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平成二十二年八月四日提出
質問第四九号

司法書士制度に関する質問主意書

提出者  秋葉賢也




司法書士制度に関する質問主意書


 我が国でも裁判員制度が導入されてから一年が経過し、司法制度改革の目的のひとつであった国民に身近で、開かれた司法は、その達成に向けて着実に進展しつつある。司法制度改革ではいわゆる法曹だけでなく、隣接法律専門職種の権限拡大についても検討されてきたところである。しかし改革は未だ道半ばであり、理想的な司法制度を構築するために、現状を踏まえた不断の見直しが必要である。

一 近年の制度改正を経て、司法書士の業務範囲は拡大してきた。具体的には、平成一四年の司法書士法改正で、簡裁訴訟代理関係業務についての権限付与、事務所の法人化等が図られ、平成一七年の同法改正では筆界特定の手続についての代理及び仲裁手続についての代理に関する規定が整備された。またこの間、関連諸法制の整備によって、少額訴訟債権執行手続についての代理権付与、裁判外紛争解決手続(ADR)への参入が認められてきた。しかし未だ規制されている面も多く、司法制度改革の目的である開かれた司法制度には到達していないというのが市民感覚である。法改正からも一定の期間を経ており、改正後の状況を確認し、制度の在り方を再検討する時期に来ているのではないか。
 1 国民が司法に対してアクセスしやすい制度とするためには、現在規定されている一四〇万円という簡裁代理権の事物管轄の範囲を超えて、司法書士業務全般に関する法律相談権を設けることが有効だと考えられる。一四〇万円という範囲については、現行制度の実績を踏まえて検討するとうかがっているが、これまでの実績及びそれに対する見解、さらに、それを踏まえた今後の方針をうかがいたい。
 2 司法書士に認められている簡裁代理権は、簡裁で扱う事件のすべてではないことから、相談者にとって現実に不便なだけでなく、司法書士を活用した訴訟ひいては司法の積極的な活用を思いとどまらせてしまうこととなりかねない。平成一五年に簡裁の事物管轄が九〇万円から一四〇万円に引き上げられた際の与党政策責任者会議・司法書士制度改革プロジェクトチームの座長案でも合意管轄について課題として取り上げられているが、簡裁代理権そのものの拡大を図る意志はあるか。
 3 成年後見制度が始まって一〇年が経過し、成年後見人への選任率はここ数年、司法書士がトップとなっている。全国的には、家事調停員、家事参与員の職に就いている司法書士の数も多く、家事事件においても事例により、代理権を付与したり補佐人として活用を認めることは、事件の円満な解決に有効であると考える。成年後見制度における司法書士の役割をどのように認識し、今後のよりよい制度運営のために司法書士をどのように活用するつもりがあるのか、制度全体の中での検討状況をうかがいたい。
二 司法書士の現員数は平成二二年四月一日現在、個人で一九,七八二人、法人で三八一法人となっているが、都市部への集中傾向が見られ、次第に司法書士過疎・偏在が広がっているのが現状である。現在、「法テラス」により司法過疎対応事務所の設置及びスタッフ弁護士の確保・養成・派遣等を中心とする司法過疎対策が組織的に展開されているが、弁護士だけでなく法律家全体として、地理的偏在を解消していくことが望ましいのではないか。司法書士の偏在をどのように把握し、解消のためにどのように支援していくつもりがあるか。
三 司法書士についても、法人を設立して業務を行うことが認められたが、弁護士以外の他の隣接法律専門職種と同様、その形態は共同法人に限られている。共同法人とすることで、業務の安定性・継続性が高まり、依頼人の保護に資するという面はあるが、一方で無限連帯責任が要求されるなど、法律家にとって厳しい規制もある。一人法人の検討に当たっては、共同法人導入後の経過を見て検討するとうかがっているが、現行の法人制度をどのように評価しているか。また、今後一人法人が認められる見込みはあるか。検討状況をうかがいたい。
四 去る六月に閣議決定された「地域主権戦略大綱」では、国の出先機関の原則廃止、事務・権限の地方自治体への移譲の推進などが盛り込まれている。司法書士に関する事務としては法務局が、登記、供託及び国籍に関する事務、司法書士等の指導、司法書士会等の会則の認可に関する事務等を行っている。これらの事務は、地域ごとに基準が異なれば混乱を引き起こすものであり、国が責任を持って一元的に執り行うべきものであると考える。これらを地方に移管した場合のメリット・デメリットを具体的にお示しいただきたい。その上で、これらを地方に移譲するべきだとお考えならば、その必要性を明示されたい。

 右質問する。



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