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平成二十年十一月十日提出質問第二一九号
日印安全保障協力共同宣言と非核三原則に関する質問主意書
提出者 岩國哲人
日印安全保障協力共同宣言と非核三原則に関する質問主意書
麻生首相は十月二十二日、インドのマンモハン・シン首相と会談し、安全保障分野の協力を強化する日印安全保障協力共同宣言(以下、安保協力)に署名した。
安保協力は、アジア太平洋地域に関する情報交換、東アジア首脳会議などの多国間の枠組みでの協力、防衛対話などを確認したものであり、これまで両国間で既に実践されてきたことを明文化したものであるとの指摘もあるが、インドと対立する中国やパキスタンとの関係も考慮が必要であると考える。
報道によると、シン首相は民生用原子力について将来の日本の協力を希望する考えを伝え、麻生首相は「核実験のモラトリアム継続を含め約束と行動をしっかりしてほしい。さまざまな要素を考慮する必要がある」と答えたとのことである。
米国・インド間においては、核拡散防止条約(NPT)に非加盟のインドを「例外的措置」として核燃料や核技術を提供する米印原子力協力協定(以下、米印協定)が発効したが、これはNPT体制の形骸化・空洞化を招来し、核軍縮に逆行するものである。
日本は、米印協定を、核実験を凍結することを条件としたものの、核供給国グループの一員として容認したが、このような米国の「例外的」扱いを認める措置は、北朝鮮に核廃棄を迫る六カ国協議の論議にも悪影響を及ぼすことが懸念されるとの指摘もなされている。
これに関連して、以下質問する。
二 日本は毎年、国連総会第一委員会(軍縮・安全保障)に、核全廃の決議案(以下、核廃絶決議)を提出してきた。
核廃絶決議は一九九四年から毎年採択されており、本年十月二十八日に行われた決議における賛成は百六十三カ国、反対は昨年も反対した米国、インド、北朝鮮の三カ国にイスラエルが加わり四カ国、棄権は中国、イランなどの六カ国であった。
核廃絶決議は、NPTが国際的核不拡散体制の基礎であることを確認し、北朝鮮の核実験については、二〇〇六年十月に採択された安保理での制裁決議の重要性を強調した。また、米国・ロシアに対して、核兵器削減に着手するよう求め、安全保障を目的とした核兵器の役割も軽減すべきだとしている。
なお、米国は核廃絶決議が核実験全面禁止条約(CTBT)の早期署名、批准を求めていることを理由に反対を続けている。昨年、棄権したフランスは賛成した。
この点、日本が条件付ではあるものの、NPT体制の形骸化・空洞化を招来するおそれのある米印協定を容認したことが、今後の核廃絶決議案提出に影響を及ぼす可能性があると考えるが、政府の見解如何。
右質問する。