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平成二十二年三月一日提出質問第一八七号
東京国立博物館の展示表示等に関する質問主意書
提出者 馳 浩
東京国立博物館の展示表示等に関する質問主意書
現在東京国立博物館を始めとする独立行政法人の国立博物館では、古九谷を「伊万里古九谷様式」として展示している。これはかつて石川県で制作されたといわれた古九谷が、すべて佐賀県伊万里(有田)で制作されたものと断定してのことと思うが、こうした伊万里古九谷論争は、器と絵付産地の問題も含め、近年の調査研究で反論資料も出ており、決着していない問題である。古九谷は世界的名陶としてわが国の誇りでもあるが、こうした未決着の問題に対して、公平公正を求められる国立博物館が断定的な表示を先行して行っていることに十分な説明がなされているとは言い難く、国民と国会に対して十分な説明が求められると考える。
そこで、次の事項について質問する。
二 古九谷伊万里説に対して、その根拠となった資料の信憑性や、最近の調査による反証資料の確認もされているが、それについて国は現在どのような認識を持っているか。
三 わが国の重要な伝統産業である九谷焼を、そのルーツというべき古九谷が石川県産ではないとする「伊万里 古九谷様式」として表示したことの影響について、その後の九谷焼にかかわる産業界に多大なマイナスイメージを与えた。また、「古九谷」表示イコール「伊万里 古九谷様式」などという一般国民にはおよそ理解できない認識を展開する研究者が出ており、博物館や美術館での展示表示の混乱を助長しかねない。それを国はどう認識しているか。
四 学界の一部の研究者から、「古九谷様式」表示をやめて「初期伊万里」あるいは「肥前」などの表記に変更するという、「古九谷」の名称抹殺論まで出ていると聞くが、この点に関して国は今後どのような方針を示すのか。
五 国指定重要文化財として指定されている「古九谷 色絵竹叭々鳥文大皿」が東京国立博物館でなぜ長年展示されずにいるのか。展示表示上の問題か。ほかの民間美術館の重文指定「古九谷」に関して展示表示上の指導を国として行うのか。
六 国指定史跡「九谷磁器窯跡」は保存と活用を図るべく今後整備が検討されている。近年同遺跡に追加指定された九谷A遺跡で発見された色絵付け窯跡や青手などの色絵磁器片の存在から、「古九谷」の生産遺跡である旨の現地表記(説明看板)を整備に伴い行うべきだと思うが、国の考えを問う。
右質問する。