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平成二十一年十一月二日提出
質問第四四号

官僚による首相答弁資料作成と鳩山政権の「脱・官僚依存」の考え方に関する質問主意書

提出者  高市早苗




官僚による首相答弁資料作成と鳩山政権の「脱・官僚依存」の考え方に関する質問主意書


 鳩山政権は、「脱・官僚依存」「政治主導」を掲げている。鳩山首相が代表を務める民主党は、野党であった時期には、官僚による答弁資料作成や答弁資料に基づいた答弁を「官僚任せ」だとして厳しく批判していたと承知している。
 ところが、先般、いわゆる質問取りを、大臣政務官ではなく官僚にさせるということが、官房長官から発表された。
 また、衆議院で鳩山首相の所信表明演説に対する代表質問が始まった平成二十一年十月二十八日の読売新聞朝刊と朝日新聞朝刊には、「首相官邸の内閣総務官室が、各府省に対して、首相や官房長官のための答弁資料を作るよう、十月二十二日付の指示文書を出していた」、「指示文書には、答弁資料を作るにあたっての詳細な留意事項が記載されていた」という旨の記事が掲載された。
 両紙記事によると、平野官房長官は、十月二十七日に「指示は事務方の独断である」として、撤回を指示したとされている。
 ところが、十月二十八日の朝日新聞朝刊には、「二十七日夜になっても首相官邸から各府省に対し、答弁作成のために帰宅せずに待機するよう指示が出たという。ある内閣官房官僚は『自分たちが答弁をつくるのか、作らないのか。それさえ分からず、待機する。意味が分からない』とぼやいた」との記述がある。
 結局は、十月二十七日深夜になって、内閣総務官室から答弁作成依頼があり、各府省による答弁作成が行われたと側聞している。
 私自身は、「政治主導」とは、各閣僚が政権として実現を目指す政策の方向性を明確に示し、官僚が閣僚の指示に従って当該政策を実現するために必要な実務を忠実にこなすことであると考えるので、官僚による質問取りや答弁資料作成を否定するものではない。
 しかし、仮に、野党時代には官僚による答弁資料作成を厳しく批判し、「脱・官僚依存」を掲げて先の総選挙に大勝した民主党を中心とする政権が官僚に答弁資料作成を命じていたとすれば、国民に対する大いなる背信行為であると考える。
 一方で、平野官房長官が記者会見で述べた通り、内閣総務官室が政権の意思を無視して勝手に各府省に二十二日付の答弁資料作成指示文書を出したのだとしたら、内閣総務官室に勤務する官僚が政権に対する背信行為をしたことになると考える。
 また、新聞報道にあるように、二十七日に官房長官が答弁資料作成指示撤回を命じた後も、内閣総務官室が各府省に答弁資料作成を依頼したのだとすれば、官僚による命令違反行為であり、鳩山政権が目指す「脱・官僚依存」「政治主導」という方針が既に形骸化していることになる。
 右の点を踏まえ、次の事項について質問する。

一 内閣総務官室が、各府省に対して、首相等の答弁資料作成を指示する十月二十二日付の文書を発出したという報道内容の事実関係について
 @ 当該文書を発出した事実はあるか。
 A 文書を発出した事実がある場合には、首相等の答弁資料作成の指示は、首相や官房長官もしくは官房副長官の指示を受けず、内閣総務官室が独自の判断で行ったのか。
 B 平成二十一年九月十六日に「政・官の在り方」について閣僚懇談会申し合わせが行われたが、そこには、「『官』は、大臣等に報告すべき情報を秘匿したり偏った情報提供を行うことのないよう、報告責任を全うし、国家公務員法の精神に則り、国民全体の奉仕者として、『基本認識』で明らかにした『官』の役割を誠実に果たすものとする。」との記述がある。もしも、内閣総務官室が、首相や官房長官もしくは官房副長官の指示を受けず、官房長官への報告もせずに、独自の判断で各府省に答弁資料作成の指示を出したとすると、「政・官の在り方」に著しく違反する行為であると思うが、どう考えるか。
二 十月二十八日の朝日新聞朝刊に、「二十七日夜になっても首相官邸から各府省に対し、答弁作成のために帰宅せずに待機するよう指示が出たという」という記事が掲載されていることについて
 @ 平野官房長官が答弁資料の作成指示を撤回させたにもかかわらず、「二十七日夜になっても首相官邸から各府省に対して、答弁作成のために帰宅せずに待機するよう指示が出た」という事実はあるか。
 A 官邸から各府省に対する待機指示の事実があったとすると、それは、首相か官房長官もしくは官房副長官からの指示なのか。
 B 政治家からの指示でなかったとすると、誰が指示をしたのか。
 C 二の@の事実が無かったとすると、官邸から朝日新聞社に対して抗議を行ったか。
 D 結果的に、平成二十一年十月二十八日、十月二十九日の衆議院本会議における鳩山首相及び各閣僚の答弁について、官僚は答弁資料を作成したか。作成したとすると、どの閣僚のどの答弁か。
三 内閣総務官室職員への処分について
 十月二十七日の平野官房長官の記者会見内容が事実であり、内閣総務官室が独自の判断で各府省に答弁資料作成の指示を出したとすると、これは、鳩山政権が掲げる「脱・官僚依存」に対する著しい背信行為であり、平野官房長官が不快感を示したのも無理はないと考える。また、仮に、十月二十七日に前問二の@の事実があり、それが内閣総務官室の行為であったとすると、内閣総務官室は、二度に渡って独自の判断で行動をした上に、命令違反をしたことになる。
 本件は、各種マスコミが大きく取り上げるなど、鳩山政権の「脱・官僚依存」「政治主導」という政治姿勢への信頼を揺るがせたものであると考えるが、本件に関わった内閣総務官室の職員への処分を行うのか。

 右質問する。



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