質問本文情報
平成二十六年六月十八日提出質問第二四三号
我が国における違法伐採対策に関する質問主意書
我が国における違法伐採対策に関する質問主意書
我が国は、国土の七割を森林に覆われた森林大国でありながら、木材の自給率は三割にも満たず、国産材価格の低迷により森林の手入れ不足が深刻な問題となっている。一方、世界に目を向けると、今も急速な森林減少が続いており、気候変動や生物多様性の喪失といった地球環境問題が生じている。特に、途上国での森林減少の原因としてあげられるものに違法伐採がある。違法伐採問題については、G8 サミットでも繰り返し議題に上り、解決のために先進国が率先して具体的行動に取り組むことが合意されている。
そうした流れを受け、二〇〇六年(平成十八年)、我が国では違法伐採対策として、グリーン購入法の改正により、政府調達における木材の合法性及び持続可能性を確認する措置を導入した。それから既に八年経過しており、その効果について確認する必要がある。
地球・人間環境フォーラムと国際環境NGO FoE Japanが本年公表した「木材・木材製品の調達にあたっての合法性の確認に関するアンケート」の結果によれば、木材・木材製品の調達にあたってグリーン購入法に沿った物品調達が義務付けられている国等機関(中央省庁、独立行政法人)においても合法性の確認をしていないところが約三〇パーセントあった。また合法性の確認を行っていると回答した中でも、「合法性の確認方法を把握していない」と回答した団体が四〇パーセントを占めた。この結果から、国等機関においても十分に木材の合法性証明の確認が行われていないと言える。
一方、平成二十四年に加藤修一参議院議員が提出した質問主意書への答弁において、政府は、社団法人全国木材組合連合会が行った調査結果に基づき、木材の合法性証明を行う団体認定登録事業者数が増加していることを理由に、「合法性が確認された木材及び木材製品の供給は増加しているものと考えている。」と答弁している。しかし、登録事業者数の増加は、供給体制の整備が進んでいることにはなるが、実際の合法木材の供給量の増加を意味しない。また同じ答弁において、政府は、日本市場における合法性の確認された木材の流通量を把握していないと答弁している。
調査結果及び政府答弁により、現在の我が国の政府調達における木材・木材製品の合法性確認は、十分に行われていない可能性がある。
また、日本政府の違法伐採対策はグリーン購入法に法的根拠をおいているが、グリーン購入法には何ら規制措置が定められておらず、国等を環境負荷の低減に結び付く物品等の調達に誘導しようとする措置を置くのみである。そのための手続の履行を怠った場合の措置としても、毎年調達実績の概要の取りまとめと公表が規定されているのみである。違法伐採対策としてみた場合、グリーン購入法の効果は非常に限定的であると考えざるを得ない。
そこで、以下質問する。
二 国の約三倍の経済活動を行う地方公共団体はもちろんのこと、日本の木材市場においては、民間業者のプレゼンスは極めて大きい状況にある。この現状を前提とすれば、グリーン購入法に基づく環境物品の調達方針の作成について、地方公共団体は努力義務が課されるに過ぎず、民間業者については努力義務さえ課されていないことは、環境物品の調達に限界を生じさせる問題がある。地方公共団体と民間業者を含めた違法伐採対策の取り組みを、今後どのように進めていくのか。見解を問う。
三 グリーン購入法は、法の目的・対象の点でも、施策の内容の点でも、対象物品の合法性、持続可能性の証明を行うために制度設計されたものではない。まして、違法木材を日本の国内流通から排除するための対策の中心となりうる制度ではない。また林野庁の木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドラインは、任意の取組みを業界に求めるものであり、法令との関連性が示されているとはいえ、それ自体、法的拘束力を有するものではない。
違法木材を日本の国内流通から排除し、より明確な違法伐採対策の効果を上げて行くためには、規制措置を持たないグリーン購入法では不十分であり、新たな法制度の構築も含め、規制導入を検討すべき時期に来ていると思われるが、見解を問う。
右質問する。