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平成二十二年十月一日提出質問第一七号
中国トロール漁船の船長が抵触したと考えられる法律と検察庁の対応等に関する質問主意書
提出者 高市早苗
中国トロール漁船の船長が抵触したと考えられる法律と検察庁の対応等に関する質問主意書
平成二十二年九月七日午前、海上保安庁巡視船「よなくに」が日本領海内で操業中だった中国トロール漁船に対して領海外へ退去するよう警告を発していたところ、揚網を終えて航走を開始した当該漁船の左舷船首が「よなくに」の左舷船尾に衝突した。その後も停船命令を無視して航走を続けた当該漁船は、巡視船「みずき」にも急な左転を行って衝突した。九月八日、海上保安庁は※(注)其雄船長を「公務執行妨害」の容疑で逮捕し、その身柄は九月九日に那覇地検石垣支部に送致された。その後、延長後の勾留期限前の九月二十五日に※(注)其雄船長は「処分保留」の上で釈放され、中国に向けて出国した。
本事件につき、※(注)其雄船長が抵触したと考えられる法律と検察庁の対応等につき、次の質問をする。
@ 海上保安庁は、※(注)其雄船長を刑法第九十五条に規定された「公務執行妨害」の容疑で逮捕した。那覇地検の捜査の結果、※(注)其雄船長が公務執行妨害を行ったという犯罪事実は確認されたのか。それとも嫌疑は晴れたのか。
A 現在は「処分保留」であるが、仮に那覇地検の取調べによって※(注)其雄船長による公務執行妨害の犯罪事実が確認されていたとしたら、今後、九月八日の記者会見に於ける仙谷由人官房長官の「我が国の法律に基づいて厳正に対処していく」というご発言の通り、法に則った手続が進み、刑法第九十五条が規定する「公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する」という罰則が適用される可能性は残っているのか。仮に罰則が適用される可能性がないとしたら、その理由は何か。
B 仮に取調べの結果、※(注)其雄船長による公務執行妨害の事実が明白ではなかったとしたら、仙谷由人官房長官が九月二十七日の記者会見で中国に請求するとした「海上保安庁の巡視船が受けた損傷の原状回復」について、その根拠を問う。
二 「外国人漁業の規制に関する法律」第三条違反容疑について
@ 「外国人漁業の規制に関する法律」第三条は、日本の国籍を有しない者等について「本邦の水域において漁業、水産動植物の採捕、採捕準備行為又は探査を行ってはならない」と規定しており、同法第九条は、第三条の規定に違反した者には「三年以下の懲役若しくは四百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」と規定している。九月二十七日付の海上保安庁作成資料によると、中国トロール漁船は「本邦領海内にて操業中」だったとされているが、当該漁船の行為は明らかに「外国人漁業の規制に関する法律」にも違反するものだと考えるが、如何か。
A 那覇地検は、※(注)其雄船長について、刑法が規定する公務執行妨害容疑だけではなく、「外国人漁業の規制に関する法律」第三条違反の容疑でも取調べをしたのか。
B 仮に「外国人漁業の規制に関する法律」第三条違反の容疑でも捜査や取調べを行ったとしたら、犯罪事実は確認できたのか。
C 仮に「外国人漁業の規制に関する法律」第三条違反の容疑で再逮捕や取調べを行わなかったとしたら、その理由は何か。
右質問する。