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平成二十五年四月二十四日提出
質問第六四号

東京電力福島第一原子力発電所事故による損害賠償請求権の消滅時効に係る立法措置に関する質問主意書

提出者  小池政就




東京電力福島第一原子力発電所事故による損害賠償請求権の消滅時効に係る立法措置に関する質問主意書


 平成二十三年三月に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故により生じた原子力損害(「原子力損害の賠償に関する法律」第二条第二項にいう「原子力損害」をいう。)についての損害賠償請求権は、その本質が不法行為に基づくものであり、民法第七百九条に基づいて構成できる。
 そこで、同損害賠償請求権については、民法第七百二十四条前段が適用され、「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間」の消滅時効により請求権が失われると解釈される余地がある。さらに、第七百二十四条後段が適用され、「不法行為の時から二十年を経過」すると、除斥期間により同損害賠償請求権が確定的に消滅すると解釈される余地がある。
 しかし、東京電力福島第一原子力発電所事故による被害の特徴として、被害の深刻性、広汎性、潜在性等が挙げられるため、全ての被害者に、直ちにその全ての被害の実態を把握し、損害賠償請求の法的手続きをとることを要求する事は難しい。
 かかる問題に対処するため、政府は、「東日本大震災に係る原子力損害賠償紛争についての原子力損害賠償紛争審査会による和解仲介手続の利用に係る時効の中断の特例に関する法律案」(以降、「時効特例法案」とする。)を平成二十五年四月二十三日に閣議決定した。前記の時効特例法案は、時効中断の効果発生の要件として、@原子力損害賠償紛争審査会への和解の仲介の申立てを行うこと、A原子力損害賠償紛争審査会が和解の仲介を打ち切ったこと、B当該和解の仲介の申立てをした者がその通知を受けた日から一月以内に当該和解の仲介の目的となった請求について訴えを提起することを時効中断の要件として求めている(時効特例法案第二条)。
 これらの事情を踏まえて、以下の点について政府の見解をうかがいたい。

一 閣議決定された時効特例法案によると、被害者が原子力損害賠償紛争審査会への和解の仲介の申立てを行い、かつ、和解が成立しなかった場合に和解の打ち切りの通知を受けた日から一月以内に当該和解の仲介の目的となった請求について訴えを提起しないと、消滅時効により原子力損害についての請求権が失われるおそれがある。東京電力福島第一原子力発電所事故による被害の特徴である被害の深刻性、広汎性を考慮すれば、直ちに原子力損害全ての賠償を求めるのが困難な状況にある者も多い。そこで、閣議決定された時効特例法案の利益を受ける者が、原子力損害賠償紛争審査会に和解の仲介を申し立てた者に限定されてしまうのでは、被害者救済手段として不充分ではないか。
二 閣議決定された時効特例法案のままでは、民法第七百二十四条後段が適用され二十年の除斥期間が経過すると原子力損害についての損害賠償請求権が確定的に消滅する、と解釈される余地がある。東京電力福島第一原子力発電所事故による被害の特徴である被害の潜在性を考慮すれば、現在明らかになっていないが将来明らかになる原子力損害についても、救済の途を残すべきである。(現に、チェルノブイリ原発事故においては、事故発生後二十五年が経過した後、新たな被害が発生し続けている。)そこで、閣議決定された時効特例法案に、晩発性障害に対しての規定を盛り込むべきではないか。
三 原子力損害については、そもそも民法の時効規定・除斥期間規定(第七百二十四条前段・後段)の適用を排除するような、積極的な立法措置が必要ではないか。

 右質問する。



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