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平成二十二年六月十四日提出質問第五九二号
白黒反転版拡大教科書に関する質問主意書
提出者 宮本岳志
白黒反転版拡大教科書に関する質問主意書
二〇〇八年、「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律」(以下、教科書バリアフリー法)が施行された。通常の教科書を読むことが困難な弱視の子どもたちのため、国は教科用拡大図書等(以下、拡大教科書)の普及や供給促進の措置を講ずることや、教科書発行各社は文部科学大臣が定める「教科用拡大図書の標準的な規格」にそった拡大教科書の発行に努めることなどが定められている。
ところが「標準的な規格」には、拡大教科書の「白黒反転版」については含まれていない。そのため、白黒反転版の拡大教科書を必要とする子どもたちは、自分たちでボランティアを探し、製作してもらうしかない。関係者らの強い声に押され二〇一〇年度のみの特例として、一部の教科で製作・無償給与されてはいるが、拡大教科書を使っている子どもたちが必要に応じて白黒反転版を選択できるまでには至っていない。
教科書バリアフリー法は、「障害その他の特性の有無にかかわらず児童及び生徒が十分な教育を受けることができる」よう、拡大教科書を必要とする子どもには国と教科書発行会社の責任で製作し無償給与することを掲げた法律である。その趣旨にてらせば、国の責務として、白黒反転版の拡大教科書も標準規格に位置づけ、製作・無償給与していくことは当然と考える。
従って、次の事項について質問する。
また、教科書バリアフリー法の趣旨にてらせば、拡大教科書の白黒反転化も標準的な規格として明記されるべきと考えるがいかがか。
二 愛知視覚障害者援護促進協議会による、盲学校の子どもたちや教員らを対象にした「全ての人への読書機会を提供するための拡大教科書の軽量化、白黒反転版発行についてのアンケート」の集計結果によれば、回答を寄せた人々ら三百五名のうち、白黒反転版の拡大教科書を使ってみたいと希望する人々は百九十名で六十二%にもなった。アンケートには、「選択肢の一つとして用意してもらいたい」「まぶしさが軽減され、フルカラー版より見やすい」「現在、白黒反転の教科書を使いたいという生徒がいる」などの声が寄せられている。
1 文部科学省として、こうした声をどのように受け止めるか。
2 こうした強い声に押され文部科学省は、二〇一〇年度のみの特例として、一部教科において白黒反転版の拡大教科書を製作・無償給与することを認め、十四点二十九冊が子どもたちのもとに届けられた。しかし今年度限りの特例であることから、関係者らは次年度以降の継続的な発行や他教科での製作に二の足を踏んでいるという。教科書バリアフリー法の趣旨にてらしても、学習権の保障という観点からも、白黒反転版の拡大教科書を必要としているすべての子どもに届けられるよう、少なくともこの特例措置の継続・拡充など国の責任で措置を講ずるべきと考えるが、いかがか。
右質問する。