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平成二十三年十一月二十四日提出
質問第六七号

冤罪の定義に関する再質問主意書

提出者  浅野貴博




冤罪の定義に関する再質問主意書


 二〇〇九年十月、法務省において、同省政務三役を中心とする取調べの可視化に関する省内勉強会が設置され、その最終報告(以下、「最終報告」とする。)が本年八月八日に公表されている。その概要版の「第二 被疑者取調べの可視化の在り方(検討結果)」という部分の中で、
 「一 可視化の目的等
 〇えん罪を防ぐなどの観点から、取調べの状況を客観的に記録し、公判で自白の任意性をめぐる争いが生じた場合に、その客観的な記録による的確な判断を可能とすることを、可視化の中核的な目的とすべきである。」
 という記述がある。右と「前回答弁書」(内閣衆質一七九第三九号)を踏まえ、再質問する。

一 本年十一月八日に閣議決定された政府答弁書(内閣衆質一七九第一九号)では、「最終報告」にある「えん罪」の定義について「『えん罪』については、法令上の用語ではないが、法務省が本年八月八日に公表した『取調べの可視化に関する法務省勉強会の検討結果(概要)』においては、御指摘の『えん罪』という用語は、真犯人ではない者に対する有罪判決が確定するなどの事態を念頭に置いて用いたものである。」との答弁がなされている。前回質問主意書で、政府として、右答弁にあるような「真犯人ではない者に対する有罪判決が確定するなどの事態」が過去に生じたことはあると認識しているか等と問うたところ、「前回答弁書」では「法務省が本年八月八日に公表した『取調べの可視化に関する法務省勉強会の検討結果(概要)』における『えん罪』という用語は、被疑者の取調べ状況を録音・録画の方法により記録する制度の目的に関し、いやしくも真犯人ではない者に対する有罪判決が確定するなどの事態を生むことがないようにすることの重要性を表すために用いたものであり、政府としては、過去の個別具体的な事件について、それが『えん罪』に当たるか否かをお答えすることは困難である。」との答弁がなされている。政府として、「最終報告」の中で用いられている「えん罪」という言葉が具体的にどのような意味なのか、また過去に具体的にどのような事例があったのかを当然想定して、同報告を作成していたものと考えるが、そうではないのか。確認を求める。
二 一の答弁には「いやしくも真犯人ではない者に対する有罪判決が確定するなどの事態」とある。ある人物への有罪判決が確定したものの、その人物は真犯人ではなく、無罪が確定した事例が過去にあると承知するが、政府が承知し、把握しているものをいくつか挙げられたい。
三 強姦などの疑いで富山県警に誤認逮捕され、二年あまり服役した柳原浩さんの再審判決公判が二〇〇七年十月十日、富山地裁高岡支部で行われ、藤田敏裁判長は柳原さんに無罪を言い渡し、柳原さんの無罪が確定した。右の柳原さんの事例は、まさに一の答弁にある「いやしくも真犯人ではない者に対する有罪判決が確定するなどの事態」に該当すると考えるが、政府の見解如何。
四 一九九〇年、栃木県足利市で当時四歳の女児が殺害されたいわゆる足利事件で容疑者とされ、無期懲役が確定し、服役中だった菅家利和さんが、女児の下着に付着していた体液のDNA型が菅家さんのものとは一致しないとの鑑定結果が出たことを受け、一昨年六月四日、千葉刑務所から釈放され、その後無罪が確定した。右の菅家さんに関する件は、まさに一の答弁にある「いやしくも真犯人ではない者に対する有罪判決が確定するなどの事態」に該当すると考えるが、政府の見解如何。
五 一九六七年八月、茨城県利根町布川の男性が殺害された件につき、茨城県警は別件で逮捕していた桜井昌司さんと杉山卓男さんを同事件の容疑者として再逮捕した。一九七〇年、水戸地方裁判所土浦支部により無期懲役の判決を下され、また七八年には最高裁判所により上告が棄却され、二人は刑に服することを余儀なくされたものの、二〇一〇年七月から再審公判が始まり、本年五月二十四日、同支部は、桜井さん、杉山さんが犯人と証明する証拠は存在しないとして無罪判決を言い渡した。六月七日、水戸地方検察庁は控訴を断念し、二人の無罪が確定した。右の桜井さん、杉山さんに関する件は、まさに一の答弁にある「いやしくも真犯人ではない者に対する有罪判決が確定するなどの事態」に該当すると考えるが、政府の見解如何。

 右質問する。



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