質問本文情報
平成二十年十二月十九日提出質問第三七〇号
木曽川連絡導水路事業に関する質問主意書
提出者 近藤昭一
木曽川連絡導水路事業に関する質問主意書
これまで数回にわたって徳山ダムに係る連絡導水路−木曽川水系連絡導水路に関して質問主意書を提出し、答弁書を受領したが、受領した答弁書そのものへの疑問、及び答弁書と実際に行われていることとの不整合が目に付くので再度質問する。
当該質問主意書の「第一」において、木曽川水系河川整備計画策定の段階、及び木曽川水系水資源開発基本計画の段階(何も「ない」状態)を指摘し、「一…今般の木曽川水系連絡導水路については、法的根拠は未定のまま予算案に計上し、『建設費』として報道発表もされた。このことが妥当・適正であるとする特別の理由があるのか。あるとすれば、その『理由』を丁寧に説明されたい。」と質したが、答弁書には
「第一の一及び二について
また、平成十九年八月に開催された『徳山ダムに係る導水路検討会(第七回)』において、導水路事業について、独立行政法人水資源機構法(平成十四年法律第百八十二号。以下「機構法」という。)第十四条の規定に基づき、国土交通大臣から独立行政法人水資源機構(以下「機構」という。)へ承継する方針が確認されており、平成二十年度の早期に導水路事業を承継することが可能であると見込んでいたところである。
こうしたことから、導水路事業について平成二十年度政府予算案に計上したものである。」
とあるだけで、詳しい説明はなかった。
一 水資源機構に事業承継がなされたのは年度が始まってから五ヶ月経過した二〇〇八年九月四日である。
(1) これは「平成二〇年度の早期」とは言えないと考えるが、いかがか。
(2) このような「見込み違い」が生じた原因は何か。
(3) 年度開始後五ヶ月経過してからの事業承継でも良いのであれば、急を要する事業ではない、ということではないのか。
(4) 厳しい「社会資本整備特別会計 治水勘定」の中で断念せざるを得なかった他の治水事業もあったと思われる。当該事業につき「建設費/水資源機構事業=一四億円」をこの特別会計事業予算の中であえて優先させた積極的理由を詳しく説明されたい。
二 岐阜県知事は、木曽川水系河川整備計画(案)への意見でも、木曽川水系水資源開発基本計画一部変更への意見においても、長良川の環境への悪影響を懸念し、この懸念・不安が払拭されるまでは着工に同意しない旨を、県議会においても重ねて表明している。
(1) この状況で、来年度に「木曽川水系連絡導水路『建設』事業」予算を計上することは、岐阜県知事の姿勢を無視・蹂躙するかのようにも思えるが、いかがか。
(2) この岐阜県の姿勢からは、「建設」事業としては来年度には進捗できないと考えられる。執行しえない予算をつけることで他の必要な(人命にも関わる重要で緊急的な)治水事業予算を圧迫することは大いに問題である。
右のように今年度予算への疑念とも併せ、来年度予算は「建設費」とせず、事業費を凍結するか、あるいは環境調査費用のみに抑えるべきだと考えるが、いかがか。
第二 一六六国会「徳山ダムに係る木曽川連絡導水路事業の目的と効果に関する質問主意書」に対する答弁書について
一 当該質問主意書の二(二)「一九九四年の渇水の際の木曽川での河川環境被害につき、どのような調査資料があるのか。(中略)開示したものの他に、深刻な環境被害を窺わせる資料が存在するのか。」という質問に対して答弁書は「二の(二)について 御指摘の『一九九四年の渇水の際の木曽川での河川環境被害』について、国土交通省中部地方整備局長が平成十九年五月七日に開示決定した『平成6年度渇水における河川環境調査の資料』及び『H6年度渇水に関する河川環境の追跡調査の資料』以外に、お尋ねの『深刻な環境被害を窺わせる資料』は存在しない。」と述べている。
そして二の(三)「一九九四年の渇水の際の木曽川での河川環境被害が、徳山ダムから緊急水二〇立方メートル/秒を補給することで、どのような被害軽減効果があるのか。」、二の(四)「一九九四年規模渇水における木曽川での河川環境被害の軽減効果の具体的な予測及び当事業の必要性・妥当性を根拠をもって示されたい。」に対して答弁書では、「二の(三)及び(四)について 当該調査費は、予算歳出費目『直轄河川総合開発事業費』の『測量及び試験費』として措置されている。国土交通省においては、当該調査費により、測量、水文・水質観測、環境調査、施設設計等を行っており、これらの調査等の結果を踏まえ、今後、お尋ねの『河川環境被害の軽減効果の具体的な予測及び当該事業の必要性・妥当性』についても、具体的に検討することとしている。当該緊急水の補給により、木曽川の流量が増えることから、木曽川の河川環境の改善に一定の効果があることは明らかであると考えており、平成十八年度及び平成十九年度の予算において当該調査費が措置されたことは、妥当であると考えている。」と述べている。
