質問本文情報
平成二十年十二月五日提出質問第三一九号
自衛官の自殺を巡る訴訟並びにご遺族に対する防衛省の対応等に関する第三回質問主意書
提出者 鈴木宗男
自衛官の自殺を巡る訴訟並びにご遺族に対する防衛省の対応等に関する第三回質問主意書
「前回答弁書」(内閣衆質一七〇第二六一号)を踏まえ、再質問する。
1 自殺した三等海曹(以下「当該隊員」という。)の上官の言動の違法性については、一般に、言葉による職務上の厳しい指導は行為者の意図や認識を考慮せずに直ちに違法となるものではないとした上で、違法となるような上官の言動はなかった。
2 上官の行為と当該隊員の自殺との間の相当因果関係の有無については、当該隊員の自殺原因は、三曹という階級とそれに見合う自己の技能練度との乖離に苦悩し、焦りを徐々に募らせていったことにあるというべきであり、上官から受けた行為によるストレスによってうつ病にり患し、自殺に至ったものとはいえない。
「三等海曹自殺事件」についての防衛省の責任を認め、賠償を命じた福岡高裁判決に対し、防衛省として上告及び上告受理申し立てを行わないことを決定したことは既に明らかになっているが、上告及び上告受理申し立てを行わないと防衛省が決めたということは、1で「自殺した三等海曹(以下「当該隊員」という。)の上官の言動の違法性については、一般に、言葉による職務上の厳しい指導は行為者の意図や認識を考慮せずに直ちに違法となるものではないとした上で、違法となるような上官の言動はなかった」というのは事実ではなく、三等海曹の上官の言動に違法性はあった、また同じく2で「上官の行為と当該隊員の自殺との間の相当因果関係の有無については、当該隊員の自殺原因は、三曹という階級とそれに見合う自己の技能練度との乖離に苦悩し、焦りを徐々に募らせていったことにあるというべきであり、上官から受けた行為によるストレスによってうつ病にり患し、自殺に至ったものとはいえない」というのも事実ではなく、三等海曹が自殺した原因には、上官から受けた行為によるストレスがあったことを、それぞれ防衛省として認めたということに他ならないと考える。また「前回答弁書」で「人事教育局長は、御子息が亡くなられたことについておわび申し上げる旨の発言をしている。」との答弁がなされているところ、防衛省として、三等海曹が自殺したのは、三等海曹の上官の言動に違法性があり、上官から受けた行為によるストレスが原因にあることを、これまでの答弁書に「御指摘の本年八月二十五日の福岡高等裁判所における判決においては、国の主張について裁判所の理解が得られなかったところであるが、判決内容を検討した結果、民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第三百十二条第一項に規定する…」とある様に、法理論の理屈を並べ立てるのではなく、率直に認める考えはあるか。浜田靖一防衛大臣の見解如何。
二 本年十月二十三日、三等海曹のご遺族が、「三等海曹自殺事件」の様な悲しいことが二度と起こらない様、再発防止の申し入れを行うのと同時に、「三等海曹自殺事件」発生についての謝罪を求めて防衛省を訪問した際に、防衛省のトップである防衛大臣ではなく、人事教育局長が対応したことについて、ご遺族からの申し入れを防衛大臣に報告した日にち、場所、並びに報告した人物の官職氏名等を前回質問主意書で問うたところ、「前回答弁書」では「遺族が来省することの申入れについては、平成二十年十月二十日に、防衛省内において、地方協力局地方協力企画課の職員が大臣官房秘書課の職員を通じて、遺族の来省時の防衛省としての対応については、同月二十三日に、国会内において、三輪恒佳人事教育局服務管理官及び大村幹彦大臣官房訟務管理官が、あらかじめ口頭で防衛大臣へ報告し、了解を得たものである。」との答弁がなされている。右答弁にある「遺族の来省時の防衛省としての対応」についての、浜田大臣に対する口頭の報告は、具体的にどの様な内容のものであったか説明されたい。
三 前回質問主意書で、これまでの質問主意書と同様に、今回の人事教育局長による三等海曹のご遺族への謝罪をもって、「三等海曹自殺事件」に対する防衛省の対応は終了したと認識しているかと再度問うたが、「前回答弁書」でも何ら明確な答弁がなされていない。防衛省として、今回人事教育局長が三等海曹のご遺族に謝罪したことで、「三等海曹自殺事件」についてのけじめはついたと考えているのか。人事教育局長の謝罪により、「三等海曹自殺事件」への防衛省としての対応は、既に終了したと考えているのか。明確に答弁されたい。
右質問する。