質問本文情報
平成二十二年十月四日提出質問第二二号
中国漁船による公務執行妨害等被疑事件について九月二十四日に那覇地検が行った記者会見の内容等に関する質問主意書
提出者 高市早苗
中国漁船による公務執行妨害等被疑事件について九月二十四日に那覇地検が行った記者会見の内容等に関する質問主意書
平成二十二年九月七日に発生した中国漁船による公務執行妨害等被疑事件について、九月二十四日午後二時三十分、那覇地検が記者会見を行った。その場で、鈴木亨次席検事は、「漁船が巡視船『みずき』に故意に衝突させたことは証拠上明白」としながらも、被疑者である※(注)其雄船長について「処分保留の上、釈放」という検察庁の方針を発表した。
鈴木亨次席検事の発言は、私も含めて多くの国民にとっては耳を疑う内容であり、生命を賭けて海上に於ける違法行為の取締りにあたっておられる多くの海上保安官を失望させるものでもあったと思う。
私は、「国民の生命、領土、国家主権」を守り抜く為に必要な法整備を推進することが何よりも重要な立法府の使命だと考える者だが、いかに法整備が進んだとしても、法が適切に執行されないならば効果は望めないと考える。
従って、次の事項について質問する。
今後、日本人や中国人以外の外国人が船長を務める船舶が、海上保安庁の船舶に故意に衝突した場合にも、前記の四要件を満たしていれば、※(注)其雄船長と同様の処遇になるのか。それとも、中国国籍を持つ被疑者に限定した処遇であるのか。
二 同日の会見で、鈴木亨次席検事は、「我が国国民への影響や今後の日中関係も考慮すると、身柄を拘束して捜査を続けることは相当でない」と発言した。この発言について、次の質問をする。
@ 「今後の日中関係」とは、具体的に何か。どのような日中関係を築くことが望ましいと考えているのか。
A また、この文言を入れる契機となった事象は何だったのか。例えば、記者会見日までの中国政府の言動、外務省や官邸からの示唆など、具体的に述べられたい。
B 今後は、日中関係を良好に保つ為に、中国国籍の者が日本領海内で公務執行妨害や漁業を行ったとしても、身柄の拘束や捜査は行わないということか。
C 中国に帰国した※(注)其雄船長が、マスコミの取材に対し、「日本側は、繰り返し私が入った場所が日本領海だったと認めさせようとしたが、私は拒否した。私が死んでも釣魚島(魚釣島)は中国のものだ。今後も釣魚島で漁をしていく」と答えた旨が報道されている。那覇地検は「今後の日中関係」を釈放の理由としているが、今後、※(注)其雄船長が日本領海内で漁業を行った場合、「外国人漁業の規制に関する法律」第三条違反等の容疑で身柄の拘束や捜査を行うことは無いのか。
D 今後、中国国籍以外の者が日本領海内で漁業を行った場合には、身柄の拘束や捜査など法に基づいた対応を行うのか。それとも、違法行為を行った疑いがある者の国籍によって、当該国と日本との外交関係の重要性を判断して対応を決めるのか。
E この釈放理由については、公正公平に法を執行するべく日々取締りにあたっておられる海上保安官の士気を著しく低下させるとともに、今後、違法行為の疑いがある者の国籍によって職務執行の是非を判断しなければならないのではないかという迷いを生じさせる事態となっているのではないかと懸念するが、如何か。
F 既に、複数の自衛官から、「中国軍の脅威から領土や領空を守る為に日々命懸けで遂行している任務について、虚脱感を覚える」という旨の声を伺っている。今回の検察庁の判断が、防衛の第一線で頑張っておられる自衛官の士気を低下させる原因にもなったとは考えないか。
G 検察庁が決める処分は、法と証拠に基づいて、被疑者の国籍や当該国との外交関係に左右されることなく、公平且つ公正に行われるべきものだと考えるが、菅内閣の考え方を問う。
H 鈴木亨次席検事が述べた「我が国国民への影響」とは、具体的に何か。この文言を入れる契機となった事象は何だったのか。例えば、レアアースの輸出停止か、フジタ社員の拘束か、具体的に述べられたい。
右質問する。