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平成二十二年十一月十六日提出
質問第一七二号

尖閣諸島の実効支配強化に向けた政府の取組に関する再質問主意書

提出者  秋葉賢也




尖閣諸島の実効支配強化に向けた政府の取組に関する再質問主意書


 「前回答弁書」(内閣衆質一七六第一一〇号)を踏まえ、以下質問する。

一 前回質問主意書「一」の「1」で、元々国有地であった魚釣島、北小島、南小島及び久場島が私有地となった経緯について問うたところ、前回答弁書「一の1について」では、「昭和七年に私有地となったと承知しているが、その経緯は承知していない」との答弁であった。しかし、前回質問主意書提出の後、私が入手した『尖閣諸島について』と題する、外務省情報文化局が昭和四十七年に発行した資料によると、「2.わが国領土に編入されたいきさつ」の中で、明治十七年頃から魚釣島、久場島、南小島及び北小島において漁業等に従事していた福岡県の民間人から、国有地借用願が出されたのを受け、明治政府は右四島を三十年無料貸与したこと、また、昭和元年、右民間人の子息に無料貸与していた右四島の貸与期限が切れたため、当時の政府はその後一年契約の有料貸与に切りかえたこと等が事細かに記されている。
 1 昭和四十七年、当時の外務省情報文化局が、右資料を作成したことは間違いないか。
 2 現在、外務省は右資料を保管しているか。
 3 2に関し、保管しているのならば、右資料で明確に記されている右四島が私有地となるまでの経緯を、前回答弁書で「承知していない」と答弁するのは極めて不誠実である。右答弁をするに至った理由を明らかにされたい。
 4 2に関し、保管していないのならば、税金によって作られた右資料の作成元として、外務省の文書管理が杜撰であったと言わざるを得ない。外務省が右資料を保管していない理由を明らかにされたい。
 5 4に関し、右資料がなくとも、我が国が右四島を実効支配してきた歴史的根拠とするため、私有地となった経緯について政府は当然に調査するべきであり、その経緯について「承知していない」と答弁するのは極めて無責任と考えるが、政府の認識如何。
 6 改めて、右四島が昭和七年に私有地となるまでの経緯を明らかにされたい。また、明らかになった経緯については、尖閣諸島に対する我が国の実効支配に関する国民の知見や理解を深めるため、外務省のホームページ等で公開することが極めて有益と考えるが、政府の認識如何。
二 前回質問主意書「一」の「2」で、総務省が魚釣島、北小島及び南小島を賃借している利用目的を問うたところ、前回答弁書「一の2について」では、「尖閣諸島の平穏かつ安定的な維持及び管理を図る」ためとの答弁であった。
 1 右目的の必要性を判断した経緯及びその判断主体を具体的に明らかにされたい。
 2 国は右三島の維持及び管理のため、これまで具体的にどのような施策を講じてきたのか。平成十四年四月以降について明らかにされたい。
三 前回質問主意書「四」で、「過去に政府は右四島の買い上げを所有権者に提案したことがあるか」等について問うたところ、前回答弁書「四について」では、「所有者の権利利益を害するおそれ等」を理由にして答弁を控えている。
 1 右質問に答弁することが、所有者のどのような権利利益を害するおそれがあると考えているのか、具体的に説明されたい。
 2 改めて、過去に政府は右四島の買い上げを所有権者に提案したことがあるか。あるならば、いつ提案したのか。また、提案したことがないのならば、その理由を明らかにされたい。
四 前回質問主意書「五」で、本年十月二十六日、石垣市長らが政府に対して、尖閣諸島に対する固定資産税評価のための上陸調査を要請した件に関し、政府の回答時期について問うたところ、前回答弁書「五について」では、「政府部内で検討中」との答弁であった。しかし、十一月十二日の衆議院外務委員会では、当該上陸調査を認めるべきか否かとの前原外務大臣への質問に対して、前原大臣は、「今までの方針どおりでいい」との答弁であった。
 1 「政府部内」とは具体的にどの府省か、すべて列挙されたい。また、その中の主管府省を明らかにされたい。
 2 前原外務大臣の「今までの方針どおりでいい」とは、石垣市長らの上陸調査を認めないとの趣旨か否か、明確にされたい。
 3 前原外務大臣の右答弁は政府としての一致した回答か。そうであるなら、右結論に至った日を明らかにされたい。また、政府としての回答が固まっていないのならば、右答弁は前原大臣の個人的見解と認識してよいか。
 4 政府は、石垣市長らに対して、上陸要請に対する回答をいつ行うのか明らかにされたい。
五 前回質問主意書「六」で、数多くの固有動植物が生息している尖閣諸島の生物多様性を確保すべく、同諸島における自然環境・生態調査を実施すべきと主張したところ、前回答弁書「六について」では、「自然環境に関する情報収集は必要である」と考えながらも、「引き続き、航空写真の解析等による情報収集に努める」との答弁であった。
 1 航空写真の撮影及び解析は直近でいつ行われたか。それぞれの実施頻度及び実施主体と併せて明らかにされたい。
 2 「航空写真の解析等」の「等」には、具体的にどのような情報収集策が含まれるのか。実施頻度及び実施主体と併せて明らかにされたい。
 3 本年十一月八日の産経新聞によれば、最近では野生化したヤギが繁殖して、尖閣諸島の生態系に影響を及ぼしており、既に二十年近く実施されていない上陸調査をすぐに行わなければ、同諸島の生態系を維持できない旨の識者の意見が掲載されている。国は航空写真の解析による情報収集と上陸調査、どちらが生態系確保のためにより効果的と考えているか。

 右質問する。



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