衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成二十八年十月三日提出
質問第三〇号

東村高江周辺のヘリパッド建設予定地近くでの大規模伐採と許可手続き等に関する質問主意書

提出者  仲里利信




東村高江周辺のヘリパッド建設予定地近くでの大規模伐採と許可手続き等に関する質問主意書


 沖縄県内の地元紙によれば、去る平成二十八年八月五日、沖縄森林管理署は、沖縄防衛局が沖縄森林管理署との事前協議を行わないまま立木を伐採した事案について、「伐採の影響は軽微だ。事後で協議が成立した」との見解を示し、三日に出していた立木伐採の中止指示を撤回したことを明らかにしたとのことである。しかし、沖縄森林管理署のこのような見解と対応については県民や識者から批判や疑問が相次いで示されている。
 また、その後の地元紙の相次ぐ報道によれば、沖縄防衛局はN1地区の二つのヘリパッド予定地や、N1地区と通称N1裏の間からH地区を結ぶトラック通行用の運搬道路用地等において、またしても大規模な伐採を繰り返しており、違法性が問題視されているのにもかかわらず、事前協議の範囲内であり、手続き上の問題は何らないと強弁し、一方沖縄森林管理署は現地調査や確認の請求に対して積極的に対応せず、むしろ放置しているかのような対応を示しているとのことである。これらを踏まえて、以下お尋ねする。

一 沖縄森林管理署は去る八月五日に現場を確認調査の上で「伐採の影響は軽微」であり、「誤伐であり、悪質性はない」としているが、その際、どのような調査を行ったのか、また軽微や悪質性の基準とはどのような基準なのか、そしてその根拠となる法令や規定は何か、さらに悪質性の判断に当たってどのような理由に基づいてそのようなことを斟酌したのかをそれぞれ明らかにされたい。
二 沖縄防衛局の指示ミスが原因であるならば、ミスを犯した職員に対してどのような処分を行ったのか明らかにされたい。
三 沖縄森林管理署の対応を見ると、伐採の影響が軽微であれば、現状の回復や保全措置等貴重な生態系や環境の回復や保全に努める必要性はないと考えているかのように受け止められるが、森林管理者としてそのような対応や措置が適正であるかについて政府の見解を答えられたい。
四 事後協議がこのように簡単に成立するのであれば、森林管理署への事前協議制度は法的に全く意味を成さないし、森林管理署の存在価値そのものも自ら否定することになるものと思われるが政府の見解を答えられたい。
五 沖縄県内の地元紙が九月二十四日付で報道した「あぜ道でおびただしい数の樹木がまたしても大規模に伐採された」ことについては、九月一日に沖縄防衛局が沖縄森林管理署に事前協議書を提出し、同署が十二日に同意しているとのことであるが、伐採の規模や場所が申請を超え同意書の内容以上に行われていることが指摘されており、識者や市民団体が早急な現場調査・確認とその間の工事中止を求めていることについて政府はどのように対処する考えか明らかにされたい。
六 質問五に関連して、沖縄防衛局は沖縄森林管理署への事前協議の範囲を大幅に超えて大規模な伐採を行ったことに対して「伐採範囲について現地で示し、沖縄森林管理署の確認を受け、伐採に関する同意を得た範囲内で実施している」と説明しているが、今回の伐採の範囲は本当に沖縄森林管理署が確認・同意をした範囲内であるかということに関する事実関係について政府の承知するところを明らかにされたい。
七 質問五及び六に関連して、沖縄防衛局は「伐採範囲はあくまでも標準的な範囲を示したものであり、工事用道路の全ての部分において四メートルに限定したものではない。森林管理署から道路幅三メートル、伐採範囲四メートルで許可を受けているという捉え方は誤りだ」としている。また、沖縄森林管理署も口裏を合わせて「あくまでも標準範囲で目安の数値だ」としているが、両者の馴れ合いの説明は明らかに質問六の説明と真逆なものであり、到底納得できない。まして事前協議や同意制度等の法的許認可の在り方からして到底理解できない。このような暴論が許されるならば、およそ許認可制度はなくても良いし、政府は何でもできることになると思われるが、政府の見解を答えられたい。
八 質問七に関連して、沖縄森林管理署は、九月二十九日に行った現地調査の際に「工事用道路の場合、道幅や伐採幅の明確な基準はない。現地確認で伐採幅を判断した」と説明しているが、それでは沖縄森林管理署が判断した現地確認とは、質問六で述べた「伐採前に沖縄防衛局と沖縄森林管理署が行った確認」を指すのか、それとも「九月二十九日の現地調査」のいずれかについて政府の承知するところを明らかにした上で、森林管理者が承認を行うに当たって「道幅や伐採幅の明確な基準を持っていない」ことが適正と思われるかについて政府の見解を答えられたい。
九 質問五〜八に関連して、政府が強引に進めているこのような大規模な伐採と工事は大きな自然破壊であり、ヤンバルの貴重な生物相と生態系に壊滅的な影響を与えるものと思われるが政府の見解を答えられたい。
十 質問九に関連して、政府が東村高江周辺で強引に進めているヘリパッド建設工事は、二〇〇七年及び二〇一六年に防衛省が沖縄県に自ら提出した「環境影響評価図書」でかろうじて示された最低限の「自然に配慮する対策」も守ろうとせず、むしろことごとく踏みにじる行為に他ならないが政府の見解を答えられたい。
十一 質問九及び十に関連して、一九九九年、琉球大学や広島大学の専門家で構成される琉球列島動植物分布調査チームが国や沖縄県に提出した「ヘリパッド建設予定地の見直しに関する要望書」において、「ヘリパッド建設予定地一帯は生物学的に非常に重要な地域である」から「世界的な財産である」とし、「騒音を発するヘリの離発着によりヤンバルホオヒゲコウモリやノグチゲラなど音や鳴き声で交信する動物の生息や繁殖が妨げられ消滅する」から「ヘリパッド建設はヤンバルの貴重な生物相と生態系に重大な影響を与える」と警告しているが、専門家によるこのような警告に対して政府の承知するところを明らかにした上で、専門家からの警告に対する政府の見解を答えられたい。

 右質問する。



経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.