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平成二十三年十二月七日提出
質問第一二一号

国際的な人権諸条約の締結及び実施、ならびに外国人の年金や教育等に関する質問主意書

提出者  阿部知子




国際的な人権諸条約の締結及び実施、ならびに外国人の年金や教育等に関する質問主意書


 日本に住む外国人は、二百十三万四千百五十一人となり(二〇一〇年末現在、外国人登録者数)、その出身国(地域)数は百九十一カ国までに及んでいる。また、外国人登録者数に表われない「日本籍外国人」「二重国籍日本人」も急増している。日本社会ではこのように多国籍化、多民族化が進行しており、その現実に対応する法制度の整備が望まれるところである。
 日本政府は二〇〇九年十二月、「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約第十六条及び第十七条に基づく第三回報告」を国連に提出した。提出をうけて国連・社会権規約委員会は来年二〇一二年五月、第四十八回事前作業部会でこの日本政府報告書に関する事前質問を日本政府に通知し、同年十一月の第四十九回委員会で審査が行なわれる予定である。
 国連人権理事会の一員である日本政府が真摯な姿勢で社会権規約委員会の審査に臨むことを期待する立場から、実りある委員会審査を可能にするために明らかにすべきと思われる事項につき、以下質問する。

一 二〇一一年六月の国連人権理事会で、日本が子どもの権利条約の個人通報制度に関する新議定書案の共同提案国となったことは、個人通報制度に対する積極姿勢を示したものと受け止めているが、国際人権諸条約の個人通報制度の締結に向けた方針ならびに準備状況を、詳細に明らかにされたい。
二 自由権規約委員会は二〇〇八年十月、日本政府に対し、「締約国は、外国人を国民年金制度から差別的に排除しないことを確保するため、国民年金法の年齢制限規定によって影響を受けた外国人のため経過措置を講ずべきである」と勧告した(総括所見第三十パラグラフ)。また人種差別撤廃委員会でも二〇一〇年二月、第七十六会期の日本審査において、同委員会の委員が同趣旨の指摘をしている。それらの勧告や指摘をふまえ、経過措置導入に向けた具体的検討の状況と導入の見通し、ならびにいかなる経過措置の導入が検討されているのか、明らかにされたい。
三 出生地は本人のアイデンティティにとって重要な情報であり、個々人の第一言語や文化にも影響するので、在留外国人に関する政策を検討する際の大変重要な要素となりうると考える。日本で生まれ育った外国人の数も確実に増加していると予測される。しかしながら、昭和四十九年を最後に在留外国人統計から出生地欄がなくなっており、出生地別の統計を把握できない状態である。在留外国人統計から出生地欄が削除された理由及び削除に至った経緯ならびに、出生地欄を再度付加する方針の有無を明らかにされたい。
四 社会権規約第十三条二項bの中等教育における「無償教育の漸進的導入」について日本は留保しているが、同条項の要請にも鑑みて二〇一〇年四月に高等学校無償化法を制定し、公立高校の授業料無償化と、私立高校等の授業料負担の軽減を実現し、また、それによって、高校等の中退率を大幅に引き下げる成果を得たと理解している。係る状況に鑑み、当該の留保を撤回する方針はあるか。
五 「教育に対する権利」は、社会権規約第十三条において「すべての者」に保障されるべきものとされている。しかしながら、出入国管理及び難民認定法が改定されたことに基づき二〇一二年七月に導入される新たな在留管理制度によって、非正規滞在の外国人の「教育に対する権利」の保障が後退する懸念が指摘されている。在留資格のない外国人の子どもたちの教育を受ける権利の保障について、とりわけ教育機関への受け入れや就学案内のあり方、また入管法第六十二条第二項に基づく通報義務等についての格段の配慮、自治体における対応の円滑化を図る措置のあり方に関する方針を明らかにされたい。

 右質問する。



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