質問本文情報
平成二十八年五月三十日提出質問第三一二号
戦没者遺骨収集推進法の成立に伴う戦没者の遺骨収集に向けた政府の取り組みに関する再質問主意書
提出者 仲里利信
戦没者遺骨収集推進法の成立に伴う戦没者の遺骨収集に向けた政府の取り組みに関する再質問主意書
戦没者遺骨収集推進法の成立に伴う戦没者の遺骨収集に向けた政府の取り組みに関しては、三月二十九日に質問を行い、四月八日に答弁を得たところである。
その際行った質問で「キャンプ・シュワブの中にあった、大浦崎収容所の埋葬状況の調査結果」を明らかにするよう求めたところ、「現在、政府部内で連携して、沖縄県庁から提供された関係者の証言等に基づき対応を検討しているところである」との答弁があった。また、「国の責務として位置付けられた同法の趣旨や関係行政機関間の連携協力の在り方や本気度が疑われる」との指摘に対して、「きちんと連携協力し、平成二十九年度までに推進する」としている。
しかし、本職が、外務省の協力を得てキャンプ・シュワブ内の埋葬地の特定調査を行おうとしたところ、同省は米軍の回答のままに調査を拒み、挙句の果ては、同法の趣旨に基づいて外務省は米軍の協力を得る努力をするべきではないかとの提案に対して、まずは厚生労働省の調査が先であるとの回答を行った。このような対応は、縦割り行政の弊害を感じさせるとともに、同法成立時に懸念されていた遺骨収集に対する国の本気度が疑われかねない状況であり、誠に遺憾である。
そこで再度以下お尋ねする。
二 質問一に関連して、「政府部内で対応を検討しているところである」との答弁があった。それでは検討を行っている政府部内とはどの省庁かを明らかにするとともに、現在までの進捗状況はどうなっているのか、今後いつまで検討をどのようにして行うつもりか、そのスケジュールと検討工程等について政府の承知するところを明らかにした上で、今後政府が取り組むべき方策について答えられたい。
三 政府は、同法第三条第一項で規定する遺骨収集の確実な実施や、第二項での集中実施期間、第三項での外務省を含む関係行政機関との連携協力をそれぞれ国の責務として位置付けていることから、関係行政機関に対して、遺骨収集の実施に当たってはいささかも縦割り行政の弊害を生じさせたり、求められる協力依頼に対して拒んだり、疎かにしたりすることがないように注意喚起し徹底を図っているものと承知しているが、政府の認識はどうか。
四 同法第六条では、「国が情報の収集等の推進」を図ることとしている。この場合の国とは、単に厚生労働省のみを指すのではなく、外務省その他関係行政機関も同様に情報収集を行うものと承知しているが、政府の認識はどうか。
五 平成二十八年二月十八日の参議院厚生労働委員会に於いて決議された「戦没者の遺骨収集の推進に関する法律案に対する附帯決議」では、「戦後七十周年を迎え、戦没者の遺族の高齢化が進展している現状」にあえて言及しており、遺骨収集の期限が切迫しているとの認識を明らかにして、早急な作業を求めている。また、幅広い情報網を有する民間団体等との連携を強化する必要性にも言及している。これらを踏まえると、厚生労働省や外務省その他関係行政機関は、国として附帯決議の趣旨に基づいて遺骨収集が速やかに、かつ、短期間に行われるよう取り組むべきであると承知しているが政府の認識はどうか。
六 本職は、「キャンプ・シュワブの中にあった、大浦崎収容所の埋葬状況の調査」が遅々として進まないことに業を煮やして、平成二十八年四月二十八日に外務省経由で在日米軍に対して「米軍施設・区域立入許可申請」を行った。この申請に対して、外務省から口頭で「埋葬地が特定できないため立ち入りを許可しない」との説明が五月二十五日にあった。文書での回答を求めたところ、五月二十六日に「運用上の理由により不許可とする」との回答があった。なぜ、口頭と文書による不許可の理由が異なるのか、運用上の理由とはいかなるものか、戦没者遺骨収集推進法第三条の「国の責務」や、同第六条の「国が情報の収集等の推進」の規定に基づいて、外務省はどのような努力を米軍に対して行ったのか、外務省が本職に回答した「まずは厚生労働省の調査有き」との対応は同法が定める「国の責務」や「国が情報の収集等の推進」に著しく反した行為ではないか、などについて政府の承知するところを明らかにした上で、「キャンプ・シュワブの中にあった、大浦崎収容所の埋葬状況の調査」として本職を始めとする民間団体が行うことに対して、政府として協力・支援を行う考えがあるか答えられたい。
右質問する。