質問本文情報
平成二十二年十月二十五日提出質問第九一号
学校教育に於ける新聞の活用に関する質問主意書
学校教育に於ける新聞の活用に関する質問主意書
平成二十年三月に告示され、平成二十三年四月に全面実施予定である小学校及び中学校の学習指導要領には、新聞に関する次の記述がある。
例えば、小学校教育課程に於いては、第五学年及び第六学年の国語では、「読むこと」の指導について、「編集の仕方や記事の書き方に注意して新聞を読むこと」と記されており、第五学年の社会では、「放送、新聞などの産業と国民生活とのかかわり」について、「調査したり資料を活用したりして調べ、情報化の進展は国民の生活に大きな影響を及ぼしていることや情報の有効な活用が大切であることを考えるようにする」と記されている。
また、中学校教育課程に於いては、第二学年の国語では、「読むこと」の指導について、「新聞やインターネット、学校図書館等の施設などを活用して得た情報を比較すること」と記されており、社会の公民的分野では、「指導の全般にわたって、資料を選択し活用する学習活動を重視するとともに作業的、体験的な学習の充実を図るようにする。その際、地図や年表を読みかつ作成すること、新聞、読み物、統計その他の資料に平素から親しみ適切に活用すること(後略)」と記されている。
更に、平成二十一年三月告示の高等学校学習指導要領に於いても、公民では、「情報を主体的に活用する学習活動を重視するとともに、作業的、体験的な学習を取り入れるよう配慮すること。そのため、各種の統計、年鑑、白書、新聞、読み物、地図その他の資料を収集、選択し、それらを読み取り解釈すること(後略)」と記されており、地理歴史でも、同趣旨の記述がある。
以上、来年より順次実施される学習指導要領の記述に基づいた教育が行われるためには、政府による環境作りが必要であると考えることから、次の事項について質問する。
二 前記した小中学校の学習指導要領は来年度から実施されるが、家庭に於いては教材としての新聞を読むことができない環境にある児童・生徒もいる。せめて学校に行けば全教室で新聞が読めるような配慮が必要だと考えるが、菅内閣の考え方を伺う。
三 既に平成十四年から、(社)日本新聞販売協会の提唱による「すべての教室へ新聞を」運動が実施されており、文部科学省は同年八月二十九日よりこの運動を後援していると承知している。文部科学省は、「すべての教室へ新聞を」運動に対して、具体的に如何なる支援を行っているのか。
四 現在は、「すべての教室へ新聞を」運動にかかる労力やコストについては、運動に参加しておられる新聞販売店が負担しているものと考えられるが、間違いないか。
五 「すべての教室へ新聞を」運動は、来年度から実施される学習指導要領の内容にも合致しており、意義深いものだと考えるが、新聞販売店のご好意の上に成り立っている社会貢献活動であることから、恩恵を享受できる学校とそうではない学校があり、地域的にも偏りが出ているであろうことは想像に難くない。菅内閣は、この運動の意義を如何に評価しているのか。又、より多くの学校が公平に新聞の提供を受けられるようにするためには、どのような対策が有効だと考えるか。
六 仮に学習指導要領に新聞の活用についての記載がある小学校第五学年、第六学年、中学校、高等学校の全教室に教材としての新聞を配置するとすれば、対象となる教室数は、全国で幾つになるか。
七 平成二十一年一月二十三日、フランスのサルコジ大統領が、若者の活字離れ防止や活字メディア支援の為に、三年間で六億ユーロの予算措置をもって、「フランスの成人年齢十八歳に達した男女に、一年間、新聞を無料配達する」等の政策を発表した。日本では、フランスよりも新聞購読率が高いことから、全成人への無料配達は必要ないと考えるものの、前問に記した対象教室全てに一部ずつ配置することについては、学習指導要領に従った教材の提供という位置付けで、国によって新聞原価等を負担する方法で行われるべきだと考える。来年度以降、予算措置を伴う新規政策として、小学校第五学年、第六学年、中学校、高等学校の全教室に新聞を配置することは可能か。仮に不可能であるとすると、その理由を伺う。
右質問する。