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平成二十二年三月二十六日提出
質問第三一七号

いわゆる足利事件で容疑者とされた人物の取調べを担当した元検察官による謝罪に関する再質問主意書

提出者  鈴木宗男




いわゆる足利事件で容疑者とされた人物の取調べを担当した元検察官による謝罪に関する再質問主意書


 一九九〇年、栃木県足利市で当時四歳の女児が殺害されたいわゆる足利事件で容疑者とされ、無期懲役が確定し、服役中だった菅家利和氏が、女児の下着に付着していた体液のDNA型が菅家氏のものとは一致しないとの鑑定結果が出たことを受け、昨年六月四日、千葉刑務所から釈放された。足利事件の再審の第五回公判が本年一月二十二日、宇都宮地裁で開かれ、その際、当時菅家氏の取調べを担当した森川大司検事も出廷した。更に三月二十六日午前の公判では、佐藤正信裁判長は菅家氏に対して無罪を言い渡した。検察側は判決後に上訴権放棄を申し立て、菅家氏の無罪が確定した。右と「前回答弁書」(内閣衆質一七四第三五号)を踏まえ、再質問する。

一 前回質問主意書で、人権及び人権派の定義に対し千葉景子法務大臣はどの様な見解を有しているか、千葉大臣は自身が人権派であると認識しているかと問うたところ、「前回答弁書」では「人権とは、一般に、『人間が人間として生まれながらに持っている権利。(出典 広辞苑)』を意味するものとされていると承知している。」、「お尋ねの『人権派』については、様々な意味で用いられるものであり、お尋ねについてお答えすることは困難であるが、『人権派』の定義いかんにかかわらず、人権の重要性については、深く認識している。」との答弁がなされている。人権の重要性を深く認識している千葉大臣として、かつて警察、検察、そして裁判所が誤った判断を下し、十七年以上服役を余儀なくさせ、菅家氏の人権を著しく侵害したこと、そしてこの度、菅家氏の無罪が確定したことにつき、どの様な認識を有しているか明らかにされたい。
二 足利事件は、無実の罪で菅家氏の人権が著しく侵害された、我が国史上稀に見る重大な人権侵害事件であると考える。前回質問主意書で、千葉大臣として、自身が人権派であり、足利事件を我が国史上稀に見る人権侵害事件であると認識しているのなら、同事件に係る検察庁及び森川元検事の今回の対応を反面教師とし、検察庁全体に何らかの訓示を出すべきではないのかと問うたところ、「前回答弁書」では「検察当局においては、最高裁判所で無期懲役の判決が確定している事件につき、刑の執行停止により受刑者を釈放するに至ったことは、深刻な事態であると重く受け止め、現在、再審公判の推移も踏まえつつ、捜査公判上の問題点を検証しており、今後、適宜適切に対処するものと承知している。」との答弁がなされている。足利事件の再審が終結し、菅家氏の無罪が確定した今、検察庁として同事件における捜査公判上の問題につきどの様な検証結果を出し、今後同様の事件の再発を防ぐため、どの様な対処をしていく考えでいるのか、また、同庁を指導監督する立場にある千葉大臣として、今後同庁に対し具体的にどの様な指導をしていく考えでいるのか、明確に説明されたい。
三 第五回公判の最中、菅家氏が森川元検事に対して、「森川さん、私は十七年半もの長い間、無実の罪で捕まっていました。どう思いますか」と問いつめると、森川元検事は「非常に深刻に思っている」と答えたとのことである。また菅家氏が、当時の森川検事が否認を続けた菅家氏の訴えを無視し続け、強圧的、脅迫的な取調べを繰り返し、菅家氏を起訴するという誤った判断をしたことについて、「謝って下さい」と謝罪を求めたが、森川元検事は「先ほど申し上げた通りです」と答えるのみで、最後まで謝罪しなかったという。前回質問主意書で、森川元検事は現役を既に退いている者ではあるが、公正、公平を旨とすることが誰よりも求められる検察官が、過去に誤った判断をし、一人の人間の人生を狂わせたことはとても重く、取り返しのつかない失敗であり、それについてせめて一言でも謝罪をするのが、検察官である以前に人間として当然の対応であると考えるが、そうしなかった森川元検事の対応は適切であったか、また、第五回公判の最中、森川元検事は菅家氏の弁護人の尋問に対して「威嚇するのですか」と反論しているが、現職を退いているとはいえ、かつて検察官の任に就いていた者が、神聖なる法廷の場で右の様な言動を行うことは不適切ではないのかと、千葉大臣の見解を問うたところ、「前回答弁書」では「お尋ねは、現在再審公判が係属中の事件にかかわる事柄である上、既に検察庁を退職している者の対応については政府としてお答えする立場になく、答弁は差し控えたい。」との答弁がなされている。森川元検事は三月二十六日の公判でも、「深刻に受け止めている」と述べるのみで、最後まで菅家氏に謝罪をしなかったという。森川元検事が最後まで菅家氏に謝罪しなかったこと、及び再審における森川元検事の「威嚇するのですか」といった言動につき、菅家氏の再審が終結し、無罪が確定した今、千葉大臣としてどの様に考えているのか、改めて質問する。

 右質問する。



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