(1) この答弁書にある「これらの調査等の結果を踏まえ、今後、お尋ねの『河川環境被害の軽減効果の具体的な予測及び当該事業の必要性・妥当性』についても、具体的に検討」した会議は「徳山ダムに係る導水路検討会(第七回)」であるとの口頭での回答を得ているが、そのように認識して良いか。
(2) 公表された「徳山ダムに係る導水路検討会(第七回)」の資料は、非常に漠然としたものであって「平成十八年度及び平成十九年度の予算において当該調査費が措置されたことは、妥当であると考えている」に対応するに値する内容にはなっていない(措置された予算に対してあまりにも簡略すぎる)。
そこで市民団体メンバーが、この答弁書に言及した情報公開請求をすると、文書名補正のやりとりを繰り返した後に「非公開/不存在」という対応となった(二〇〇八年九月八日)。
答弁書にある「平成十八年度及び平成十九年度の予算において措置された」当該調査費に対応する資料は、存在するのか、しないのか。
(3) 存在するとすれば、右の二〇〇八年九月八日の非公開決定はどういう経緯と認識の下になされたのか。
その後、同じメンバーが「[徳山ダム導水路検討会]第六回以降第七回までの間の三県一市及び中部地整担当者会議での資料・議事録・その他の文書(音声データ等を含む)」という文書名で開示請求をすると、特に補正の話もなく「開示する行政文書の名称:徳山ダムに係る導水路検討会幹事会等資料」として大量の文書が開示されたことと併せて説明されたい。
(4) 「徳山ダムに係る導水路検討会幹事会等資料」によれば、第五回幹事会(二〇〇七年三月一六日)に、「木曽川水系連絡導水路計画の最終案(上流分割案)」として、現在の「上流分割案−下流施設」を長良川河口堰の取水施設との兼用施設とするという資料が提示されている。「徳山ダムに係る導水路検討会(第七回)」ではこの表現や説明図はなくなっているが、名古屋市上下水道局は二〇〇七年一二月六日に市議会経済水道委員会で、「長良川河口堰の取水施設との兼用施設とする」案を提示し、現在も「兼用施設となる方向で要望しているし、実現するものと考えている」という(一二月一二日現在。名古屋市上下水道局水道計画課)。
他方、岐阜県知事は一二月一一日の岐阜県議会答弁で「将来にわたって県として兼用を認めることはない」と述べ、岐阜県県土整備部長も「兼用案は廃案にされた」と述べている。
「徳山ダムに係る導水路検討会」の主宰者的位置であった国土交通省中部地方整備局としては、どちらの認識を持っているのか。
二 右のような不整合(「徳山ダムに係る導水路検討会」参加自治体の間での見解の違い)は、各自治体の議会も住民をも戸惑わせている。またこの状態では、国会での予算審議に臨むにあたって、国会議員も困惑せざるを得ない。「徳山ダムに係る導水路検討会」の議事録が存在しないことが問題の解明を困難にしていると考える。
二〇〇七年一二月一四日に「行政文書・公文書等の管理・保存に関する関係省庁連絡会議」が設置され、その関係省庁連絡会議が設置した「公文書管理の在り方等に関する有識者会議」が本年七月一日に出した中間報告及び一一月四日の最終報告書では、「証拠的記録に基づいた施策(Evidence Based Policy)が強く求められている今日、国の説明責任を適切に果たすためにも必要不可欠であり、公文書を、作成→保存→移管→利用の全段階を通じて統一的に管理していく」という方向が出され、一一月二五日には当該関係省庁連絡会議でこの最終報告書に沿った申し合わせを行っている。
この「行政文書・公文書等の管理・保存に関する関係省庁連絡会議」「公文書管理の在り方等に関する有識者会議」を踏まえて、以下質問する。
(1) 国土交通省中部地方整備局も「徳山ダムに係る導水路検討会/中部地整+三県一市の部長級会議」は重要な会議である、と認識しているという。然るに「徳山ダムに係る導水路検討会」では議事録を作成しなかったのは何故か。
(2) 「徳山ダムに係る導水路検討会」の後継である「木曽川水系連絡導水路事業監理検討会(一一月一七日発足)」は、相変わらず議事録を作成しないと聞くが、事実か。
(3) 「木曽川水系連絡導水路事業監理検討会」の事務局を担い、座長を出している国土交通省中部地方整備局以外の参加者である三県一市からは「議事録は作成してくれるな」という意見が出たわけではない、と確認している。国土交通省中部地方整備局が「木曽川水系連絡導水路事業監理検討会」において議事録を作成しないとしたのは何故か。
右質問する。