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平成二十年十月三日提出
質問第六七号

ビザなし交流で日本を訪問しているロシア人訪問団長による北方四島をアイヌ民族の独立国にするという提案に対する政府の認識等に関する質問主意書

提出者  鈴木宗男




ビザなし交流で日本を訪問しているロシア人訪問団長による北方四島をアイヌ民族の独立国にするという提案に対する政府の認識等に関する質問主意書


 本年十月二日付北海道新聞四面に、「ビザなし交流 ロシア側団長 『四島 アイヌ民族の国に』 領土問題解決へ持論」との見出しで、北方四島ビザなし交流により八月下旬から北海道札幌市内で日本語研修を受けていたロシア側訪問団のゲオルギー・クリンスキー団長が、北方領土問題解決への妥協策として、北方四島を先住民族であるアイヌ民族の独立国とすることを根室市内で開かれた元島民との対話集会で提案したこと(以下、「提案」という。)を報じる記事(以下、「道新記事」という。)が掲載されている。右を踏まえ、以下質問する。

一 「道新記事」の内容を外務省は承知しているか。
二 本年六月六日、衆参両議院の本会議においてアイヌ民族を先住民族とすることを求める国会決議が全会一致で議決され、それを受けて政府も、アイヌ民族を「日本列島北部周辺、とりわけ北海道に先住し、独自の言語、宗教や文化の独自性を有する先住民族」であるとの認識を示している。では北方四島におけるアイヌ民族の先住性について、外務省はどの様に認識しているか。二〇〇六年五月十九日から二十二日の日程でビザなし交流に参加した際、色丹島アナマ村の村長から、「十八世紀に入ってコサック兵がカムチャッカからクリルに南下し、その当時の資料で確認できる唯一の民族はアイヌであった。アイヌは当時ロシアと商取引していたがコサック兵との衝突もあった」との話を聞いたことがあり、北方領土に住むロシア人住民またはロシア国内においては、北方領土の先住民族はアイヌ民族であるとの共通認識があると思料するが、外務省も同様の認識を有しているか。
三 「提案」に対する外務省の評価如何。
四 本年八月勃発したロシアとグルジアの紛争は、グルジアに属することを嫌がってロシア国籍を取得した南オセチア共和国の住民の保護を理由にロシアが南オセチアに進出したことがきっかけであると承知する。同様に、北方四島がロシアの領土であると考えており、また近年の原油価格高騰等により財政に余裕のあるロシア政府が、その北方領土の先住民族であるアイヌ民族に対して独自に金銭的援助等を行ったり、ロシア国籍を付与することもあり得ると考えるが、外務省の見解如何。
五 南オセチアを巡る紛争と同様に、ロシアがアイヌ民族に金銭的援助等を行い、同国の国籍を与え、アイヌ民族をロシア国民であるとして、アイヌ民族の保護を名目にロシアが我が国に対して様々な要求を突きつけてくることも、将来的に必ずしも非現実的であるとは言い切れないと考えるが、右に対する外務省の見解如何。

 右質問する。



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