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平成二十三年八月四日提出
質問第三七二号

東北自動車道無料化の制度設計に関する質問主意書

提出者  木村太郎




東北自動車道無料化の制度設計に関する質問主意書


 本年七月一日提出、「東北自動車道無料化開始による混乱に関する質問主意書」(質問第二八九号)で、国として明確な制度設計をせず、ただでさえ疲弊している被災地に丸投げをした単なる思い付きの無料化は無用の混乱を生じるとの警鐘を鳴らしたが、答弁書においては、相変わらず誠意の一片もないものであった。
 先月二十八日、東日本高速道路会社が明らかにしたところによると、東日本大震災による被災者を対象に無料化している東北の高速道路について、当初五パーセントと見込んでいた一般車の無料が、約六十パーセントとなり、市町村による被災・罹災証明書の発行が予想を大幅に上回った。また報道によると、先月の三連休中日の十七日には、東北自動車道の仙台南インターチェンジの料金所を起点に三・七キロの渋滞が起き、六月二十日、無料化開始以降において、岩手、宮城、福島三県の高速道路の通行量は一割増え、以前はETCレーン利用八割だったが、一般レーン七割と逆転したという。これにより料金所通過に一時間以上かかる場合もあり、トラック運転者や高速バス利用者から不満の声が上がっている。
 予想通りの展開に多くの人が揶揄嘲笑しているが、高速道路料金の割引制度の見直しなどの扱いは、本来震災対策の財源を緊急に確保するためのものであった筈にも拘らず、一旦退いたものを再度持ち出してばら撒こうとする政権与党民主党の体質は、依然大衆迎合主義そのものということであり、猛省を促すものである。この時局においては、被災地の復旧・復興を最優先し、新たな町づくりや雇用創出、また農林水産業の再生など待ったなしの緊急課題に取り組むべきで、復興が本格化すると財政はさらに逼迫することは必至と考える。
 従って、次の事項について質問する。

一 前回の質問主意書において、被災・罹災証明書の発行に関して、被災地の各自治体から国に対し不満が相次ぎ、即刻国が責任を持って統一した基準を示すべきと問うたが、東日本高速道路会社が明らかにした「当初五パーセントと見込んでいた一般車の無料が、約六十パーセントとなった」ことや、「無料化開始以降においての渋滞や不満の声」を受けて、政府は自ら制度設計の過ちを認めるのか、菅内閣の見解如何。
二 政府は東日本大震災に対処するため、無料化社会実験の一時凍結により既定経費の千億円減額、料金の見直しによって、二千五百億円を国庫に納付したものの、政権公約に拘泥し、復興対策として今回東北自動車道について再び無料化を行った。これは一旦退いたものを再度持ち出してばら撒いたことになり、誤れるも甚だしいと考えるが、どのように反省をしているのか、菅内閣の見解如何。
三 一及び二に関連し、高速道路の無料化は、平成二十二年度で千億円、今年度で千二百億円の税金を財源に充てるなど多額を要し、受益者以外の赤ちゃんから老人まで負担を強いていることについてどのように捉えているのか、菅内閣の明確な見解如何。
四 これまで高速道路の無料化は、休日や区間において長い渋滞を発生させ、トラックやバスなど営業車輌はもとより、海運、鉄道などの経営に経済的な打撃を与え、世論調査において、多くの国民が無料化は不要とし、被災地の人でさえその実効性については疑問視している。最早東北自動車道無料化は撤回すべきと考えるが、菅内閣の見解如何。
五 一〜四に関連し、この時局においては、無用の混乱を生じる事案は避け、被災地の復旧・復興を最優先し、新たな町づくりや雇用創出、また農林水産業の再生など待ったなしの緊急課題に取り組むべきであり、復興が本格化すると財政はさらに逼迫することは必至と考えるが、菅内閣の見解如何。

 右質問する。



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