質問本文情報
平成二十八年五月二十七日提出質問第三〇二号
北陸新幹線敦賀以西ルート整備に関する再質問主意書
提出者 田島一成
北陸新幹線敦賀以西ルート整備に関する再質問主意書
与党において、昨年八月より北陸新幹線敦賀以西ルートについて検討が進められ、平成二十八年五月二十五日に開催された与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームにおいて「中間とりまとめ」が了承され、国土交通省に対し、@小浜舞鶴京都ルート(敦賀駅−小浜市附近−京都駅−新大阪駅)、A小浜京都ルート(敦賀駅−小浜市附近−京都駅−新大阪駅)、B米原ルート(敦賀駅−米原駅)の三ルート案について、所要時分、路線延長、概算事業費、需要見込み等の将来の着工の判断に資する項目の調査を半年間程度の期間で行うよう指示がなされた。
今秋までに、国土交通省による調査結果が出される予定だが、「米原ルート」は北陸・関西の流動に加え、中京・首都圏との流動もカバーできる唯一のルートであることから、新幹線整備に伴う移動時間の短縮という恩恵を享受できる利用者数が最も多いルートであり、建設距離が最短であると見込まれることから建設コストや整備期間の点等からも最も優れるルートであると考える。
整備新幹線は、我が国の交通体系にあって、基幹的な高速輸送体系を形成するものであり、地域社会の振興や経済活性化に大きな効果をもたらすものである一方、地域活性化、少子高齢化、地球温暖化等諸問題への的確な対応が求められる時代において、厳しい財政の制約も考慮に入れながら、国民全体の効用最大化と経済合理性がルート選定にあたっての最優先事項と考える。
よって、次の事項について質問する。
全国新幹線鉄道整備法(昭和四十五年法律第七十一号。以下、「全幹法」という。)第七条第一項に基づき、昭和四十八年十一月十三日付けで新幹線鉄道建設に関する整備計画により北陸新幹線の主要な経過地として小浜市附近が定められた。この決定に際して、対案として当時の滋賀県米原町附近を経由し大阪市に至るルートとの比較により、小浜市附近を経由するルートに決定したと仄聞するが、その際に比較考量した各項目並びに両ルートの項目ごとの調査結果及び小浜市附近を経由するルートを選定した理由を示されたい。
二 北陸新幹線敦賀以西ルートに係る国土交通省調査について
全幹法第四条第一項に規定される基本計画を決定しようとする場合、政令において、
一 新幹線鉄道の輸送需要量の見通し。
二 新幹線鉄道の整備による所要輸送時間の短縮及び輸送力の増加がもたらす経済的効果。
三 新幹線鉄道の収支の見通し及び新幹線鉄道の整備が他の鉄道の収支に及ぼす影響。
の三つの事項に関する調査の結果に基づかなければならないとされている。
一方、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームが国土交通省に求める調査項目においても、需要見通しや所要時分等の基本計画の決定において調査すべき項目を再び調査することとしているが、国土交通省が改めて調査する目的を示されたい。
三 整備新幹線のルート決定を行う際の決定基準について
中央新幹線に係る全幹法第七条第一項の規定による整備計画について、交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会中央新幹線小委員会の答申(平成二十三年五月十二日付け)を受け、平成二十三年五月二十六日に国土交通大臣が決定されている。
この答申において、中央新幹線のルート選定に関して、伊那谷ルート及び南アルプスルートの比較考量が行われ、「仮に中央新幹線の建設主体及び営業主体としての指名を受ける意思を表明している東海旅客鉄道株式会社が両主体となった場合、財務的な事業遂行能力の観点から、建設費用が低く、なおかつ輸送需要量が大きい南アルプスルートの方が事業リスクが低く、さらには大阪開業をより早期に実現する観点からも優位となる。」とされ、赤石山脈(南アルプス)中南部を主要な経過地(南アルプスルート)とした整備計画としている。
