質問本文情報
平成二十年十月二十三日提出質問第一五〇号
MMRワクチン薬害事件に関する質問主意書
提出者 阿部知子
MMRワクチン薬害事件に関する質問主意書
MMRワクチン薬害事件の一審大阪地裁判決(平成十五年三月十三日)、二審大阪高裁判決(平成十八年四月二十日)において、被告(財)阪大微生物病研究会が製造承認されていないワクチン株を用いておたふくかぜワクチン及びMMRワクチンを製造し、流通させた薬事法違反が、無菌性髄膜炎等の副作用を多発させたこと、また被告国にはワクチン製造企業に対する指導監督義務違反があったことを指摘し、被告国に賠償責任を認めた。
先の第一六九通常国会における質問(平成二十年六月十八日提出質問第五五七号)にて、本件においてはいまだ解明すべき事項があることを示したが、薬害肝炎事件を機にその検証と医薬品行政の見直しが今まさに進行しつつある状況において、本件の真相が解明されることなく、また本件から教訓を引き出し、今後の予防接種における安全の確保に生かすことなく風化させることは許されない。
本件の真相解明及び、より安全な予防接種体制の確立と、薬害防止に資するべく以下に質問をする。
二 本件薬事法違反が行われたころの指導監督内容とその後現在に至るまで、特に本件判決をうけた変化を明確にして指導監督内容がどのように変わったのか、平易に説明されたい。特に被告(財)阪大微生物病研究会に対して行われた指導監督の事実を具体的に示しながら説明されたい。
三 今後本件のごとき違法行為とそれによる副作用多発等薬害を起こさない体制が確立しているか否か。
四 MMRワクチン接種開始直後から無菌性髄膜炎、難聴、死亡などの症例が続発していたことが後に明らかになった。平成六年改正予防接種法の下で実施されている予防接種後副反応報告等の仕組みだけでは、平成十八年度の集計が未だに公表されず有効に機能していない状況もあり、新規ワクチン導入直後の迅速かつ正確な副作用、副反応の把握はできないと考えるがいかがか。
五 平成十八年の本件大阪高裁判決以後、原告らから厚生労働大臣に謝罪の要求が出ていたが、それに応えたか否か、応えていないならば何故か。
六 本件原告らに支払われた賠償金のうち、その全額を負担した被告(財)阪大微生物病研究会の求償等による国の負担額はあったか否か。
七 MMRワクチン薬害事件の事実経過、原因分析、行政対応の分析、訴訟の概要などを記述した厚生労働省による文書はあるか。ないならば少なくとも失敗した施策について厚生労働省職員が今後の業務遂行上参照できる資料として早急に作成し、国民へも公表すべきと考えるがいかがか。
右質問する。