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平成二十三年五月六日提出質問第一六四号
内閣総理大臣の衆議院解散権に関する質問主意書
提出者 柿澤未途
内閣総理大臣の衆議院解散権に関する質問主意書
日本国憲法第七条の確立した法解釈として、内閣総理大臣は閣議決定に基づき衆議院を解散する権限を有するというのが通説であり、実際、そのように運用されている。
また、日本国憲法第六十九条には「内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。」とあり、内閣不信任決議案が衆議院において可決された場合、内閣総理大臣は閣議決定に基づき衆議院を解散する事ができるとされている。
こうした状況にある中、内閣総理大臣の衆議院解散権の行使は制約を受ける事となるのか、政府の見解を示されたい。
二 一方、東日本大震災の発生を受けて、甚大な被害を受けた被災自治体において、本年四月に予定されていた統一地方選挙について、総務大臣の指定により最大六ヶ月の延期を可能とする臨時特例法が施行され、岩手、宮城、福島の三県における県知事選挙、県議会議員選挙、さらに四十八市町村長選挙及び市町村議会議員選挙、そして茨城県水戸市の市長選挙、市議会議員選挙の執行を延期した。
震災の被害は甚大であり、今後、四月以降に執行される被災自治体における各級選挙、また臨時特例法における最大六ヶ月の延期期間を経過しても選挙の執行が困難である場合の選挙の再延期も検討されているところである。
被災自治体においては、いまだに行方不明者の安否確認ができておらず、人的被害の全容すら把握できない現状にある。さらに選挙人名簿や住民基本台帳も流失、滅失している場合もあり、選挙を公正に執行する基礎的データがなくなっている自治体もある。また被災自治体の多くの住民が全国各地にバラバラに移転して避難所生活を送っており、被災自治体はその把握にも困難を極めている状況にある。
このような状況下において、衆議院議員総選挙を行う事ができるのか。それとも内閣総理大臣の衆議院解散権は一定の制約を受けざるを得ないと解釈されるのか。政府の見解を示されたい。
三 前述の通り、今年四月の統一地方選挙においては、一部の被災自治体について臨時特例法による選挙の延期を行ったところであるが、全国民の代表を選ぶものとして、すぐれて全国同時に行われなければならないと考えられる衆議院議員総選挙について、同様の一部被災自治体における選挙延期という対応を取る事ができるか。政府の見解を示されたい。
四 少なくとも今年四月の統一地方選挙について、被災自治体において選挙の実施が困難と認められた現状において、仮に日本国憲法第六十九条にある「衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したとき」が生じた場合、内閣総理大臣は衆議院の解散または内閣総辞職のいずれについても選択する事ができるのか。政府の見解を明らかにされたい。
右質問する。