていない。
 滑走路の能力だけで言えば、六時〜二十三時の間だけでも年間約四十万回の発着能力がある(現在は約二十万回)。
 NAA(成田国際空港株式会社)でも、地元に対して発着枠を年間三十万回にする提案をしており、早期に地元住民の理解を得るよう政府もバックアップすべきだと考えるが、政府の見解を問う。
五 成田空港のA・B滑走路別権益配分の見直しについて
 成田空港は二本の滑走路の発着枠が別々に権益配分されており、あたかも別空港のような取り扱いになっている。これは世界を見回しても例を見ない特殊な事例である。
 A滑走路(四千メートル)から就航している中小型機による短距離便をB滑走路(二千百八十メートル)に移転することで、機材の大型化や新たな長距離線の就航が可能になる。
 また、二〇一〇年三月にB滑走路が延長(二千五百メートル)されれば、就航距離や就航機材の制約が大きく減少するため、一般的な空港と同じように滑走路別の権益配分を廃止すべきだと考えるが、政府の見解を問う。
六 羽田空港の再拡張に伴う発着枠の割り振りについて
 羽田空港は、二〇一〇年十月に第四滑走路が供用開始されるのに伴い、昼間の発着回数は年間約二十九.六万回から四十.七万回に増加する。
 増加した約十一万回の配分方法について国土交通省は、まずは三万回のみを国際線に配分するとしている。
 しかし、日本では少子高齢化が進展し内需拡大に期待が薄い中、アジアの成長エネルギーを取り込むことが必須であり、利便性の高い羽田空港とアジア・世界を結ぶことが日本の国際競争力の維持・向上のために必要だと考える。三万回に留まらず、今後羽田空港の昼間の発着枠をさらに国際線に割り当てる必要があると考えるが、政府の見解を問う。
七 羽田空港からの国際線就航先について
 国土交通省によると、羽田空港再拡張後の昼間の国際線については、「近距離アジア・ビジネス路線として、ソウル、上海等の都市、さらに北京、台北、香港まで就航」としているが、就航先を行政が制約するのはそもそもおかしい。
 世界の金融センターなど、成長の著しい都市と結ばれることこそ利用者利便性や日本の国際競争力が向上するものであり、就航先の選定はマーケットに任せるべきであると考えるが、政府の見解を問う。
八 羽田空港の夜間の発着枠について
 先般、国土交通省は羽田空港の夜間の国際線について、欧米を含めた都市との間で、年間三万回の運航を認めると発表した。しかしながら、夜間に限定した取扱いでは、現地の発着時間帯が限られることから、旅客利便性が低く、柔軟な路線設定ができないため、各国の理解も得られないのではないか。こうした時間の規制は撤廃すべきと考えるが、政府の見解を問う。
九 羽田空港の国際化と地方の活性化について
 地方自治体の中には、羽田空港の国際化を推進することで、国内線へ配分される発着枠が減り、当該自治体に不利益になると危惧しているところもある。
 しかし、発着枠がふんだんにあっても、利用者の少ない地域には航空会社は就航しない。航空路線が充実することで地域が発展するのではなく、地域が発展することで航空路線が充実するのである。
 また、羽田空港が国際化することで訪日外国人の利便性が向上し、羽田空港を経由した地方訪問が増加する。
 羽田空港の国際化により、地方の活性化を推進すべきだと考えるが、政府の見解を問う。
十 空港整備特別会計の透明性向上と効率化について
 民主党のスタンスは、すべて特別会計は廃止されて一般会計化されるべきだというものであるが、特別会計を前提とした質問を行う。
 空港整備特別会計は「全国プール制」になっており、個別空港の収支情報が非開示であることから、非効率な整備・運営が行われており、それは利用者負担の増加につながっている。
 @ 政府はすべての個別空港の、収支の公表をすべきと考えるが如何か。
 A そのことによって、地域の実情にあった空港整備・運営を行うことが出来、効率化を推進し、利用者負担を軽減すべきだと考えるが、政府の見解を問う。
十一 規制緩和時代の透明性のある航空行政について
 @ 羽田など混雑空港の国内線発着枠配分に当たっては、国土交通省が「第三者委員会」を立ち上げて路線や航空会社への発着枠配分を答申しているが、そのメンバーは国土交通省が選出している。この答申を受け、現状では、役所が通達により、発着枠配分を決めている状態である。これまで政府が進めてきた航空の規制緩和によって消費者利便は向上してきたが、今後の発着枠の配分に当たっては、これを損なうことの無きよう、国土交通省から独立した、より透明性の高い「第三者委員会」とするよう、改善すべきではないか。政府の見解を問う。
 A 航空会社には、路線の参入・撤退の自由が認められているにもかかわらず、路線休止提案時に国土交通省から航空会社に対して文書が出されるなど、自由化とは逆行する動きも見られる。このような原則に反する実質的な行政指導はどのような根拠に基づいて行われるのか。また、このような行政の行為はやめるべきではないか。政府の見解を問う。
 B 国際線の発着枠配分についても、その方針決定や配分方法に利用者利便性の向上や競争促進の観点はなく、航空会社への配分についての明確な基準も存在していない。こうした状況は是正すべきではないか。政府の見解を問う。
 C 本来は、国民利便性向上の見地から自由な競争を促進するべき行政が、過去の経緯から国民利便性の向上を阻害するような競争制限的な規制を行っている。成田は国際線拠点空港、羽田は国内線拠点空港という政策も完全撤廃すべきではないか。政府の見解を問う。
十二 NAAの経営効率化について
 NAAは、現在完全民営化に向けて準備を進めているものの、未だに役員は国土交通省を中心とした天下りで占められている。天下りを完全になくし、また、多数の関連子会社を作り優先的に委託する手法はやめて、経営の効率化を図るべきではないか。政府の見解を問う。

 右質問する。



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