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平成二十五年六月四日提出
質問第九三号

デジタル映画作品の保存に関する質問主意書

提出者  宮本岳志




デジタル映画作品の保存に関する質問主意書


 映画界では近年、急速にデジタル化がすすんでいる。現在、制作されている映画のほとんどがデジタル撮影、デジタル編集、デジタル完成とすべての工程がデジタル技術のみで作成される作品になっている。上映する映画館も九割近くがデジタル化されている。その結果、フィルムメーカーもその多くが映画フィルムの製造から撤退している。
 急速にすすむ映画のデジタル化のもとで、デジタルで製作された映画作品(以下デジタル映画作品)の保存については、我が国においては特に何もなされていない現状にある。政府としてデジタル映画作品の保存に早急に対応すべきと考え、以下、質問する。

一 文化庁長官の裁定により設置された「映画振興に関する懇談会」は、二〇〇三年四月二十四日に「これからの日本映画の振興について〜日本映画の再生のために〜」との提言(以下、提言)を発表している。この中で、「国の映画振興の基本的方向」として、第一に「文化遺産としての映画フィルムの保存」があげられ、「国は、国内で製作され公開された映画作品を文化遺産として保存・継承を行う必要がある」とされている。映画作品の保存は、映画製作者など民間の努力だけではできない。提言では「文化遺産としての映画フィルムの保存」について、「劇場で公開された日本映画のフィルムのほとんどは製作会社において保存されているが、保存のための負担は一企業としては重く、このままでは修復不能に陥るフィルムも発生し得るため、我が国の文化遺産保護の観点から問題である」と述べている。
 映画作品をフィルムであれ、デジタルデータであれ今後も文化遺産として民間任せにせず、政府の責任で保存・継承を行う必要があると考えるが、どうか。
二 フィルム映画の場合は保存方法が確立されているが、デジタル映画作品の保存については着手されていないのが現状である。このままでは、保存の方法が確立されない間、作品保存の空白が生じかねない。現状では、作品保存の空白が生じればデジタル映画作品が散逸する危機にあると考えるが、どうか。
三 米国などで行われているデジタル映画作品を保存方法の確立しているフィルム化して保存することも含め、早急に映画製作者などの映画関係者と協議を行うなど政府として、デジタル映画作品の保存実施のための調査・研究を開始し、政府の責任で、早急にデジタル映画作品の保存に取り組むべきと考えるが、どうか。
四 急速なデジタル化のもとでフィルム映画作品を上映する映写機自体が多くの映画館で使用されない状態になれば、フィルム作品のまま保存されている作品については今後、国民が鑑賞する機会は大幅に減少する可能性がある。また、フィルム原版のある映画作品でも「ビネガーシンドローム」によってフィルムの劣化がはじまっているものもあり、デジタルによる修復が必要となる。今後、フィルム作品のデジタル化も早急に取り組む必要があると考えるが、どうか。
五 「東京国立近代美術館フィルムセンター」(以下フィルムセンター)が今後とも映画作品の収集・保存において主要な役割を果たすことが必要だと考える。フィルム作品の収集・保存をさらに拡充することはもちろん、デジタル映画作品についてもフィルムセンターが調査、研究、および保存に主要な役割を果たすべきであり、それを担うにふさわしい人員、予算の抜本的な拡充が必要だと考えるが、どうか。
 さらに、提言には、フィルムセンターが「我が国唯一の国立の映画に関する専門機関」にふさわしく、「フィルムセンターの独立」をかかげている。政府として、フィルムセンターを独立した機関とするための取り組みをただちに開始すべきではないか。

 右質問する。



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