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平成二十六年二月七日提出
質問第二六号

病院における院内調剤と患者の利便性をはかるとされる病院敷地内門前薬局の整合性に関する質問主意書

提出者  柚木道義




病院における院内調剤と患者の利便性をはかるとされる病院敷地内門前薬局の整合性に関する質問主意書


 これまでも病院等医療機関の設置者たる自治体等が、「患者の利便性向上」という名目で門前薬局を誘致し、その土地売買や賃貸借契約等を通じて巨額の利益を得ることについて自治体等の品位やその倫理的な問題について衆議院厚生労働委員会等にて政府の見解を質してきた。また、平成二十五年十一月一日の衆議院厚生労働委員会でも、国立大学法人新潟大学医学部附属病院が誘致した病院敷地内ショッピングモール内の薬局について、地域医療の模範たる国立大学附属病院の在り方並びに健全な医薬分業の在り方という視点から質したところである。とくに、新潟大学医学部附属病院の事例では、医療機関である大学附属病院が処方せんを発行し、この際、処方せん料が一義的に計上される。さらに敷地内併設薬局と指摘されても仕方がないショッピングモール内併設薬局で調剤基本料等の処方せん調剤にかかる調剤報酬が計上されることになる。つまり、患者は、ほぼ同じ敷地内にあるにも関わらず処方せん料と調剤基本料を計上されることになり、たとえば、病院内で調剤をした場合と比較するならば、患者の費用負担は増えることになる。つまり、費用負担という観点から考察した場合には、患者の利便性はむしろ悪化したといえなくもない。新潟大学医学部附属病院の事例では、敷地内に設置されるショッピングモールの運営者は大学と密接に関係する団体であることを鑑みれば、薬局が患者より得た調剤報酬より賃料を大学と密接に関係する団体に支払っている構図となる。衆議院厚生労働委員会でも指摘した通り、この団体は新潟大学に対して大学敷地賃貸料として賃料を納め、また、同時に研究助成金などの寄付金をねん出しており、こうした資金サイクルは、調剤料・処方せん料を患者に二重に負担させ、その果実を第三者を介して迂回して回収する狡猾な手段にみえなくもない。地域医療の模範たる国立大学病院として利益を狡猾に還流させる姿勢には疑問を呈さざるを得ない。そもそもあえて、敷地内に調剤薬局を設置させるくらいならば、病院自らが調剤する院内調剤に戻した方が、物理的条件並びに費用的な側面の両面から患者の利便性が向上するはずである。敷地内の薬局で指摘される「利便性」の本質は、医薬品調剤へのアクセスの利便性である。アクセスをよくするために門内並びに門前薬局が推奨されるのであれば、あえて無理に医薬分業を強いる必要性はない。平成二十六年診療報酬改定につき平成二十六年一月二十九日の中央社会保険医療協議会(以下「中医協」と略す)に政府側から示された「個別改定項目について」という資料によれば、主治医機能の評価(その一)において、服薬管理の要件として「原則として院内処方を行うこと」と求めていたことをみても、政府が院内調剤の有用性を認めていることは明らかである。この「院内処方」要件については、平成二十六年二月五日に開催された中医協に提出された資料では、患者の同意がある場合には院外処方を認めるとの要件に変更された。この場合に求められる薬局の要件は、その配付資料によれば、二十四時間開局している薬局であり、当該患者がかかっている医療機関をすべて把握した上で薬剤服用歴を一元的かつ継続的に管理し、投薬期間中の服薬状況等を確認及び適切な指導を行い、当該患者の服薬に関する情報を医療機関に提供していることが求められている。二十四時間開局していることは別にして、後段の薬局に求められる業務基準は、医薬分業の推進に際して国が国民に示した薬局像であり、いわゆる「かかりつけ薬局」機能を示したものと考えられる。しかしながら現状においては、病院など医療機関の前に薬局を開設し、近隣医療機関から処方された医薬品を効率的に給付し、漫然と医薬品を調剤するだけの薬局が増えているのも事実である。特定の医療機関の前に設置された門前薬局では、医療機関へのアクセスが自由である我が国において、門前薬局を利用する国民の多くがその物理的並びに時間的利便性を追求していることを鑑みれば、「かかりつけ機能」を期待することは難しいと思われる。このような実態を考えるならば、国が国民に医薬分業の利点として約束してきた、かかりつけ薬局機能を主治医機能として病院並びに診療所に付加せしむことは一定程度理解を示すところである。
 こうした国家政策の動向を鑑みるに、医療機関に服薬管理を含めた主治医機能を期待しているのであるから、新潟大学医学部附属病院等のように「門前薬局」や「門内薬局」のようなものを主体的に誘致するような医療機関に対しては、むしろ院内調剤に転換し、費用面も含めて患者の利便性を向上させるべきではないかと考えるが政府の見解如何。
 院内調剤を行う医療機関については、主治医機能を担う担わないにかかわらず適切な服薬管理を貫徹させる意味において薬剤部の増強は重要な課題となる。政府として当該医療機関の薬剤部の人員増加や質の向上についてどのようなご所見をお持ちなのかお示し願いたい。
 また、主治医機能を担うことが期待される医療機関においては、当然に、チーム医療を担う薬剤師の積極的な活用が期待されるところである。一部の医療機関などでは、医薬品の投薬などを合理化の一環として無資格の事務員等が担っている医療機関もあると聞く。主治医機能を活用させるにおいては、患者個々の状態を把握することも重要であるから投薬も含めて専門職たる薬剤師が五感を用いて状態を把握する必要性が高いと考えられる。となれば、主治医機能を担う医療機関では、薬剤師の増員並びに質の向上は必要不可欠な問題である。主治医機能の評価の対象となりうる医療機関における薬剤師並びに薬剤部の要件について政府の見解如何。

 右質問する。



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