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平成二十一年九月十六日提出
質問第二号

一九六〇年の日米安全保障条約改定に際したいわゆる「核持ち込み密約」についての政府の認識等に関する質問主意書

提出者  鈴木宗男




一九六〇年の日米安全保障条約改定に際したいわゆる「核持ち込み密約」についての政府の認識等に関する質問主意書


 一九六〇年の日米安全保障条約改定時に核兵器を搭載した米軍の艦船や航空機が我が国に立ち寄ることを黙認するとしたいわゆる核持ち込み密約(以下、「核密約」という。)につき、本年六月一日付の共同通信社による配信記事を受けた新聞報道によると、外務省事務次官ら同省の中枢幹部が引き継いで管理し、外務大臣ではなく官僚側の判断によって、橋本龍太郎、小渕恵三両元内閣総理大臣ら一部総理大臣、外務大臣にのみ伝えていたと、一九八〇年代から一九九〇年代にかけて外務省事務次官を経験した者四名(以下、「四名」という。)が同通信社に伝えていたとのことである。また、本年六月二十九日付の毎日新聞一面には、一九八七年七月に外務省事務次官に就任した村田良平氏が、毎日新聞社の取材に対し、「核密約」の存在を認め、前任次官から文書で引き継ぎを受けていた旨答えている。更に、本年七月八日付の毎日新聞一面には、一九七四年十一月の当時のフォード米国大統領による訪日に備え、政府が非核三原則の「持ち込ませず」の箇所を修正し、米国の核艦船による我が国への寄港を公式に認めることを検討していたことを、外務省アメリカ局長、官房長、駐米国特命全権大使等を歴任した大河原良雄氏が毎日新聞社の取材に明らかにしたと報じる記事が掲載されている。この様な流れを受け、河野太郎衆議院前外務委員長は、本年七月十日、村田元次官と直接面会して「核密約」があったことを確認し、「『密約』はない」としてきたこれまでの政府答弁の変更を、衆議院外務委員長として政府に求めていく考えを示している。右を踏まえ、質問する。

一 外務省は過去の答弁書(例えば内閣衆質一六六第九号、一六八第二二六号、一七一第四七九号、五五四号、五八〇号、六一二号、六二一号、六二七号、六五六号、六七四号、六七五号等)において「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号。以下「日米安保条約」という。)の下での核兵器の持込みに関する事前協議制度についての日米間の合意は、日米安保条約第六条の実施に関する交換公文及びいわゆる藤山・マッカーサー口頭了解がすべてであり、秘密であると否とを問わずこの他に何らかの取決めがあるという事実はない。」との旨答弁し、「核密約」の存在を否定すると同時に、米国立公文書館で見つかった「核密約」の存在を示す文書や、前文で触れた元外務次官の証言等についても、その内容を確認する必要はないとの旨述べてきた。「核密約」の有無につき、現時点では外務省としてどの様な見解を有しているか説明されたい。
二 藪中三十二外務事務次官は本年六月二十九日の記者会見において、「核密約」の存在を否定する旨述べているが、現時点においても右の認識に変化はないか。藪中次官の見解如何。
三 藪中次官は本年八月二十四日の記者会見において、「核密約」に絡む米艦船の核持ち込みについて「昔は(日米で)解釈の違いについて、その時々の話はあった。かつていろんなやりとりがあった」旨の発言をしているが、二で触れた六月二十九日の記者会見における発言と比較し、この様な変化が生じたのはなぜか。藪中次官の具体的かつ詳細な説明を求める。
四 三の藪中次官の発言は、実際に日米間でどの様なやり取りがあったという意味であるのか、具体的かつ詳細に説明されたい。
五 四のやり取りを記録した文書は、外務省に保管されているか。
六 藤崎一郎駐米大使が、一九九九年、外務省北米局長の任にあった際、「核密約」に関する文書を廃棄したという事実はあるか。藤崎大使本人に確認をした上で、同時に、当該確認作業を行った人物の官職氏名、行った日にち、場所、方法を明らかにし、確認の内容を文書に記録した上で答弁することを求める。
七 『文藝春秋』本年十月号の二百九十頁から三百頁にかけて、かつて外務省条約局長、駐オランダ大使を務めた東郷和彦氏による「核密約『赤いファイル』はどこへ消えた」との題の論文(以下、「東郷論文」という。)が掲載されているが、外務省は右を読み、その内容を把握しているか。
八 「東郷論文」の二百九十五頁から二百九十六頁にかけて、「赤ファイルは違っていた。安保条約の運営について機微な問題がとりあげられ、その中で、はっきりと量が多かったのは、一九六〇年安保条約締結の際に結ばれたと言われる、核持ち込みに関する密約問題に関連する資料だった。」との記述があるが、右記述は事実を反映しているか。東郷氏が外務省条約局長の任に就いていた一九九九年当時、局長室の中に赤いファイルにまとめられた「核密約」関連の資料が存在していたという事実はあるか。
九 「東郷論文」の二百九十九頁に、「ところが、である。本件密約について、情報公開法(九九年五月に成立)が〇一年四月に施行される前に、当時の外務省幹部が関連する文書すべてを廃棄したという驚くべき報道が現れたのである(朝日新聞、二〇〇九年七月十日付で報道)。」との記述があるが、右記述は事実を反映しているか。外務省幹部が、「核密約」に関する資料を、情報公開法が施行される前に廃棄したという事実はあるのか。
十 鳩山由紀夫内閣として、「核密約」を徹底調査する旨、内閣発足以前から表明していたと承知する。また、本年九月十二日付の報道によると、鳩山内閣として、外務省に有識者を集めた第三者組織を作り、政権発足後一年を目処に「核密約」の有無について結論を出すべく調査をするとのことであるが、「四名」とは誰かを明らかにし、同時に村田元次官、大河原元大使、東郷元局長らはじめ「核密約」の存在を明言している外務省元幹部を右の組織のメンバーに迎えることも含め、彼らに直接話を聞く考えはあるか。
十一 十の調査の結果、外務省の過去の答弁に虚偽があることが明らかになった場合、鳩山総理として、誰に対し、どの様な処分を下す考えでいるのか説明されたい。
十二 十の調査の結果、外務省の過去の答弁に虚偽があることが明らかになった場合、鳩山総理として、これまで同省が「核密約」について国民に嘘をついてきたことに関し、どの様な説明をし、同時に、嘘をついてきた同省職員に対し、どの様な処分を下す考えでいるのか明らかにされたい。

 右質問する。



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