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平成二十二年四月三十日提出
質問第四四〇号

芸術・文化活動への公的助成に関する質問主意書

提出者  宮本岳志




芸術・文化活動への公的助成に関する質問主意書


 芸術・文化は人びとの心豊かなくらしに欠かせないものであり、芸術・文化をつくり楽しむ国民の権利を尊重しその条件を整えることは国の責務である。国民が等しく芸術・文化を享受する権利を保障するうえで、芸術・文化団体や芸術家の活動を支援する公的助成が果たす役割は重要になっている。特に経済危機で芸術・文化団体の制作・運営資金が著しく困窮しており、政府の文化審議会でも「文化芸術全体への社会からの付与されるパイが縮小されている」「経済不況による企業の協賛金カットなど深刻」と厳しい現状を指摘する意見が出されており、その重要性はさらに増している。
 ところが、昨年行われた政府の事業仕分けでは芸術・文化活動への公的助成について「効果説明が不足」「税金投入の説明が不足」といった理由をつけて予算縮減の判定を下した。短期的な効率主義や成果主義を芸術・文化に持ちこむやり方に「世界の通念からも非常識な結論だ」と多くの芸術家、文化関係者が強い憤りと反対の意見表明をした。文部科学省には十一万件ものメールが寄せられ、その圧倒的多数が予算縮減に反対の意見であった。これは短期的な効率主義や成果主義の芸術・文化への持ちこみに対する反発、予算縮減ではなく、拡充こそ芸術家、文化関係者はもとより国民の要望であることを示している。
 今こそ国による公的助成を拡充し、芸術・文化をいっそう力強く支えるべきと考え、以下質問する。

一 事業仕分けでの優れた芸術活動への重点的支援(以下、重点支援事業)などへの予算縮減という結果に対して、文部科学省は、昨年十二月、ホームページ上に「事業仕分け結果・国民から寄せられた意見と平成二十二年度予算(案)における対応状況」という文書を掲載し、文部科学省にメールで十一万件の意見が寄せられたことを明らかにしている。寄せられた意見の内容は「ほぼすべてが事業仕分けの結果に反対するもの」となっている。ところが、文部科学省は同じ文書で、「事業仕分けの結果や頂いた御意見を踏まえ、優れた芸術活動への重点的支援については三年で1/2まで縮減する」とした方針を理由も説明することなく一方的に示し、二〇一〇年度から予算額を削減している。
 @ 政府として、寄せられた十一万件の意見をどのように考えているのか。
 A 「三年で1/2まで縮減する」理由を明らかにされたい。
 B 「三年で1/2まで縮減する」との方針は政府のどの段階での決定なのか。今後、この方針を見直すことはないのか。
 C 「三年で1/2まで縮減する」方針は、芸術家、文化関係者、国民の意見を踏まえたものとは言えず、事業仕分けの結果だけに従ったものと言わざるをえないが、どうか。
 D ホームページに掲載した一片の文書で、予算額を縮減する方針を理由も説明することなく、一方的に示すやり方では芸術家、文化関係者、国民の理解は到底得られないと考えるが、どうか。
 E 政府として、「三年で1/2まで縮減する」方針を直ちに撤回すべきだと考えるが、どうか。
二 重点支援事業は芸術家、文化関係者の長年の要望もあり、一九九〇年代後半にようやくはじめられたものであるが、二〇〇三年度をピークに毎年、予算額が削減されてきた。昨年の事業仕分けによって芸術・文化にまで短期的な効率主義や成果主義を持ちこみ、さらに予算縮減をすすめるやり方に多くの芸術家、文化関係者が憤りを感じている。これまで予算額を削減してきた自民・公明前政権でさえ「舞台芸術の公演等は採算困難」と認めていた。
 @ 重点支援事業は芸術・文化活動への公的助成の中心部分であり、予算額の削減は芸術・文化団体や芸術家、文化関係者の活動に重大な打撃となるとの認識はあるのか。
 A 政府は、今後、重点支援事業はじめ芸術・文化にまで短期的な成果や効率を求めるのか。
三 現在の重点支援事業は、「対象経費の1/3以内」かつ「自己負担金の枠内」となっているため、芸術・文化団体がいくら努力しても、赤字が生じるようになっている。多くの芸術・文化団体はこうした無理な自己負担を強いる助成制度の改善を求め、日本共産党も繰り返し要求してきた。自民・公明前政権は、昨年六月九日に日本共産党の石井郁子衆議院議員(当時)が提出した質問主意書に対し、現在の助成方式で黒字がほとんど出ないことは認めたが、赤字を前提とする方式の転換は認めなかった。
 @ 赤字を前提とする方式を転換すべきと考えるが、どうか。
 A 直ちにできることは、自己負担金枠の撤廃である。すでに自治体の一部では実施されている。公的助成における自己負担金枠を撤廃すべきと考えるが、どうか。
四 経済危機のもとで芸術・文化団体、映画製作会社が資金を確保することは著しく困難になっている。わが党は繰り返し公的助成での一定額の前払い制度の導入を求めてきた。自民・公明前政権は、昨年三月三日、ならびに六月九日に日本共産党の石井郁子衆議院議員(当時)が提出した質問主意書に対し、文部科学省の他の補助金において、「事業が終了する前に当該補助金を支払った例」があることを認めながら、芸術・文化分野での導入は「検討すべき課題」とするだけで先延ばしにしてきた。文部科学省の他の補助金でできて、芸術・文化分野に対してできない理由はなく、直ちに導入すべきと考えるが、どうか。

 右質問する。



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