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平成二十二年十月二十九日提出質問第一一一号
検察庁における調査活動費の裏金流用疑惑に対する菅直人内閣総理大臣の見解に関する質問主意書
提出者 浅野貴博
検察庁における調査活動費の裏金流用疑惑に対する菅直人内閣総理大臣の見解に関する質問主意書
二〇〇八年四月四日に閣議決定された政府答弁書(内閣衆質一六九第二三三号。以下、「政府答弁書一」という。)では、検察庁における調査活動費について、「検察庁の調査活動費は、検察庁における事件の調査、情報の収集等の調査活動のための経費である。」と定義されている。二〇〇八年三月二十日付と同月二十一日付の朝日新聞の「内部告発」という題で、元大阪高検公安部長の三井環氏が実名で検察庁における調査活動費の裏金流用を告発した経緯について書かれた記事(以下、「朝日記事」という。)が掲載されており、それには、検察庁組織において、調査活動費が裏金にされ、幹部職員の飲食費として使われる等、流用された事実がある旨書かれている。右を踏まえ、質問する。
二 最高検察庁、高等検察庁、地方検察庁、区検察庁を含む検察庁組織全体において、これまで偽造領収書や虚偽の伝票等により調査活動費が裏金にされ、幹部職員の飲食費として使われる等、流用された事例はあるか否か、菅総理としてどのような見解を有しているか。右の問いに対し、前政権によって閣議決定された「政府答弁書一」では「御指摘のような事例は承知していない。」との答弁がなされ、また鳩山由紀夫前内閣としても、本年一月二十九日に閣議決定された政府答弁書(内閣衆質一七四第九号。以下、「政府答弁書二」という。)でも、「御指摘のような事例は承知していない。」、「検察庁の調査活動費は、適正に執行されていることから、御指摘のような調査をする必要はないものと考えている。」と、そのような事実はない旨の答弁がなされているが、菅直人内閣としても、同様の認識を有しているか。明確な答弁を求める。
三 「朝日記事」には「二審判決は『調活費の本来の目的、必要性には疑問が生じる』と指摘した。」と、三井氏の二審の裁判長が判決の際に述べた発言について触れられているが、右裁判長の発言に対し、「政府答弁書一」では「調査活動費は、適正に執行されていることから、御指摘のような調査をする必要はないものと考えている。」との答弁がなされている。「政府答弁書一」の内容は、司法の判断と行政の認識に差異が生じていることを示すものであるが、なぜ右の差異が生じたのか、菅総理としてどのような認識を有しているのか説明されたい。
四 菅総理、柳田稔法務大臣として、三の裁判長の発言に対してどのような見解を有しているか。
五 柳田大臣は検察庁の監督省庁の長として、三の裁判長の発言及び「朝日記事」における三井氏の指摘等、同庁における調査活動費に対する種々の疑惑を無視するのではなく、それらを受け止め、同庁に対し改めて詳細な調査を行うよう命じる、または自ら先頭に立って指揮を執り、調査を行う考えはあるか。また、菅総理として、そのような調査を行うよう、柳田大臣に指示を出す考えはあるか。明確な答弁を求める。
六 三井氏は二〇〇二年四月二十二日に逮捕され、静岡刑務所に収容されていたが、本年一月十八日、刑期を全うし、出所した。過去の質問主意書で、三井氏が逮捕されたのは、検察庁における調査活動費の裏金流用を実名で告発することを決意したことと何らかの関係があるかと問うたところ、「政府答弁書一」、「政府答弁書二」でも、右について「御指摘の者については、検察当局において、法と証拠に基づき逮捕したものであり、御指摘のような『関係』はないものと承知している。」との答弁がなされているが、菅総理、柳田大臣としてどのような見解を有しているか。菅総理、柳田大臣としても、前政権と同様の認識を有しているか。
七 「政府答弁書一」では、一九九四年度から二〇〇八年度における、検察庁における調査活動費の予算額が示されている。それによると、一九九八年度は五億五二六〇万円、二〇〇八年度は七五一一万八〇〇〇円と、十年の間に約八分の一までに予算額が激減していることが明らかになっているが、右の理由につき、「政府答弁書一」では、「検察庁における調査活動の方法等の見直しを行ったことによるものである。」との答弁がなされ、明確な理由が明示されていない。また「政府答弁書二」でも「検察庁における調査活動費が減少したのは、公安情勢が大きく変化したことなどにより、調査活動の方法等の見直しを行い、情報収集の多様化・効率化を進めたことなどによるものである。」との答弁がなされているのみであった。菅総理、柳田大臣は、右につきどのような見解を有しているか。
右質問する。