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平成二十二年十月十三日提出
質問第五一号

中国漁船の我が国巡視船への衝突事案に係る中国人船長の釈放及びビデオ記録の取扱等に関する質問主意書

提出者  秋葉賢也




中国漁船の我が国巡視船への衝突事案に係る中国人船長の釈放及びビデオ記録の取扱等に関する質問主意書


 本年九月七日、尖閣諸島周辺領海内において、違法操業をしていた中国漁船が、退去警告等の措置を実施していた第十一管区海上保安本部の巡視船に衝突し、海上保安官の職務を妨害する事案が発生した。中国人船長は海上保安庁によって公務執行妨害容疑で逮捕されたが、同月二十四日の那覇地検の決定に基づき、翌二十五日、処分保留のまま釈放された。那覇地検は会見で、釈放の理由として、日中関係も考慮したとしているが、外交は内閣の専管事項であり、検察による越権行為との批判は免れない。また、今回の釈放が本件事案の今後の行方に大きな影響を及ぼす問題でありながら、検察の自主的な判断であるからと、政治主導で関与しようとしなかった政府の責任も非常に大きいと言わざるを得ない。右を踏まえ、以下質問する。

一 中国漁船による違法操業であれば、公務執行妨害とあわせて外国人漁業の規制に関する法律第三条も適用し、当該漁船は我が国領海を侵犯したとの立場を明確にすべきだったと考えるが、なぜ今回、同法は適用されなかったのか。
二 海上保安庁は、九月三十日の衆議院予算委員会で、外国人漁業の規制に関する法律違反の疑いでも捜査を行っていた旨答弁しているが、政府は、平成二十二年十月十三日現在も捜査を継続中か。継続中であるならば、政府は、中国人船長を釈放した後であっても、送致や起訴といった処理が現実的に可能と考えているのか。
三 九月二十五日、那覇地検は勾留していた中国人船長を、処分保留のまま釈放した。那覇地検次席検事は、「日中関係を考慮」した結果としているが、本来、検察は法と証拠に基づく職務の執行が本務であり、今回のように外交関係を考慮するというのはまさに越権行為と言わざるを得ない。外交はまさに内閣の専管事項であり、政治主導を掲げて政権交代を果たした民主党政権は、まさに検察庁法第十四条の指揮権を発動して、検察に船長の釈放を指示すべきだったと考えるが、政府の認識を明らかにされたい。
四 中国漁船が衝突し、損傷を受けた海上保安庁巡視船二隻の原状回復について、仙谷官房長官は、九月二十七日の記者会見で、当然、中国側に請求する旨の発言を行ったと承知している。内閣の要である官房長官の発言でもあり、政府は速やかに原状回復を中国側に求めるべきと考えるが、請求時期及び請求額を明らかにされたい。
五 今回、中国漁船の体当たりを受けた海上保安庁の職員は、身の危険を顧みず自らの職務を遂行し、中国人船長を逮捕したものと承知している。にもかかわらず、外交上の事情という法的根拠もない検察の判断によって船長が釈放されたことで、職員の士気低下にもつながりかねないと危惧するが、政府の認識を明らかにされたい。
六 今回、中国漁船の海上保安庁巡視船への衝突をとらえたビデオ記録に関して、刑事訴訟法第四十七条ただし書きでは、裁判前の証拠物の公開は、公益上の必要その他の事由があって、相当と認められる場合は、この限りでないと規定している。
 1 右ビデオ記録は、海上保安庁が撮影したものと承知しているが、原本の保管官庁はどこか。国土交通省か、あるいは法務省か明らかにされたい。
 2 右ビデオ記録は、中国漁船による違法性の存在を明確に示すための証拠であり、公益上の必要性が十分存在すると認識するが、当該記録を公開するか否かの判断を下す者の職名を明らかにされたい。
 3 報道によれば、仙谷官房長官は九月二十八日の記者会見で、国会の委員会の決議があればビデオ記録の公開に応じる可能性がある旨の発言をしたと承知しているが、政府は、関係委員会の決議があっても、「秘密会」への限定的な開示にとどめたいとの意向も報じられている。右で述べた公益性に加えて、国民の本件に対する強い関心、また、事件の真相に係る国民への説明責任を踏まえれば、政府は自発的に当該記録を公開すべきではないか。
七 十月五日、菅総理は中国の温家宝・国務院総理と懇談した。外務省のプレスリリースによれば、尖閣問題及び今後の日中関係について話し合ったとされるが、何ら具体的な成果も得られず、単に日中関係の修復を国内世論向けにアピールしようとの思惑が見られる。九月二十日に中国当局に拘束された株式会社フジタ社員四名のうち、唯一最後まで拘束されていた高橋定さんが十月九日に無事に解放されたが、菅総理は、首脳会談という機会を活かし、高橋さんの解放を中国側に強く迫ったのか明らかにされたい。

 右質問する。



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