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平成二十年十月十五日提出
質問第一一六号

国家主権に対する政府の認識に関する第三回質問主意書

提出者  鈴木宗男




国家主権に対する政府の認識に関する第三回質問主意書


 「前回答弁書」(内閣衆質一七〇第七八号)を踏まえ、再度質問する。

一 外交政策、海外事情に関する国民の理解を促進するため、外務省が同省職員等を国内各地に派遣して行っている講演会等の一環として、本年六月十六日、島根大学で講演した外務省総合外交政策局国連政策課の藤本健太郎首席事務官が、その講演において韓国政府による竹島の不法占拠(以下、「不法占拠」という。)と北朝鮮による我が国国民の拉致(以下、「拉致」という。)について触れ、「韓国には拉致問題で協力を得なければならないので、竹島問題では強く出られない」旨の発言(以下、「藤本発言」という。)をしたかとの問いに対し、「前回答弁書」でも「御指摘の者に確認した上での回答である。」と、「藤本発言」がなされたことを外務省は否定している。では講演そのものの中ではなく、例えば講演を終えた後の質疑応答の中等、本年六月十六日に島根大学で行われた講演会の一連の流れの中で、「藤本発言」がなされたという事実はないか。当方は、右の講演会に参加した複数の人物から、藤本氏が右の様に述べたことを確認しているところ、「藤本発言」が本当になかったのかどうか、藤本氏本人に確認をした上で再度答弁を求める。
二 「前回答弁書」では、「御指摘の見解は、政府の見解とは異なる。」と、どちらも我が国の国家主権が侵害されているという意味で何ら違いはない「不法占拠」と「拉致」について、「拉致」への対応を優先し、そのために「不法占拠」への対応を後回しにすべきという見解は政府見解とは異なるとの答弁がなされているが、では「藤本発言」は政府見解とは異なると理解して良いか。
三 当方は、「藤本発言」を行った藤本氏個人を責めているのではない。外務省職員が政府の公式見解と異なる私見を述べることは必ずしも禁じられておらず、外務省職員個々人が個々人独自の考えを持つことを否定しているのでもない。当方が危惧しているのは、「藤本発言」に現れている様に、国家主権が侵害されている事案を分けて考え、どちらかを優先し、どちらかをないがしろにするという考えでは、我が国の国益を毀損しかねないということである。外務省においては、職員個々人の私見とは言えども、「藤本発言」の様に我が国の国益を損ねかねない認識を外務省職員が有している場合は、その点について教育、指導すべきであると考えるが、中曽根弘文外務大臣の見解如何。
四 「前回答弁書」で政府は、「不法占拠」と「拉致」の問題への政府の対応につき、「政府としては、竹島問題については、問題の平和的解決を図るため、粘り強い外交努力を行っていくという方針に基づき、また、拉致問題については、すべての拉致被害者の一刻も早い帰国を実現するとの方針に基づいて、それぞれ適切に対応していく考えである。」と答弁しているが、右は「竹島問題について問題の平和的解決を図るため、粘り強い外交努力を行っていく」ことと「拉致問題については、すべての拉致被害者の一刻も早い帰国を実現する」ことに対して、政府が同程度の熱意、やる気を持って取り組む決意を披瀝したものと理解して良いか。確認を求める。

 右質問する。



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