この答申においては、建設主体及び営業主体が民間企業であることが考慮され、建設費が低廉で輸送需要量が大きい南アルプスルートが優位であるとしているが、建設主体及び営業主体が独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構である北陸新幹線敦賀以西ルート整備についても、公共事業として国費や地方負担が投入される以上、中央新幹線のルート決定と同様に、より効果的で、効率的なルートが優先されるべきと考えるが、政府が実施する新規の新幹線鉄道プロジェクトについて評価する際の基準を示されたい。
四 乗換えによる旅客利便性の低下の回避について
「整備新幹線の取扱いについて」(平成二十三年十二月二十六日付け政府・与党確認事項)において、北陸新幹線白山総合車両基地・敦賀間の取扱について「敦賀での乗換による旅客利便性の低下を回避することが求められるが、その対応についてJR西日本や関係地方自治体の意向を確認する。」とあり、平成二十四年一月二十五日に整備新幹線の収支採算性や投資効果の確認等に関して、国土交通大臣より交通政策審議会へ付議され、同年四月三日付けで「整備新幹線未着工区間の『収支採算性及び投資効果の確認』に関する取りまとめ」として、「北陸新幹線については、北陸と関西・中京との間で一日当たり約一万九千人の流動が予測されており、敦賀以西の整備までは敦賀駅での乗り換え利便性の向上が不可欠である。この流動に対応するには、車両編成の長い列車が多数設定されることが想定され、敦賀駅で同一ホーム乗り換えを行う場合には相当の工夫が必要となる。このため、直通運行できるフリーゲージトレインは車両費等が割高な面はあるものの乗り換え利便性の面で優れており、積極的な活用を図るべきである。また、フリーゲージトレインが導入された場合においても、敦賀駅では新快速等の在来列車や一部の特急列車との乗り換えも想定され、これらとの乗り換え利便性の確保にも十分配慮する必要がある。」とされた。
このことから、同日付で国土交通省鉄道局が提出した「収支採算性及び投資効果に関する詳細資料」において、北陸新幹線金沢・敦賀間の需要推計、投資効果(費用便益分析)および収支採算性については、敦賀駅では新幹線と在来優等が対面乗換(ホームtoホーム乗換)のケースと、現行のサンダーバード等在来優等がフリーゲージトレインに置き換わるケースを想定して試算が行われている。
今般、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームの「中間とりまとめ」を受け、北陸新幹線の敦賀・大阪間について三ルートを候補として、国土交通省が需要見込み等の将来の着工に資する項目の調査を実施するが、米原ルートにおける米原駅について、北陸新幹線金沢・敦賀間の収支採算性及び投資効果の確認の際と同様に、先ず、乗換え抵抗を最小限に抑える努力を前提とした検討を行うべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
五 北陸新幹線敦賀以西整備に関する財源の考え方について
北陸新幹線白山総合車両基地・敦賀間等整備に向け収支採算性や投資効果の確認等の議論を行った第一回交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会整備新幹線小委員会(平成二十四年一月二十七日開催)において国土交通省鉄道局幹線鉄道課長が「白山総合車両基地から先から敦賀の間の、さらに先、敦賀以西の整備をどうするかということでございますが(略)いわゆる小浜・湖西・米原の三ルートということにつきましても検討はいたしました。検討はしたのですが、やはり財源の限界などもありますので課題が多いということを確認しております。」と発言している。この時に確認した「財源の限界などの課題」とは具体的には何か、国土交通省が実施した小浜・湖西・米原の三ルートの検討結果との因果関係と併せて示されたい。
六 北陸新幹線のリダンダンシー機能について
また、同小委員会において国土交通省鉄道局幹線鉄道課長が「敦賀延伸で京阪神の鉄道ネットワークへ接続できますので、幹線交通の多重化、リダンダンシーというような議論などもありますが、そういった機能も十分果たし得るのではないかということで、まず敦賀延伸を実現するべきだろうということでございます。」と発言している。北陸圏と関西圏、中京圏の旅客流動を鑑みると幹線鉄道課長の発言通り、北陸新幹線の敦賀開業時点でリダンダンシー機能が十分果たし得るものと考えるが、敦賀開業時点での北陸新幹線が有するリダンダンシー機能について、政府の見解を示されたい。
右質問する。