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平成二十三年二月九日提出質問第五九号
メドベージェフ・ロシア大統領が提唱しているいわゆる北方領土自由貿易圏に関する再質問主意書
提出者 浅野貴博
メドベージェフ・ロシア大統領が提唱しているいわゆる北方領土自由貿易圏に関する再質問主意書
昨年十二月、ロシアのメドベージェフ大統領は、テレビ番組を通じ、我が国に対して、北方領土を含めた自由貿易圏を作り、同地域において日ロ間で経済協力を行うことを提案していると承知する。右と「前回答弁書」(内閣衆質一七七第三一号)を踏まえ、再質問する。
二 北方領土は我が国固有の領土であるが、これまですでに明らかになっているように、政府としてどれだけ自粛を呼びかけても、邦人がロシア政府の発給するビザを受けて北方領土に渡航する事例は後を絶たない。右に関する政府の見解如何。
三 ロシアによる実効支配を受けているとは言え、我が国として、北方領土に対するロシアの管轄権を認めることはできない。しかし、例えばビザなし交流や、いわゆる安全操業協定のように、日ロ両国の主権をあいまいにした形で、邦人が北方領土を訪問する、または北方領土に居住するロシア系住民が北方領土を除く我が国の領土を訪問する、そして北方領土の周辺海域で邦人が漁業活動を行うことを可能とする等の枠組みも、日ロ両国関係者の英知により、これまで作られてきている。二で指摘したように、邦人によるロシア政府の管轄権に服した形での北方領土渡航が後を絶たない。それならば、例えば、外務省が発行するパスポートではなく、内閣府が発行する身分証明書のような書類を邦人が携帯して、北方領土に訪問する、我が国としてはあくまで国内手続き、ロシア側としては入国手続きとしてみなす等、日ロ両国の主権が侵されることのない玉虫色の枠組みを作ることは、日ロ双方の担当者が本気になって協議をすれば決して不可能ではないと考えるが、政府の見解如何。
四 政府として、いくら政府が自粛を呼びかけても、邦人によるロシアによるビザ発給を受けての北方領土渡航が後を絶たないという現実を鑑みる時、政府として、三で指摘したような、ビザなし交流等の現行の枠組みに加え、邦人が北方領土を訪問し、経済活動を行える新たな枠組みを考えるべき時に来ているのではないのか。そうして、北方領土における我が国のプレゼンスを高めていくことが、停滞する一方の北方領土交渉を打開する一つの契機となり得ると考えるが、政府の見解如何。
右質問する。