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平成二十二年十一月二十五日提出質問第二〇一号
北方領土問題の解決に向けた内閣府副大臣の発言に関する再質問主意書
提出者 浅野貴博
北方領土問題の解決に向けた内閣府副大臣の発言に関する再質問主意書
本年十一月十一日、末松義規内閣府副大臣は民放テレビ局の番組に出演し、北方領土問題について「今やれば(日本が求める)四島全部は取れない。タイミングをずっと延ばして一世代待ち、日本側が有利なタイミングを見るしかない」との発言(以下、「発言一」という。)をしている。また、同月十二日、北海道根室市の波多雄志市議会議長はじめ九人の議員の訪問を受けた際に、末松副大臣は以下の発言をしている。
「(四島即時返還は)現実的に極めて考えにくい。長期的な視点が必要だ」(以下、「発言二」という。)
「ウィン・ウィンの関係で今合意するとしたら、日本が四−〇で勝つのは想像しがたい」(以下、「発言三」という。)
「タイミングを選んで日本が極めて有利な時に持っていくことだ」(以下、「発言四」という。)
そして更に、パレスチナ問題を引き合いに出して次のように述べている。
「日本人みたいに性急ではなく、孫の代も考えてやっている」(以下、「発言五」という。)
右と「前回答弁書」(内閣衆質一七六第一六三号)を踏まえ、再質問する。
二 前回質問主意書で、パレスチナ問題に関する政府の認識はどのようなものか、その発端、歴史的経緯、背景、当事者による交渉等、パレスチナ問題と北方領土問題にはどのような相似点、違いがあるかと問うたところ、「前回答弁書」では「いわゆるパレスチナ問題とは、…特にイスラエル・パレスチナ双方の間では、難民、入植地、境界画定等個々の問題を解決し、イスラエルとともに共存共栄するパレスチナ国家を建設することを目標として交渉が行われてきていると承知している。北方領土問題とは、…ソ連邦及びロシア連邦による北方四島の占拠が続いている問題であると認識している。このように二つの問題は、それぞれ歴史的経緯等を異にしており、単純に比較することは困難である。」との答弁がなされている。更に前回質問主意書で、パレスチナ問題を引き合いに出した末松副大臣の「発言五」は適切なものであったかと問うているが、「前回答弁書」では何の答弁もなされていない。右答弁にあるように、パレスチナ問題と北方領土問題の歴史的経緯等が異なると政府が認識しているのなら、「発言五」は不適切な発言であり、元島民、根室地域の住民はじめ日本国民に誤解を与えかねないものではなかったのか。再度質問する。
三 前回質問主意書で、政府、特に馬淵澄夫沖縄及び北方対策担当大臣として、末松副大臣の一連の発言について何らかの注意をしているかと問うたところ、「前回答弁書」では何の答弁もなされていない。当方は、いたずらに過去の発言を取り上げ、重箱の隅をつつくような議論のための議論をする考えはないが、故郷を追われて六十五年が過ぎ、焦りを超えた焦燥感、絶望感を抱いている元島民の方々、北方領土問題が進展しないことで経済的に疲弊している根室市はじめ地域住民の方々、そしてこの問題の解決を切望している日本国民に対し、政府として確固とした姿勢を示す上でも、馬淵大臣として、末松副大臣の一連の発言に対し注意をすることが必要ではないのか。再度質問する。
右質問する。