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平成二十年十二月十七日提出
質問第三五四号

米原子力潜水艦の無通報寄港に関する質問主意書

提出者  照屋寛徳




米原子力潜水艦の無通報寄港に関する質問主意書


 去る十一月十日、米原子力潜水艦「プロビデンス」(以下、プロビデンスという)が、沖縄県うるま市のホワイトビーチに事前通報することなく寄港した。米原子力潜水艦の日本国内寄港については、一九六四年八月に米国政府自ら「入港の少なくとも二十四時間前に日本政府に通報する」との声明を出している。ところが、今回のプロビデンス寄港に際し、米側から日本政府への通報はなかった。
 二〇〇一年四月には、佐世保港に米原子力潜水艦「シカゴ」(以下、シカゴという)が無通報で入港し、当時の佐世保市長が「原潜の入港は遠慮されたい」と事実上の入港拒否を打ち出した。当時、外務省は米側と再発防止策を協議の上、共同ステートメントを発表している。佐世保市長は係る再発防止策を高く評価し、「二度と無通報寄港は起こり得ないと判断した」旨表明しているが、詳細な内容は未だ明らかにされていない。
 以下、質問する。

一 米原子力潜水艦の国内寄港については、通常@二十四時間前までに米第七艦隊潜水艦部隊司令部が在日米海軍司令部に通報、A在日米海軍司令部が在日米国大使館に連絡、B在日米国大使館が外務省日米地位協定室に連絡、C外務省日米地位協定室が文部科学省や関係する県、寄港地が所在する自治体に連絡――という手順になっていると理解しているが間違いないか、米側から日本側への公式通報ルートを具体的に明らかにした上で、政府の見解を示されたい。
二 二〇〇一年四月のシカゴ無通報入港を機に日米両政府が合意した再発防止策には、従来の通報ルートのほかに、寄港地にあたる米海軍基地が、周辺海域を管轄する海上保安部に対して寄港する情報を事前に通報し、海上保安庁が外務省に入港場所と時間を確認する、という項目があるようだが事実か、明らかにされたい。
三 去る十一月十日のプロビデンス寄港について、米側は「米海軍内における連絡ミスが原因だった」と釈明したようである。係る「米海軍内の連絡ミス」とは、どの段階で発生したのか。すなわち、第七艦隊潜水艦部隊司令部から在日米海軍司令部に通報がなかったのか。在日米海軍司令部から在日米国大使館に通報がなかったのか、あるいは他の段階で連絡がなかったのか、事実関係を具体的に明らかにされたい。
四 上記「米海軍内の連絡ミス」が発生した理由、原因について政府は承知しているのか。承知しているのであれば、米側からいつ、如何なる説明があったのか、その内容を明らかにした上で、今回の無通報寄港に対する政府の見解を示されたい。
五 プロビデンスが大西洋艦隊所属であり、太平洋を管轄する第七艦隊との意思疎通が不十分だったのではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。
六 プロビデンスの無通報入港を受けて、米側は再発防止策を定めたようだが事実か。事実であれば、その内容を明らかにした上で、係る再発防止策の実効性に対する政府の見解を示されたい。
七 先述したシカゴの無通報入港でも再発防止策が定められた。しかしながら、プロビデンスの無通報入港は、係る再発防止策に実効性がなかったことを証明した。政府は、なぜ再発防止策が機能しなかったと考えているのか、理由を明らかにした上で見解を示されたい。
八 シカゴの無通報入港では、入港したその日に、当時の水鳥真美・外務省日米地位協定室長が佐世保市を訪問して事実関係の説明をしていた。ところが、今回のプロビデンス無通報寄港では、外務省日米地位協定室の誰一人として、沖縄県や地元のうるま市を訪問していないようである。なぜか、その理由を明らかにされたい。
九 米原子力潜水艦の国内寄港については、寄港時の「事前通報」に基づいて放射能調査が実施されている。近隣住民や国民の生命・財産保護の観点から、「事前通報」「放射能調査」の既存制度に加えて、安全性を検証できるような新たな枠組みを日米合同委員会の下で協議し、制度化すべきだと考えるが、政府の見解を示されたい。

 右質問する。



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