質問本文情報
平成二十三年二月十七日提出質問第七三号
第三号被保険者の不整合記録に関する質問主意書
提出者 阿部知子
第三号被保険者の不整合記録に関する質問主意書
現行の年金制度では、第二号被保険者が失業などで第一号被保険者になる場合などには、その配偶者(第三号被保険者)は、第一号被保険者に切り替えることが義務づけられている。ところが、この切り替えをせず、第三号被保険者のままになっているケースがある。この「第三号被保険者の不整合記録問題」に対して厚生労働省は、平成二三年一月一日から一律に第一号被保険者の未納部分を二年間さかのぼって納めれば、それ以前については未納のまま第三号被保険者であったとする「運用三号」と称する措置を実施している。同措置は「公平性」を欠き、年金制度に対する不信感を助長しかねない。
右を踏まえ、以下質問する。
二 「運用三号」を実施するのであれば、法改正を経て実施すべきであったと考えるが、「運用三号」を実施するにあたって法改正の必要性を認識していたが「通知」で済ませたのか、あるいはそもそも法改正の必要性を認識していなかったのか、いずれかであるか、明らかにされたい。
三 厚生労働省の説明によれば、第一号被保険者に移行の届け出を行わず未納のままの対象者を救済する根拠として、制度が創設された昭和六一年から平成一〇年三月までは「行政の取り組みがほとんど行われなかった期間」、平成一〇年四月から平成一七年までは「行政の対応が不十分な期間」としている。
(1) この「ほとんど行われなかった」あるいは「不十分」であることが、救済の理由であるとすれば、これは「行政の瑕疵」あるいは「行政の不作為」ということになると思うが、「行政の瑕疵」あるいは「行政の不作為」を認めるとすれば、その期間はいつからいつまでなのか。
(2) 「行政の瑕疵」あるいは「行政の不作為」を認めないというのであれば、その理由を明らかにされたい。
(3) 「行政の瑕疵」あるいは「行政の不作為」を認めないのであれば、認めずに特定の対象者を一律救済することは可能なのか明らかにされたい。
四 「運用三号」で救済される人(例妻)の配偶者(例夫)が、未納を続けていた場合でも「運用三号」による救済はあるのか。その場合、失業などで第一号被保険者になった人(例夫)の未納を救済することはせずに、第三号被保険者から第一号被保険者に移行する人だけを救済することは不公平にならないか。
五 「運用三号」は平成二三年一月一日から適用されたが、それ以前に自ら申し出た人は適用されず、未納のままとなる。これは不公平になると思うが、政府の見解を明らかにされたい。
六 今後、同様のケースであえて第一号の保険料を納めないという人が出てくる可能性がある。もしそうなればモラルハザードになりかねないが、政府の見解を明らかにされたい。
七 年金記録回復については、これまでは個々人のケースで救済することはあったが、今回は対象者すべてである。対象者を一律的に適用するというのは政府の年金記録に関する方針転換と考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
八 類似の事案あるいは他に同じような例があれば、同様な措置をとるのか、明らかにされたい。
右質問する。