質問本文情報
平成二十二年六月十日提出質問第五六五号
予防接種施策に関する質問主意書
提出者 秋葉賢也
予防接種施策に関する質問主意書
予防接種は、最も有効な公衆衛生対策のひとつであるといわれており、小児予防接種をはじめ、インフルエンザ予防接種、肺炎球菌予防接種などは、予防可能な疾病負担の大きさと費用対効果を総合して、その効果が非常に高く評価されている。しかし、日本で接種が努力義務とされている一類疾病は小児を主な対象としており、六十五歳以上の成人に勧奨されている予防接種はない。
そこで、以下の点について質問する。
二 厚生労働省の厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会で予防接種法の改正に向けた検討が進められており、WHOが全地域に向けて推奨している予防接種のリストを踏まえて接種の対象となる疾病の範囲を検討することとしている。
1 同部会がまとめた「予防接種法の対象となる疾病・ワクチンの検討の進め方について(案)」では、「2.情報収集・整理の対象となる疾病」の項に、「インフルエンザ菌b型(Hib)による感染症、肺炎球菌による感染症、ヒトパピローマウイルス(HPV)による感染症、水痘、B型肝炎、流行性耳下腺炎 等」と記載されている。WHOのリストには、これら以外の疾病も含まれているが、部会の資料にいう「等」に含むものとして検討されているものは具体的に何があるのか。
2 日本は世界最速で高齢化が進展した国であり、日本の現状に即した、きめ細やかな対象の選定が必要である。多くの先進国では、WHOの推奨を越える内容の予防接種プログラムを実施しているが、WHOのリストに従う形での対象選定で十分だとお考えか。審議会で議論に上がっている現状認識と課題、予防接種の目的や今後の基本的な考え方をお示し頂きたい。
三 自治体間の財政力格差が拡大している中で予防接種への公平なアクセスを確保するためには、国レベルまで含めた費用負担の仕組みを検討することも必要である。
1 予防接種法に基づく定期接種の場合、接種のための費用は市町村の負担が原則であるが、低所得者層に係る部分に相当する額は、国が地方財政措置をしている。残りの部分については法律上、接種費用を徴収することも可能だが、実態としては市町村の持ち出しとなっているところが大半である。国民負担への配慮の一方、自治体財政、国家財政への負担も含めて、公費助成制度の在り方を包括的に見直す必要があるのではないか。政府の見解と、制度見直しの見込みをうかがいたい。
2 予防接種法対象外の任意接種の場合には国による公費助成の制度が設けられておらず、接種者自身の全額負担を原則としている。ワクチンの種類ごとに独自に公費助成を行っている自治体も存在するが、公費助成の範囲を任意接種にまで広げることは可能か。
右質問する。