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平成二十八年四月二十六日提出
質問第二五八号

沖縄の経済や沖縄振興予算、米軍基地等に関する公民教科書の誤記載の是正に関する再質問主意書

提出者  仲里利信




沖縄の経済や沖縄振興予算、米軍基地等に関する公民教科書の誤記載の是正に関する再質問主意書


 沖縄の経済や沖縄振興予算、米軍基地等に関する公民教科書の誤記載の是正に関しては、平成二十八年四月十四日付け第二四七号で質問を行うとともに、面談等による事実確認を行ったところであるが、政府の答弁は、「完全に間違いではない」との考えの下、「承認した」としている。
 しかし、沖縄の実情等に照らした場合、政府の考えや説明は単なる誤りというよりもむしろ基本的な認識や知識が余りにも欠如しているが故に生じたのか、若しくは恣意的に事実を捻じ曲げようとしているのか、そのいずれかであろうと思われることから、今回、再質問を行うものである。
 そこでお尋ねする。

一 政府は、次世代を担う子ども達への教科書において、事実と異なる記述を記載することは、子ども達や国民の知る権利を妨げるものであるとの認識を持っているか。
二 政府は、再訂正に及ばないとした理由として「完全に間違いではない」としているが、間違いではあるが完全な間違いではなく、再訂正には至らないとした部分を明示するとともに、その理由を具体的に説明されたい。
三 政府は、二〇〇六年度の高校日本史歴史教科書の検定において、沖縄戦での「日本軍による集団強制自決」の記述を一方的に削除したが、その記述の訂正と検定意見を付した理由として「誤解される恐れがある」ことを挙げている。さらにこれまで多くの教科書においても「恐れ」を理由とした削除や検定意見が見受けられる。しかし、今回の公民教科書の誤記載の再訂正の指示要求に対して、「完全に間違いではない」ため、再訂正を行う必要はないとしている。今回の政府のこのような対応はこれまでの対応と矛盾しており、また余りにも一方的でご都合主義的ではないか。
四 本職は「日本政府は、沖縄のアメリカ統治が続いたことや、広大な海域に多数の離島が点在していること、亜熱帯地域にあること、そしてアメリカ軍施設が沖縄県に集中していることなど、さまざまな特殊事情を考慮して、「毎年約三千億円の振興資金を沖縄県に支出」との記述は、あたかも米軍基地があるが故に、そして沖縄振興予算とは別枠で沖縄県に予算を支出しているが如く受けとめられることから、再訂正を指示すべきではないか」と指摘した。これに対して政府は、「沖縄振興基本方針の記述と同じ」であるから、訂正の必要はないと強弁した。しかし、沖縄振興基本方針を見ると、施政権の歴史的事情や島嶼県の地理的事情、亜熱帯気候の自然的事情、米軍基地の社会的な事情に関して並列的な記述はあるものの、「そしてアメリカ軍施設」というように敢えて「そしてという言葉で強調する」表現は全く使われていない。なぜ米軍基地の存在を「そして」という言葉で強調する必要があるのか、なぜ「沖縄振興基本方針の記述と同じ」と説明したのか、それぞれ具体的に説明されたい。
五 質問四に関連して、政府は「毎年約三千億円の振興資金を沖縄県に支出」との記述も誤りでないとする。しかし、沖縄振興特別措置法、同法に基づく沖縄振興基本方針と沖縄振興開発計画・沖縄振興計画、さらには沖縄振興予算と別枠で、あたかも「振興資金」なるものが存在するが如く記述されていることは、明らかに誤りではないか、そして、再訂正の指示を行うべきではないか。
六 質問四及び同五に関連して、百歩譲って振興資金が沖縄振興予算を意味するものだとしても、三千億円のうち、沖縄県に支出されず、各省庁が国直轄事業として事業執行する公共事業予算や大学院大学関係予算、内閣府沖縄担当部局の事務費等が含まれていることは周知の事実である。このことからしても、この記述は明らかに誤りではないか、そして、再訂正の指示を行うべきではないか。
七 本職が再訂正を要する個所として、以下具体的に指摘するので、個別にその誤りの理由や、再訂正の指示を行うか否かを明らかにされたい。
 (一) 沖縄戦の始まりは三月二十六日の慶良間諸島での戦闘であるが、なぜ四月とするのか、慶良間諸島での日本軍による集団強制自決を避けるためか、疑いたくなるが、その理由と意図を明らかにされたい。
 (二) 上記(一)の三月二十六日の記述は、中学校教科書においては既に定着しているが、なぜ高校の教科書では異なる記述にするのか。
 (三) 沖縄の米軍基地は、戦後住民が捕虜収容所や疎開先から戻ってきた際に既に基地が建設されていたり、銃剣とブルドーザーで強制的に土地を取り上げられ、人権を蹂躙されて基地が建設されていたりという経緯がある。そのことに全く触れずに、あたかも一九五一年の安全保障条約で平穏裏に提供されたかの如く記述する理由と意図は何か。
 (四) 施政権分離や米軍による統治が沖縄県民の思いや希望を無視し、基本的な人権や民主主義を無視して行われたことになぜ触れないのか。
 (五) 米軍基地の存在を日米安全保障条約に基づく同盟の実効性確保であるとして正当化した上で、沖縄に米軍基地が集中している現状について「東南アジアに近く、また朝鮮半島もカバーできる対応距離にある」と断言しているが、在沖米軍基地で現在沖縄県民が最もその存在を問題視し撤去を求めているのが海兵隊である。しかもその海兵隊は朝鮮半島や東南アジアの有事に対応できる能力を持たず、対応するための部隊ではないが、なぜそのことに触れないのか。
 (六) 基地による過重な負担や基地撤去を求める県民の声は一応記述しているものの、「他方」という言葉であえて基地経済や基地収入に依存する人々の存在を強調するのか。
 (七) 人権侵害と利益供与を並列する記述は、子ども達への人権教育の在り方や手法としては極めて不適切ではないか。
 (八) 普天間飛行場の返還は、一九九五年に発生した少女暴行事件を発端としたものであること、代替施設を県内に準備するという、いわゆる基地と危険の県内たらい回しであること、地元の同意を得ないまま海上ヘリポートから辺野古岬への埋め立てへと米軍の要求通りに計画が変遷してきたこと、二〇〇六年以降の沖縄の選挙において、辺野古への新基地建設の推進を公約とした候補者が一人も当選していないことなどに一言も触れていないことは明らかに不適切ではないか。

 右質問する。



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