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平成二十三年五月六日提出
質問第一六五号

介護現場における医療行為に関する質問主意書

提出者  木村太郎




介護現場における医療行為に関する質問主意書


 報道によると、昨年六月、八戸大学の准教授が、全国十七都道府県の介護職員二千人を対象にアンケートを行い、同年十二月末までに三百四十九人から回答を得たが、痰の吸引や経鼻経管栄養の処置などの介護現場で認められていない「医療行為の経験あり」と答えた人が九十二%に上った。その理由について聞いたところ、「日常業務となっている」が四十一・四%、「看護職からの指示」が二十七・五%、「上司からの指示」が十六・一%であることが分かった。
 政府が昨年六月十八日閣議決定した「新成長戦略」において、「医療・介護従事者間の役割分担を見直す」ことを提言し、「医療行為の範囲の明確化」を示し、広く介護施設等において、一定の知識・技術を修得した介護職員に解禁する方向で検討するとした。このような経緯の中、厚生労働省内における「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会」は、同年十月から、重度訪問介護事業所を含む合計八団体の協力の下、「試行事業」が実施されているところであるが、依然として実質的違法性阻却の放置状態である。深刻な医師不足に加え、特別養護老人ホームや有料老人ホーム等の施設において、看護師の配置がない夜間に医療処置を行えないことによる受け入れ拒否や、入居者に退去依頼をせざるを得ない場面が増加しており、ただ単なる医療行為の範囲の明確化のみならず、医療・介護の根底における「公的な底上げ」が早急に必要であり、その上で安全確保措置を前提に医師・看護職員等との的確な連携・協働について推進することが最も重要と考える。
 従って、次の事項について質問する。

一 先の准教授のアンケート結果を分析し、医療職の人手不足から、緊急避難的に医療行為をせざるを得ない職員のいることが判明しており、事実上、介護現場において医療行為が通常の業務に組み込まれていることについてどのように捉えているのか、菅内閣の見解如何。
二 一に関連し、「医療行為が上司から介護職に強要されているのではないか」との現場の声もあるが、どのように分析しているのか、菅内閣の見解如何。
三 施設において、深刻な医師不足に加え、看護師の配置がない夜間に医療処置を行えないことによる受け入れ拒否や、入居者に退去依頼をせざるを得ない場面が増加している中、今後どのように対応していくのか、菅内閣の見解如何。
四 一〜三に関連し、介護家族は積極的な法制化を求め、一方介護現場からは他の医療行為においてもなし崩し的に介護職員に適用されることを憂慮する声があることをどのように捉えているのか、菅内閣の見解如何。
五 一〜四に関連し、「試行事業(不特定多数の者対象)」の中間報告によると、講習時間及びプログラム構成の適切さについて評価が低かったが、その原因をどのように捉えているのか、菅内閣の見解如何。
六 五に関連し、講義の理解度において、「人工呼吸器と吸引」の項目では、指導者からみた「介護職員が理解できる」に対し、介護職員が「理解できた」と回答した割合が高く、このギャップは大きい。指導者と介護職員における情報の非対称性と思われ、理解しているとはにわかに信じ難いが、菅内閣の見解如何。
七 「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会」の中間まとめによると、介護保険制度等の見直しの時期も踏まえ、平成二十四年度の実施を目指すとあるが、「試行事業」のケアの試行の終了時期及び最終評価は何時になるのか示されたい。
八 一〜七に関連し、制度の実現のためには、医療・介護の根底における診療報酬の引き上げなどの「公的な底上げ」が早急に必要と考えるが、菅内閣の見解如何。

 右質問する。



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