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平成二十八年四月二十七日提出質問第二五九号
小学生・中学生の道徳心や愛国心を評価する学習指導要領の改訂に関する質問主意書
提出者 長妻 昭
小学生・中学生の道徳心や愛国心を評価する学習指導要領の改訂に関する質問主意書
二年後からは全国の小学校で、三年後からは全国の中学校で、道徳を教育課程上「特別の教科」と位置付けた上で、児童・生徒の道徳に対する評価をするとしている。その評価は、数値による評価でなく、記述式の評価であり、他の児童・生徒との比較による相対評価ではなく、その児童・生徒がいかに成長したかを評価するとしている。その道徳科の指導内容としては「国や郷土を愛する心をもつこと」、いわゆる「愛国心教育」も含まれるとしている。
私は、「道徳心」や「愛国心」は重要であると考えるが、児童・生徒一人ひとりの「道徳心」や「愛国心」を評価する、つまり成績をつける、ということには強い違和感を持つ。国に対する批判を自粛する空気が広がる等、非常に息苦しい社会が到来するのではないかとの懸念を持つ。
そこでお尋ねする。
その上で、中学受験や高校受験の内申書に児童・生徒の道徳の評価が入るのか否かについてお尋ねする。
各都道府県教育委員会が作成する内申書の様式に児童・生徒に対する道徳の評価を盛り込むのか否か。この点について、平成二十八年二月五日衆議院予算委員会で、馳浩文部科学大臣は「入学者選抜とはなじまない側面があることを前提とし、更に専門的な検討が行われている」「専門家会議では年度内を目途に基本的な考え方を示すこととしている」と答弁している。すでに「年度内」は経過したが、いつまでにどのような結論を出すのか。お示し願いたい。
同時に各都道府県教育委員会が作成する内申書の様式に児童・生徒に対する道徳の評価を盛り込むのか否か、現時点での内閣の見解を問う。
児童・生徒の道徳を評価するということは、ペーパーテスト等を実施するということなのか。そうでなければ、作文などを実施することを想定しているのか。そうでなければ、授業中の発言を評価するのか、発言を評価するとすれば授業中に発言が無い児童・生徒に対する評価はどうするのか。何に基づいて評価するのか、お示し願いたい。
児童・生徒の道徳の評価の基準が全国でばらつきがあってはならないと考えるがいかがか。
全国の評価基準をある程度、一致させるためには評価をする教員に対して、あるべき道徳心・愛国心とは何か、評価すべき道徳心・愛国心とは何か、を教える必要があると考えるが、いかがか。
その場合、評価すべき道徳心・愛国心とはどのようなものかは、誰が決めるのか。
評価の基準を策定しないとすれば、児童・生徒の道徳に関する成長を、恣意的にならずに、どのように評価をするのか、わかりやすく説明願いたい。
さらに文部科学省は「国や郷土を愛する心をもつこと」を教育することは、いわゆる「愛国心教育」とは異なるとするが、それぞれの意味するところをお示し願いたい。
また、文部科学省は、道徳に対して「評価をする」ことは、「成績をつける」ことと違うとしているが、どこが異なるのか、それぞれの意味をお示し願いたい。
以上、内閣の見解を問う。
右質問する。