質問本文情報
平成二十二年十一月二十五日提出質問第一九八号
民主党政権の政治主導に関する質問主意書
提出者 木村太郎
民主党政権の政治主導に関する質問主意書
民主党の枝野幹事長代理は、民主党政権が掲げた政治主導がうまく機能していないとの声について、「与党がこんなに忙しいとは思わなかった。政治主導なんて迂闊なことを言ったから大変なことになった」と今月十四日、さいたま市内で講演し、自ら政治主導が間違っていたことを認めた。
自公政権時においては、野党の会議に出席する官僚、配布資料、答弁内容に至るまで、事細かく政務三役がチェックし、規制することはなかったが、現政権下では、政治主導という縛りにより、官僚の自由が制限され、政務三役の了解がなければ何事も進まないことになっている。しかし、この間違った政治主導がもたらす弊害は枚挙に暇がない。
鳩山前総理の米軍普天間飛行場の移設問題による日米同盟の空洞化、尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件においての政治主導と言いながらの官僚への責任転嫁とビデオ流出事件、我が国の固有の領土である北方領土に無断で立ち入ったロシアのメドベージェフ大統領の国後島訪問等数々の国益損失、そして、今月三日、入間基地での航空祭で民間団体会長が政府批判をしたことに対して、言論封鎖とも採れる通達を自衛隊各部隊等にまで発出した事案と間断なく続いている。
頭脳と鋏と官僚は使い様であり、外交に浅薄な政務三役が、官僚の知恵と口を封じて指揮を執るため、一連の間違った外交姿勢が問われ、また、前記の通達発出においては、明らかに独裁者の言論統制であり、現政権は誤れるも甚だしき官僚との関係を軌道修正し、体質改善が必要と考える。
従って、次の事項について質問する。
二 自公政権下ではありえない様々な政策、外交、予算編成等についての政党が会議を行う際、現政権は、出席の要請があった官僚、配布資料、答弁内容に至るまで、政務三役が事細かくチェックしていることが随所に見受けられるが、その理由と効果について詳細に示されたい。
三 事業仕分けにおける仕分け人と評価される所轄府省の同じ与党議員とのやりとりで、意見が食い違うことは理解できるが、事業仕分けそのものを廃止すべきと唱えている与党議員についてどのように捉えているのか、また事業仕分けの評価者について、その人選は誰が決定し、基準はどのようになっているのか、菅内閣の明確な説明如何。
四 尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件においては、政治主導と言いながらの官僚への責任転嫁と思われる。本来ならば所轄府省関係者を官邸に呼び、協議することは常識と考えるが、菅内閣の見解如何。
五 今月三日、入間基地での航空祭で民間団体会長が政府批判をしたことに対して、言論封鎖とも採れる通達を自衛隊各部隊等にまで発出した事案について、言論統制であるとの声があるが、通達を命じたのは、政務三役なのか、また、これについてどのように捉えているのか、菅内閣の見解如何。
六 五に関連し、政治主導で通達したことによって、政権与党にとっては自己満足に終わるのみで、日本を命がけで守っている自衛隊員の士気低下は否めない。また、仙谷官房長官が自衛隊のことを「暴力装置」と発言したことにより、益々自衛隊員の心は現政権から遊離し、加えて士気低下を加速すると考えるが、菅内閣の見解如何。
七 六に関連し、「暴力装置」という用語は、レーニンを始めとする社会主義者が理論付けに多用し、文革の毛沢東も「権力は鉄砲によって維持される」と言っているものである。現内閣は、政治主導によって社会主義・共産主義国家を目指していくことを露呈したようなものと考えるが、菅内閣の見解如何。
八 七に関連し、レーニンのロシアが北方領土、毛沢東の中国が尖閣諸島の資源、を求めて実効支配を既成事実化しようとしている中での不用意な官房長官の発言は、同じ憲政壇上に立つ人間として到底許されざる醜態であると考えるが、菅内閣の見解如何。
九 十一月十三日の日米首脳会談において、菅総理から米国オバマ大統領に対し、アフガニスタンの復興支援のための人的貢献を前向きに検討するとの発言があったと聞くが、危険区域等の治安情勢や自衛隊員の地位や処遇の問題等を考慮した発言なのか、或いは政治主導による単なる菅総理の思いつき発言なのか、菅内閣の見解如何。
右質問する。